2008/05/04

FLYING SPUR



SPUR 拍車:乗馬靴のかかとに取り付ける金具。馬の腹に刺激を与えて速度を加減する。ふつう歯車付きで馬体を傷めないようになっている。ここから、ラストスパートがきているらしい、~last spurt:最終全力投入。

僕が23歳の時にあの世に行った父。父は生前は存在そのものが怖くて、いってみれば拍車のような存在だった。やさしい時はやさしい父だったが、怒るとほんと怖かった。親父の怖さにくらべれば、怖い先生も、不良上級生も、ぜんぜん優しく感じた。

B型、おとめ座、ペガサス、七赤金星、もともと気質的に超マイペースのぼくにとっては拍車的なものの存在が絶対必要だと感じる今日この頃。今では、身近ないろんな仲間が拍車をかけてくれる。K君に聞くと、出しなに目に留まり、ああこれをもっていかなきゃと直観したらしい。不思議だ。

採寸・生地決めに自宅に来られたK君がこの拍車をお土産に持ってこられた。彼の世界放浪話。

彼は以前ニュージャージー州のラスタの教会に住んでいた時期があった。もともとギタリスト修行としてアメリカに渡った氏は、ローテクな録音機材で作ったギター入りのトラックをたくさん作って、大音響で流し、その曲を買いたいというDJに、その場でダビングして産直販売で生活していた。

ある日教会の長が、経営に対してたびたび意見していた彼に向かって、じゃあおまえ何か文句あるならスピーチしてみよ、という話になった。そこで彼は、

『このあたりの街角の子どもたちは、ギャングスタラップやヒップホップにあこがれてるけど、その方面に直行するのもまあいいんだけど、それまでに生楽器に触れたり、たとえばギターだったら、自分で楽器弾きながら打ち込みもできるわけだし、ステキだから、もっと自分の手で自由に楽しんでから、音楽にむかうのもいいもんだぜ!ほら俺はいつでもみんなにギター教えてやるぜ!!』

と力強いスピーチしたところ、それを聴いていた人や子どもたちのヒーローになってしまった。そのスピーチを聴いていて感動した紳士が、彼をあの世界的ギタリスト、ジョー・パスのところに連れて行った。そこから彼は、近所ということもあってジョー氏と普通に友だちになった。毎日1フレーズずつ彼に教えられながら、これを弾いてみろよ、んじゃ次はこれと、ジョー本人が弾き聞かせながら、、、。

それが2週間くらい続いたある日、K君はつらつら弾いているうちに、ジャズ的に自由にメロディーを展開させられ遊べる感じで弾けるようになった。その瞬間、一気にロック空間からジャズ空間へとブレイクスルーした自分に気がついた。ジョー・パスは、ロックのギターが得意であった彼向けの、ジャズ世界へコンバージョン可能にさせる特別のフレーズを教えていた。

ジョーパスはミュージシャンズ・ミュージシャン(玄人のための音楽家、音楽家に人気のある音楽家)、家族がいなく友だちはいるものの孤独で、一緒にCNNをぼんやり観ていて、さあギターでも弾くか~とソファーでおもむろにギターを弾き出したりする、そんな普通すぎる生活。片や同じ近所とはいえ、ジョージ・ベンソンは世界的スターとして豪邸住まいでアメリカ的成功者の人生を送っている、、、、

そんなある日、べろんべろんに酔っ払ったジョー・パスに『おいジョー、いったいぜんたい、ほんとにあんたは凄いのかい?』とふざけてK君が言った、すると彼はいきなりミュージシャン仲間に電話を掛けまくりはじめ(突然の呼び出しにさすがに3、4人に断られてたらしい、、、)ヴォーカル、ベース、ドラム、キーボードがジョー邸に一気に招集された。たった一人の日本の若者のジョーク混じりの疑念に応えようと。

圧倒的な演奏が始まる。ジャンゴ・ラインハルトの曲を Double Tempo での演奏。その演奏の超絶な巧さ、正確さ、強烈な情感に圧倒される。しかし、そこでK君が感じたこと、『ああ、なるほど、行くとこまで行ってしまうと、、、そこは自由なのだ、、、』お金では買えない貴重な時間、体験。

話題は尽きない。アフリカからアジアそしてアメリカまで、K君にはボロ・タイ:BORO TIE(カーボーイなんかがするネクタイの一種) リボン・タイ、そんなアイテムがよく似合いそうだ。ちょっと前までドレッド・ヘアだった。

そういえば昨月大切な仲良しであり、かつお客様でもある方よりプレゼント頂いた。ヴィンテージZODIACの手巻きムーンフェイス時計、きっと似合うと思ってとおっしゃられ、恐縮&感謝いたします。ありがとうございます。夕日を受けて輝くその時計は、往年のハリウッド俳優のような悠然とした風情で、とてもステキです。

数字で時刻を追うのでなく、月の満ち欠けで時の流れを知る。手巻きしながら、『時』をつむぎ出しているんだ、という不思議な錯覚を楽しむ。そのものの存在が詩的です。手巻きは数年ぶりだったので、その味わいをあらためて感じました。時計もまた、拍車に共通するもの、時間を知らせてくれると同時に、時が有限であることをおしえてくれる。人生には限りがある、拍車をかけよ、、というメッセージなのかもしれない。

2008/05/01

Zen @Rikugien Gardens


友人タケシ氏のお気に入り充電コースのひとつを教えてもらった。まず、駒込の六義園(りくぎえん)へ。

五代将軍徳川綱吉の信任厚かった川越藩主・柳沢吉保が元禄15年(1702)年に築園した和歌の趣味を基調とする回遊式築山泉水の大名庭園、後に三菱の創業者岩崎家の別宅となり後に東京都に寄贈された、とある。

つつじが咲いていて、写真撮ったりと入園者たちは楽しそうだ。若草色の木々の葉の下をゆっくり歩く。亀がわれ先にわが甲羅を天日干しせむとて、岩場にはりついている。こういう日本庭園にてアスファルトではなく大地、土の上をじゃっっじゃっ、と踏み分けながら歩くことがたまに大事だ。



それなりに四季が現れるから、こういう自然と歴史の庭園で楽しめるファッション、意外とトラッドな固めのスーツも似合う。ポケットチーフは麻白。途中喉が渇いたので抹茶と和菓子を食べ、水面のさざなみや夏日の涼しい風を感じてぼんやりしていた。

まだ喉が渇いてるんですよ、というとおばちゃんが氷水を持って来てくれた。だんだんしゃべるのも億劫になってくるほどに気持ちいいものだから、何故だかぼんやりだけではもったいなく感じ、突発的に僕は座禅を開始した。

5分くらい自分の世界に入っていて我に帰って隣を見ると、タケシ氏もオリジナリティ溢れるMY ZEN 的姿勢・表情にて瞑想開始していた。上げ膳、据え膳、そして連れ禅、そんなつつじ茶屋の夕暮れ時。



六義園を出て巣鴨駅まで歩いて、駅前からマイクロバスに乗って東京染井温泉SAKURAへ。地下1800メートルから湧出する天然の温泉とのこと。2007年に2人で企画主催していた朝7時からの読書会の話をあれこれして、2008年バージョンのアイディアを出し合った。

風呂上り、蕎麦とビールで一服した。蕎麦湯がなかったので、熱い蕎麦茶で代用したらこれが美味かった。都内をちょこちょこ移動するだけのコースにしてはエネルギーが充填される手軽なコースでした。

white room , black diamonds


@渋谷・猿楽通り沿い、代官山マンションビルの一室、とある隠れ家ショップ。渋谷区界隈にて位置的便宜が必要な場合には、今後こちらのショップにて採寸・納品を行います。ここでは、輸入セレクト服、注文イタリア靴などを扱っています。



代表のO氏は誰もが感動するロマンティックな夢を追いかけている侍ソウルの持ち主。このビルにはストリート系のブランドSILAS & MARIAが入っています。



休み中ありがたいことに仕事が途切れなかったので本日は午後から友人タケシと完全休息充電コースでした。彼が気軽にゆっくりできる秀逸なコースを教えてくれたので今度ブログにアップします。

2008/04/25

Suiting is shooting.


クラシックな黒檀の机の上に飾られた、さくっと刺したシンプルな花一輪
アンドレ・ケルテス写真の質感。

4月入って2週目くらいから一気に忙しくなって、でも忙しくなったんだけど
やっていることが日々同じようなことなので毎朝目覚めるたびにデジャヴュの
ような気分で過ごしている。

ひとつの世界観に向けてレーザー・ビームのように細く長く絶えることなく前進し続けると、ひっそりと棲息していた世界中のキーワードがいろんな方角から想像もしなかったボリュームを持って引き寄せられてやってくる。

思考を操作したり、方法論を考えたりすることを人間の脳みそのサブ・エンジンだとしたら一見してばらばら見える(すばらしい)素材を無意識で集めてくることがメイン・エンジンの第一作業だと思う。

そして、それら集めた素材たちが、“ はしり ” なのか ⇒ “ 旬 ” なのか⇒ “ なごり ” なのか。(※この3つのコトバ自体最近教わった)それをよく知っておいて 『和える』。

とはいっても、最近では和え終わる時間が来る前に次のキーワードが来てしまうので、一気にここは、最近のキーワードの並べてみて棚卸してみよう。


ベイシックなライン
適度なゆとり、適度なドレープ
佇まいは堂々と
シルエットはすっきりと
悠然とした世界観
超然とした佇まい
英国 Martin Son's & Co.
FRESCO SUITING 3PLY VINTAGE
『3プライのフレスコ』
Reid & Taylor Scotland
120's 4プライ 280g
第3の男
ヘッドライトに照らされたハリーの表情
虚無感、自嘲、韜晦、でも親しみと人懐っこさ
モヘア
グレアム・グリーン
涼しさ
ゼニアの『ヘリテイジ』ライン


英国 William Halstead
太陽の生地 『ソラーロ』
はなし
感じ

手ざわり
肌ざわり
香り
Schofield &Smith HUDDERSFIELD
Silk50%,Kid Mohair50% 280g/m
ブランデー
舌ざわり
お茶を飲む時間

点と点をつないで線に。線と線をつないで面に。面と面とつないで立体に。立体に時間を加えて動画に。動画と動画に魂を吹き込んで生命の輝きを。

しかしながら、出来上がったものはサクッっと活けた花一輪の美しさでありますように!

2008/04/10

O meets H ,4月4日(金)



K氏と銀座バーニーズ、丸の内ソブリンハウスへ。1916年創業のシカゴの老舗ブランド、『オックスフォードクローズ』の代表マイク社長ご本人がおられたので、機を見つつ敏にご挨拶、そしてちょっとお話することができた。

伝説的なブランドであり、謎めいた存在である一方で、大いなるど迫力のクラフツマンシップを感じさせるブランド。バーニーズのスタッフの方も言っておられたが、リバース・チェーン・ステッチという特殊な縫製で仕上げるアームホール、これは十分な可動域を持つとのことだ。

お誘いいただき、一緒に見に行ったK氏がまるで満を持していたかのように当日着用していたのが、フルハンドメイドの隠れ家テーラー銀座羊屋のスーツ。氏も確信犯的に何かの化学変化を演出しようとされたのかもしれない。

その日は昼ごろから夕方までK氏と行動をともにしたので、彼の動きの中で、じっくりスーツを観察していた。普段はふんわりと優しく着こなしているものの、この日は“男っぽい”印象のスーツ。やや硬質の雰囲気ながらどっしり重厚な印象。右アームホールの後ろ部分が、左手後方からも、フンワリとした膨らみとして見えるほどゆとりを持たせている。

これも何かの流れだろうと、マイク氏と話している時に『このユトリ感をどう思いますか?』と質問したところ、『全体ブリティッシュ!腕が動かしやすいでしょうし、いいですよね!』とのこと。やりとりは5分くらいでしたがその中で、タイト傾向にある最近の最近の流行に対してちょっと微妙に感じておられるのか、こちらの好みを洞察されたのか、やはり現在のスタイルよりは徐々にゆとりを持たせていかないとですね、、、、と言われた。

さらに、僕の先輩格であるケン・アオキ氏を御存知ですかと訊いたら、ああ彼とはたしか数日前NYで会いましたよ。と応えられ、先輩氏のインターナショナルな活躍ぶりをうらやましく思いました。当日、ランチはCOVAという丸の内、ペニンシュラホテル前の穴場快適レストランにて。壁にかかっているのはベルディ。



流れている音楽と、飾られている花が惜しいとK氏。音楽と花はやはりその空間におけるフィニッシング・タッチ、画竜点睛、非常に大切なんですね。当日は、K氏から借りてブートニエール用の薔薇のフラワー※1をつけた。この日はこれから新宿で立ち飲みパーティ。そして、お礼メールしようと思ったら、ポケットに入れといたはずのマイク氏の名刺は失くなっていた。いまはそのタイミングではない、ということだろう。



画像は当日の僕のラペルまわり。自宅の庭園でオールドローズを育てておられる女性が作ったもの。経年変化で色が変化し、味が出てくるアクセサリーです。

2008/04/03

EDWARD Suit 5 Tuxedo “as a pleasure”




夜文章を書くと、なんだかやけに攻撃的に熱くなっています。前回の日記を朝読み返して焦りますね。

細かいところや、です、ます統一やらソフトな言い回し加工しないといかんな~こりゃ、と思いながらも、朝から外活動だったので一日中PC前に座れずそのまま。しかし、せっかくだから直さず記念に残しときましょう。 

“夜書いて 朝読み返し 朝アップ” 

この小学生的な一句を念頭において。
さて、前回の続き、実際のところ、購入額は以下のようになります。

タキシード(オーダーメイド) 125,000円
黒、ウール80%、モヘア16% (イタリア)トロピカルクロス※Tropical cloths:ウーステッド糸で織られた薄手の織物。軽くて平滑で取り扱いも容易。夏用服用)仕様:ジャケットは衿に拝絹、トラウザーズのアウトシームに側章1本。一つボタン、ピークド・ラペル。

ウィングカラーのプリーツ6つスタッドボタン仕様(既製服)白 綿100%  15,000円
ブレス(サスペンダー) 白    5,000円
蝶ネクタイ コットンピケ素材 白    4,000円
カマーバンド(シルク) 白 ※1  10,000円
カフリンクス・スタッズ 白蝶貝  10,000円
合計 a 44,000円

ポケットチーフ ※2    3,000円
花 ※3        3,000円
靴(黒エナメル・ストレートチップ)       30,000円(エドワードでのオーダーの場合は税込み¥52500)
靴下(ホーズ、ダークボルドー)         3,000円
合計 b 39,000円

合計(タキシード+a+b) 208,000円
消費税 10,400円
総合計 218,400円


※1 コットン・ピケ製にする予定。
※2 職人にチーフ手縫いでお願いしました。 
※3 ブートニエール(眠り釦仕様でフラワーホルダーを使用する)加工、装着ではなく、そのまま針金を骨組みにして小さい蘭の花を使用。次回はブートニエール仕様を予定。

税込み総合計の218,400円という価格とクオリティ・満足度と、貸衣装価格とクオリティ・満足度を比較すればいいです。貸衣装は一回ごとの価格。3回着用すれば3倍の掛け算価格。

マイ・タキシードは(フツーに大事に扱えば)一生着用できます。まあ毎回シャンパンぶっ掛け合いみたいな華麗なるギャッツビー主催のパーティーに出席するならば話は別です。

その時は、ショールカラー、モーニングコート、テールコート、ディレクターズ、ブラックスーツ仕様と全部揃えればよいでしょうが、普通の2008年を生きる日本男性としてはタキシード1着で充分なのではないでしょうか。

最上級の正礼装に関してついでに言うと、日本人の場合、洋装を扱う僕が言うのもなんですが、やはり和装『黒紋付袴』です。日本紳士の矜持にコスプレは必要ありません。

われわれ日本人の場合、タキシードは突き詰めると結局は“楽しみ”であって本気フォーマルではありません。その微妙なニュアンスの理解が、ある種の謙虚さ、自由さ、ゆったりした振舞いに向かわせ、結果的に洋装フォーマルの理想的なメンタリティに至るのではないでしょうか。

その結果、タキシードの理想的な佇まいが完成するのではないかと思います。

2008/04/02

EDWARD Suit 4 Tuxedo with Swallow-Tail coat tone


先日、タキシード(Tuxedo)をアクセサリー一式含めて自分用に揃えました。まずは、すべてがベイシックで必要十分なクオリティであること。そして第一印象がキチンとして、ゆったりと落ち着きを感じる組み合わせ。クラシックを基調としたもの、という方針です。そしてもちろん『良いものを安く』です。

基本は夜のフォーマル(正礼装)であるタキシードのスタイルです。これに同じく夜のフォーマルであるスワローテイル・コート(Swallow-Tail coat:燕尾服)の着こなしの要素をフィックスさせました。確信犯的なルール破りですが、堂々としていましょう。文句のある奴はいつでも物申しやがれ、という気位でいましょう。

(カッコ)内は一般的なものです。

1.ボウタイの色と素材 (タキシードは黒) ⇒ (スワローテイルは白コットン・ピケ素材)

2.スタッズボタンとカフリンクスの色と素材(タキシードは黒蝶貝、黒オニキス) ⇒ (スワローテイルは白蝶貝)

3.カマバンドの色と素材(タキシードは黒のカマバンド) ⇒ (スワローテイルは白のコットンピケ素材のウエスト・コート)


理由:
タキシードの伝統的ルールを完璧になぞると、なにしろブラック・タイ着用の機会が少ない日本という環境では、スタッフに間違えられる可能性が大きい、スタッフを間違えられて、ホテル内で道を尋ねられたりする。

見た目の印象では、シャツのスタンドカラーが白・蝶タイが黒、シャツのボディが白・スタッズボタンが黒、シャツのカフ部分が白・カフリンクスが黒、シャツのボディ部分が白・カマバンドが黒、、、というコントラストが繰り返し続くのがタキシードの普通の着こなしだ。

不遜を承知で言うと、このコントラストは退屈でクドく感じられる。その理由は、小柄で、体の表面積が小さい人間(日本人)の場合、アクセント密度が高すぎてクドく見えるのだ。

それならいっそのこと全部黒という(挑戦的な)着こなしも面白いだろうし、エレガントに感じる。シャツが黒、蝶タイが黒、シャツのボディ(本体)が黒、スタッズボタンが黒、シャツのカフ部分が黒、カフリンクスが黒、シャツのボディ部分が黒、カマバンドが黒、、、というスタイル。

黒は黒でも、それぞれ、シルク、麻、コットンピケ、黒蝶貝、オニキス、、素材を変えていける。しかしこれはパーティ向きで、新郎向きではないかもしれない。

たとえば、婚礼業界などは、一世一代のイベントという浮かれた気分、舞い上がったところに、少ない選択肢の中からクオリティに疑問を持ったまま、高額な商品やサービスを売る、というウェディング業者もいます。

プロである僕自身が実際に各アイテムを早い段階からコツコツ用意していました。厳選して、仕立て、着用して、確認して出した結論です。次回は各アイテムの購入金額をメモ代わりに書きます。

画像は、ある映画のワン・シーン、せりふ、ちょっと言いすぎだけど。

2008/03/30

GENTLEMAN'S VOYAGE 2



『人間であることのプレジャー (pleasure:楽しみ、愉快、満足、)』

このフレーズが気に入った。ほとんどの凡人は多かれ少なかれ、人間であることの“プレッシャー(pressure:圧力、苦悩、重圧、)”を生きているだろうから。

会うと、のびのび呼吸できて子供のようなプレジャーな気分になる相手もいれば、会うと一言一言を注意しながら喋らないとならないプレッシャーな相手もいる。どちらにしても、状況に応じて、必要な人間だ。

K氏からススメられて 『桃田有造の痛快一代記、われファッション・ブランドを愛す』出石尚三著を読んだ。

とことん好きなことを追究しながら売上100億円を超す企業にまで持っていった人物ならではの説得力。ひたすらまわりを楽しくさせた男、凡人がついつい発動しがちな相手に向けての高圧的なプレッシャーを、楽しくやる気にさせるプレジャーへと変える男。そういう印象を持った。

右脳満開の手紙文、自身の感覚で、美しいもの、美しい生活を追い求めた人。


私は人間が好きだ。 / 人生を美しいと信じている。 / 人間であることのプレジャー、人間であることを謳歌すること。衣装や服飾はそのためのものでなければならない。、、、、、 P161より

リッツ・カールトンのクレド(credos:信条)のようなものだろうか、“10マキシムズ(maxims:格言、金言、処世訓)”というものがあったらしい(P162~)。それは、

1 Humanity 人間愛
2  Creativeness 創造力
3  Flexibility 柔軟な考え方
4  Organization 組織
5  Sensibility  感受性
6  Passion  情熱
7  Responsibility 責任感
8  Knowledge  知識
9  Open-mindedness広い心
10  Aspiration  ロマン


もうひとつ、線を引いときたい(実際は借りてる本なので、引いてません)箇所は、

桃田の考え方はこうである。たしかにこの広い世の中には芸術品のように美しい服がある。そして日本には決定的に不足しているから、輸入されるべきである。しかし美しい服は、服単独で存在するわけではない。人間が着ることによって、完成品となる。そしてまた人間は、生活背景があってこそ存在するものである。ということは美しい服と、美しい生活とは不即不離の関係にあるのだ、と。 P140より

先日のジョブス氏のスピーチとともに、パワーが沸いてくる素晴らしい内容でした。

2008/03/27

EDWARD Suit 3


昨日は納品のお客様に小岩の僕の自宅兼オフィスまでご足労いただいた。到着が午後6時だったこともあり、自宅にいる母が普通に夕食を用意してくれて一杯やりつつご一緒にごはんを食べた。ごはんしながら世間話、人生話、そしてビスポーク。

われながら相当に珍しい接客スタイルで、かなり楽しかった。食事をしたりお茶したりしながら話すほうが、会話に抜けがあって、自由に希望やライフスタイルなどが聴けるのかもしれない。

しかしながらママごはんを食べながら、FRATELLI TALLIA DI DELFINO【フラテッリ・タリアディ・デルフィノ】がですね~とかBAMBOO(竹)素材がどうだのこうだの素晴らしいですね~とオーダー話をやりとりしている図は、絵的にあり得ない感じで愉快でした。

しかしよく考えれば普通のことだ。今日、昼間プリンターの修理に来ていたエンジニアの方の作業が12時にかかったので一緒に昼ごはんを食べた。パソコン設定苦労ネタで盛り上がって僕が無線LANの設定で挫折したままだと話したら、明日午前中にたまたま余っているから、ご好意で純正部品持参してもう一度設定しに自宅に来てくださるとのこと。まことにありがたいです。

人との出会いは、一期一会でしばしば『瓢箪から駒』。想定外の展開になる。『小岩のアラン・フラッサー』そしてプライベートのビスポークスタイルに近づくために、立ち上げ期にママちゃんご飯も追い風になってくれるのかもしれない。


※BAMBOO(竹)バンブーは、やわらかいシャリ感、清涼感のある生地です。この生地は100%BAMBOOで黒、260g/mのもの。リネンやコットンのようなざっくりとした素材感ではなく、シルクのようにしなやかで、上質なモヘアのような光沢感がある。竹の繊維を溶かして、やわらかく再生させた繊維。吸湿性に優れ、涼感があり、綿や麻よりシワになりにくい特長を持っているので、竹は夏服の粋であるし、未来の定番、必然かもしれません。

※画像は、自宅の作業台、兼食台。朝焼け夕焼けの光の下で能率があがります。

2008/03/21

GENTLEMAN'S VOYAGE 1




歩いている。

急いで歩くと目立ってしまうが、僕は少々右足のほうが短い。昔は靴底を調整したりして、なんとか矯正しよう、と試みていたもののもともとの長さが違うから、いろいろやっても結局はズレてくる。

ジムでも、下がった右肩を筋肉によって高く上げようと矯正気味にトレーニングしていたが、うまくいかない。こどもの頃、橇(そり)で木に衝突し左足骨折して骨が接ぐ際にバランスが崩れた。

しかしながら、今ではそれはそれで将来おじいさんになるのを待たずして、早々にスネークウッド(※)の美しい杖を持つ口実ができた、と楽しみにしている。

渡辺実氏の『銀座壹番館物語』の『ヘンリー・プールに教えられた洋服の真髄』という147ページ目、ある老紳士の描写で、


、、、、、肉体的欠点を少しも隠すことなく、服は体にしっくりなじんで、
美しいシルエットをつくっているのですね。、、、、


体型の欠点は、対処療法で直す場合と、自然にまかせる場合と考え方はいろいろある。必要に迫られてごまかさねばならない時もあるだろうし。

そういえば引越ししたので、名刺を新しく作る際に裏面になにか好きなことばでも入れようかな、と考えていて、好きな映画のワン・シーン、、、をいろいろ考えていた。

あったあった、何度観ても飽きない映画、

砂漠に取り残された仲間を救うため、決死の思いで辿り着いたばかりの目的地から再びひとりで灼熱の砂漠に引き返そうとする主人公。その主人公を引き留めようとして、相棒が(砂漠に取り残された人間はもう生きてはいないだろう、諦めるべきだ、という気持ちで)放った言葉


“It is written.”   それは運命だ


救出に成功して主人公がぽろっと言う、


“Nothing is written.” 運命などないのだ。


                       “ LAWRENCE OF ARABIA ”


しかしさらにそれに応えて、仲間は前言とは違った意味でつぶやいていたかもしれない、


“まさにこれこそが運命なのだ”  


みなさんはどちらでしょう?どっちにしても、すてきじゃないですか。どちらも言っていることは同じでしょう、という過激かつ優雅な考え方もあります。その時、その状況で、より強烈に精神を揺さぶるほうが、そのひとにとっての答えなんでしょう。


※ 画像は3月19日エド本人、ロジャー氏撮影。

※ スネークウッド
杖と離れるとアラームが鳴る、とか、忘れ物防止用のICタグをオプションでつけないと、ボケ気味で持ち歩くのはちょっと恐怖を感じる価格ですね。南米のやギアナが原産。極めて重厚で水に入れても沈む。心材が蛇の皮や象形文字のように見えることから、スネークウッドやレター(文字)ウッドと呼ばれる。硬さと木目の美しさから「木のダイヤ」「木の宝石」といわれる。模様が細かく均一に出ているほど美しいとされ、規格サイズに製材されず流通し、重さで値段が決まるほど貴重で高価な銘木。こちらのブログに、わかりやすくかかれていました。

※ P.S.
そういえば、水曜日は新宿伊勢丹 『UK WEEK』の「ロンドン カット」 に行った。さすがに歴史ゆえか、僕も現在取り扱っている老舗“デイビス・アンド・サン”も数点展示されていました。ホームページの対談も面白いしワクワクしますね。とは言っても、ぜひ来日してビスポークして欲しい、こんな魅力的なテーラーも発見した。 この戯れテーラーの隣の関連動画“ハ刺し”中の職人『Savile row Padding』も一見の価値ありだ。それから、たまたま通りがかりで、物凄い展示がさりげなく催されていて驚いた。ルオーはフェルメールと同じくらい好きな画家。ギャルリー ためなが 『ルオー展』。

2008/03/18

EDWARD knowledge 1




本日、同業者とイタリアン・スーツについて話していました。最近ぼくは彼に『ナポリ仕立て(小学館)』という本をプレゼントしました。この本はドラマティックに遠い歴史のドラマに誘われて職人の価値を大切にする文化的な背景と空気感が味わえます。

過去に師匠格から、イタリアン・スーツは大まかに以下4つを頭に置いて観察すべしと習いました。イタリアンスーツに関しては、確かに通常のブランド品と同じような見方はできません。

1 ナンバー1と認識されるのが、フル・オーダーのテーラーの中でも一部のアルティジャーノ(職人)の一群。イタリア国内で8000軒前後あるテーラーの頂点に君臨するカラチェニと呼ばれる5人のテーラー。ミラノ、ローマ、中央イタリア・マルケ地方にいて、創始者はドミニコ・カラチェニ。カラチェニとタグに表記できるの本家だけで後の人間たちは自分の名前を“カラチェニ”の前に入れなければならない、とミラノの裁判所で決められている。

2 次に位置するのが、サルトリア・プロダクション(仕立て屋縫製による生産方式)。ブランドとしてはブリオーニ、キトン、ベルベスト、イザイア、アットリーニ、セント・アンドリュース、バルベラなど。既製服づくりと昔ながらのビスポークが可能な人たち。エルメス、ランバン、プラダ、アルニス、エトロなどの縫製ファクトリーでもある。
 
3 3番手のグループは2つに分かれる。

(A) グループは伝統的なサルトリア手法を使用して工業化したグループ、ゼニア(日本人ビジネスマンは、このブランドが世界1だと思っているケースが多い)、カナーリ、コルネリアーニ、ヒルトンタイムなど。

(B) スティリスタ(デザイナー)のグループ。サンローラン、ヴァレンティノ、ロメオ・ジリ(僕がイタリアンスーツを最初に買ったのがこのブランドだった。)、ランバン、ディオール、フェラガモ、アルマーニなどの縫製レベル。

4 その他、メイドイン・イタリー既成ノーブランド商品群。

ものづくりと文化的背景、そしていわゆるブランドな威光を放っているスーツといえるのは1と2。ちなみに、“存在の耐えられない甘さ”を体現したら圧倒的(エド主観コメント)なマルチェロ・マストロヤンニの魅力を支えていたのが1、とは大いに納得だ。

2008/03/16

EDWARD Suit 2



商品クオリティ、好み反映の完璧度、納期までの時間、コスト、ブランド知名度、、、、ものさしの要素は無限にありますから、オーダーとして、どれが一番優れているかという問題ではありません。すべての選択はお客様の状況、価値観、考え方によって、どれがベストか変わってきます。正解はありません。

ちなみに、当管理人のエドワードが現在、販売しているスーツは 『 4 』 です。トータルなバランス感覚から4をお薦めしています。

あくまでももし自分が客なら、という視点で購入を考えたときに、僕としてはまず基本的なビジネススーツのワードローブ(グレー・ネイビー・黒の無地・ストライプ、シングルスーツ、ダブルブレステッドスーツ、3ピース・スーツの組合せ)を揃えます。まずは基本的な春夏(いわゆるSSもの)・秋冬(いわゆるAWもの)の2分法でのベイシックなアイテムを揃えます。

次の段階として、四季折々、ワクワクできるよう御洒落に楽しむ段階に進みます。春はサマーウールやモヘア、夏はリネンやコットンなど秋はツイードジャケット、冬はフラノやカシミアといった感じで揃えます。そしてタキシードを一生のうち3回以上着る方なら、ワードローブに加えることをオススメします。

時間とお金をかけて一点豪華主義で究極の1着を購入するより、ある程度満足できる自分用に仕立てられたスーツを“Time時/Place場所/Occasion状況”に対応できるように揃えます。余裕ができたら、日本の美しい四季を楽しむことのできる理想的なワードローブを完成させようと考えながら目の前の買うべき1着を決定します。

納得できる品質、予算、時間、労力、満足度をモノサシにしながら、1着のスーツを単発として考えるのではなく、トータルで『ワードローブ・コンストラクション』の完成を考えます。たかがスーツ、されどスーツ。キャラクター確立においてスーツは一部分過ぎません。そして完璧なスーツですら、パーツに過ぎません。なぜなら最終的には、そこに登場する一番の主役は人間だからです。

たかが1着、されど1着。各人がこの『完璧なるスーツ』さらに言えば、『物自体』というものに対する健全な懐疑の念を持ち、健全な直観で未来を一望しつつ、自分に合ったクオリティを決めるのが粋であり“知恵”であり、楽しみです。

2008/03/15

EDWARD Suit 3



EDWARDが提案する、オーダーメイド・スーツについて。スーツをはじめて購入される方から 『そもそもオーダーメイド・スーツについて教えてください』 と質問があったので、普段口頭で説明していることを書きました。

オーダーメイド・スーツといっても、いろいろあります。一般的には、ショップで展示されている既成のスーツから、ほとんどの部分を手縫いで仕立てられるフルハンドメイドのスーツまであります。価格帯は1、2、3、4それぞれに生地によっておおよそ5万円~50万円まであり、5のフルハンドメイドの場合は30万円以上からになっています。

1.既製服 → 2.パターンオーダー → 3.イージーオーダー → 4.カスタムオーダー( ※ EDWARD SUIT ) → 5.フルハンドメイド

 1 → 5 に向かうにつれて、工程ごとの選択・自由度が上がる分、フィット感や好みのフィーチャー(仕様・特徴)が反映されていく度合いが上がっていきます。とはいっても、必ずしも → の方向で満足度が大きくなる、というわけでもありません。

たとえば、既成スーツでも全体が好みの感じでフィットしていて、生地も仕立ても全体の雰囲気も御自身にピッタリ合っていれば、すぐその場で持ち帰れますし、すぐに欲しい・すぐに着たいという状況ではなおさらありがたいものですね。帰り道はうれしくてワクワクしますし。

2 のパターンオーダーは、採寸用ゲージ(実際のサンプル・スーツ)を着用してからその差寸で出し(長く)・詰め(短く)の数字を決めます。既製服と同じ工場でサンプルゲージごとの固定型紙で生産します。細かい補正はできません。そのかわり納期も早いですし工賃も安いです。

3 のイージーオーダーは、採寸用ゲージ(この部分はパターンオーダーと同じ)を着用してその差寸の数字を決めますが、そこから各人ごとの型紙を差寸をもとにして作ります。通常オーダーメイド・スーツの工場で作られます。パターン・オーダー以上に細かく補正ができます。

4 のカスタムオーダーは、採寸用ゲージがありません。型紙をゼロがら起こします。採寸するフィッターの数字で新しい型紙を起こします。イージー・オーダー以上に細かい補正ができます。オーダーメイド専用工場で仕立てられます。仮縫いはありません。お仕立てにおいては手縫いの部分とマシンの部分があります。

5 フルハンドメイドも型紙ゼロから起こします。仮縫いを何度か繰り返し行い、各工程にもじっくり時間も人件費もじっくりかけて納得いくまで究極の1着を仕立てます。ほとんどの部分を手縫いで行います。

そこで、1~5全体を見渡して、どれを選択するかという判断になります。

(とりあえず続きは、明日)

2008/03/13

ロマンチシズム一滴



ロマンティック(romantic)
1.伝奇的。空想的。浪漫的。
2.雰囲気などの甘美なさま。

ロマンチシズム(romanticism)
1.フランス大革命後から19世紀初めにヨーロッパに展開された文学上・芸術上の思潮・運動のひとつ、、、
2.夢や空想の世界にあこがれ、現実を逃避し、甘い情感や感傷を好む傾向。

ドラマチック(dramatic)
1.劇的、波乱に富むさま。

               広辞苑(1992年10月9日 第四版)


この話は好きだ
この感覚は心に残る
そのフレーズにハッとさせられる

ふとしたコトバに美しい世界像がバーンと閃いた、、、

自然の美しい景色を見ながら、なんてことない世間話をしながら
のびのびした朗らかな気分でいると、そんな最高の感覚がやってくる。
またまた、K氏のご好意で湘南の海や港街の風景を楽しむことができた。

静かだった2月が過ぎ、先々週あたりからお客様アポが増え(ありがとうございます)バタバタしていたけれど、僕の頭の中はその一方で、全く別世界を夢想していて、それはそれでまた別軸で忙しい。書きたい素敵なネタが余ってダブついている。

妄想や空想が無意識的に本業と一致していく感じが大事だ。ちょっとした感覚がアイディアやアイデンティティに結実していくのは幸せなこと。ここぞという時に強い“前向き感”があれば、それらは仕事ともキッチリと一致していく(はずだ)。

どんどん研ぎ澄まされて小説読んでても物語を額面通り受け取るのでなく、
その描き出す世界観や微量のフィーリングをきっかけに
頭の中がグランド・ツアーを始める

ある人にとっては、通り過ぎていく話
別の人にとっては、かけがえのない話
人生という長旅を、楽しめる感覚は人それぞれ、


最近印象に残った話
“何の気なしに抜くのをやめて”

櫻井氏の談話、
“その車はまるでエイのように地面にへばりついて、信じられないようなスピードで走っている。それが式場君の輸入してきたポルシェ904だった。”


   画像 )エイは靴になっても優雅なんですね。



※ Galuchat(ガルーシャ)、Stingray(スティングレー):エイ革。Shagreen(シャグリーン):粒起皮・鮫皮。明るい色や淡い色は、黒のものよりも均一染めの加工が難しい。日本でも装飾武具装飾として刀の柄(つか)や、正倉院所蔵の「金銀鈿荘唐大刀(きんぎんでんかざりのからたち)」にも使われている。 1000年以上前から使用されている。博物館などで“鮫革”と呼ばれていても、実際はエイ革ということも多いでしょうね。 全日本爬虫類皮革産業協同組合の解説

2008/03/06

いつ種を蒔くかということを知っている者



“神主”の起源はそういうところだったらしい。

先日4日(火曜日)朝6時30分から九段会館にて朝の勉強会に出席し、神社の宮司さんのお話を聴いた。神社に参拝する際に水で清める行為作法について、、、

“左手を洗って、右手を洗って、手で口を漱(すす)ぐ、左手を洗う”という基本的なことから

“昇殿参拝(しょうでんさんぱい:お祓いの後、本殿にて玉串を奉り、参拝すること)ではネクタイ着用、モーニング着用”が理想的、とか

“厄年の御祓いに、ジーンズで来られるのはちょっとどうかと、、、”

などなど、たくさんの学びがあった。

礼儀作法は、それをしなくちゃ恥ずかしい、などと堅苦しく考えるのではなくて、ある意味、その作法をする(なぞる)ことは、先祖の歴史と知恵を追体験できる実にありがたい機会だ、と考えて堂々としているほうがいい。

所作としては既に日本人のDNAに刷り込まれているだろうし、その作法が継承されているのは、突き詰めると、歴史がそれを“知恵”だと認めているからだ。自分なりに文化的背景を楽しみながら、少しずつ理解して、ゆっくり深く味わう。

歴史や伝統、ファッションの世界でもいわゆる“トラッド”な意匠は“ゆっくり深く味わう”という姿勢に大して、そのままゆっくり深く付き合ってくれる。

仕事柄、お仕立てするお客様は、自然でありながら静かな自信に満ちて、世界中どこにいようと、何があろうと、堂々とした佇まいであらんことを、と願いながらビスポークしている。

タキシードの着こなしを日本人であるぼくらはある程度努力して学んで身につける。しかし、そのマインドまでは遠い。しかしそれを知りたい。マインドは世界共通だから、和のマインドを通して世界を理解できる。

ドレス・コードだけでは不十分だ。そのマインド・コードも感じたい。自分を知り、歴史も知り、とことん豊かに楽しむために。

2008/02/28

春の予感、春の余寒。



ファッション、そしてスタイルをあれこれ楽しく思い巡らせるに、何ものにも左右されない不動の装い、というのもちょっとツマラらない。だからといってメディアからの、特にファッション雑誌からの時々刻々の流行に左右されるのも退屈だ。

今年は“アメリカントラッドのニュアンス”がキーワードだという事で、よしよしアメリカなんだな、そうかワクワクするぜ!という感性ならば、その感性を生かして充分に楽しめるだろうが世の中は幸いなことにそういう人ばかりではない。

で、何か流動的なものはないか、と考える。むしろ左右されたくなるような、流動的な要素はないだろうか、と。

春の陽気の一方で、ぶり返す寒さを“余寒”というらしい。今日は陽気に誘われて、友人のプレゼントのために本屋に行ったついでに購入した、『俳句歳時記』(角川文庫、ちなみに角川春樹氏が詠む句は好きだ)を読みながら、妄想が展開し始めた。

場所はセヴィルロウ@ロンドンのパブ。僕がギネスを一口飲んでいる。そこに、老舗“アンダーソン&シェパード”勤続40年の老テーラーが隣に座る。そして隣の男が、東の果ての国からやってきたテーラー業の人間だと気づいて、話し掛けてくる。

発祥の地ゆえの、深い文化と歴史。そして現場のたくさんの貴重な物語を語ってくれる。最後に笑いながら言った

「君は何しにここに来たんだい?学ぶことはあったかい?」

そこで僕が応える。

「ぼくがいる国は、ここロンドンと違って、4つの季節とその前後の細やかな移りかわりを楽しむことができます。たとえば日本の春は、一発で場面が劇的に変化する“Spring”、というよりも、2つの季節を行ったり来たりする“Spiral staircase(らせん階段)”のような感じです。顧客とのビスポークはもちろんのこと、人々は日々、『季節とのビスポーク』を楽しんでいます」

余寒も予感も。そんな日本の四季を楽しみながら、誇りを持って、彼らを羨ましがらせてみたい。

2008/02/26

The first SPRING storm 春一番


※カントリージャケット(Country jaket)スポーツ・ジャケットの一種。本来は地方のカントリーハウスやカントリー・クラブで着用したスポーティな替え上衣。とりわけノーフォーク・タイプやシューティング(射撃)タイプのそれを指した。現在では一般に変わりデザイン(ひじ当てや肩当てや背バンドや変わり型ポケットなど)を特徴とするツイード系の服を指している。(※『男の服飾事典』 メンズクラブ)

友人のP氏と話していたら、イギリス人の友人のオートダイヤル機能には、“H”と“M”と“C”の文字があるんだ、と言っていた。それぞれ、“Home”“Mobile”“Country House”のことらしい。おおおさすが、と思い、その瞬間から、カントリーハウス幻想(妄想)が僕の中で大きく広がった。カントリー・スーツ、カントリー・ジャケット、カントリー・ウェア、カントリー・ツイード、、、。いつもの、ハンディ服飾事典にもいくつか登場する。

実家に帰省し、最近ようやく手入れした庭で、(ここは田舎にある僕の実家だ、ではなくここはカントリーハウスだ、という見立て妄想中なのだ)読書&アフタヌーンティー。読んでいる本は、タキの『ハイ・ライフ』、最近Kさんから教えてもらったすばらしいエッセイ・ブログに登場していて、実家に帰るなり記憶を辿り、本棚に直行した。

なるほど、当時姉貴から教えてもらってけっこう好きだったこの本、いってみればセレブリティカルチャーの本だったんだと再確認。当時の子どもだった僕にはセレブリティという概念すら無くて、当時は大藪春彦の小説『汚れた英雄』と同じ匂いがするということで読んでいた。

AGRITOURをお洒落に楽しんだり、ピクニックをお洒落に楽しんだり、パブリック・フットパスとは言わないまでも、公園散歩を楽しんだり、とたくさんのカントリー擬似体験は身近にできる。お洒落に楽しむ場合は、カントリーを単なる“田舎”とは訳さないとのことらしい。

田園?豊かな自然を持つ土地、とかそういう訳し方なのだろうか。いずれにしろ、とても優雅でおだやかな時間。記憶と失われた時を求めて、急遽、実家の庭に椅子を出して楽しんだ。気持ちよかった。

2008/02/11

的を射抜く



そうありたい、と願っている。パス回しばかりで一向にシュートの意志が見えないようではいけない。ビリヤードで的球を狙うとき、文章を書くとき、お客さまとビスポークしているとき、そしてプレゼントを贈るとき!的を打ち抜けた瞬間というのは不思議なもので、自分はど真ん中を射抜いた、ということをアクションした瞬間に知っている、悟っている。でも今回は射抜かれてしまった。



僕はお酒は強くないが楽しめる。“コニャック”は今年、仲間のロジャー氏との会話の中で2008年のちょっとしたキーワードになっているアイテムだった。贈っていただいたのは、かれこれ知り合って6、7年になるのだろうか、SさんFさんご夫婦から、僕のお祝いごとで。Sさんは、インスピレーションに満ちて、上品で、エロティックで、美しいものたちからの周波数を受けとめているひとだ。



プレゼントという行為は本当に楽しい。私が日々お金稼ぐ必要ない立場になったら、えんえんと知り会いにプレゼントを贈ることをやってみたい。結構深い世界だ。そして楽しい。今でも、旅行先でも、ああこれは○○さんが喜ぶだろうな、とか洋服屋に行っても、ああこれは○○さんの△△のアイテムをあわせたらめちゃめちゃカッコいいな、とかそういうことばかり考えてしまう。そういう時、精神はすこぶる健康でしあわせだ。

2008/02/06

Boutonniere その1 タイト・ジャケットの工夫。



Boutonniere、ブートニエールは「ボタン穴」を意味するフランス語で、広義では衿穴(眠り穴)と、そこに差すための花まで含む。自分用に仕立てているスーツはシルエットがやはりタイトだから、留めるボタンは常に過労気味だ。ついには生地の縫いつけ部分から伸びてきて最後はボロリと昇天してしまう。昨年仕立てたばかりのハリスツイードのジャケットも第2ボタンが伸びてしまって時間の問題で取れそうだ。

なぜ第2ボタンかというと、あらかじめ第1ボタンは装着頻度が高いのがわかっているので、第1ボタンの引っ張り消耗度数を少しでも減らすために、第2ボタンばかりを使っているうちに先に伸びてしまったのだ。確かにジャケットのインナーに厚着するスタイル、そして、そもそもがタイトすぎるからそうなるんだ、ということだろうが、生地にボタンを縫いこんであるという加工自体を根本的に考えてみた。

いつもピアスのトップを耳から引っ張っているような不安がある。そもそも一点引っ張り剛性、なんて想定されてない生地。縫い付けられている狭い範囲に集中的に力が掛からないように、できるだけ全体に引っ張られる力が分散されて消耗しないで済む方法があるはずだ。定期的にボタンが取れてくれて、メンテナンスにかこつけて次なるセールス展開が容易、という考えはこの際捨てる。スタッズボタンとしての機能を持つT字カフリンクス型のスタイルはどうかと思って出来上がった。



で、ちょっとしたアクセントにもなるし、手持ちのカフリンクスでも使えるものがあるはずだ。ナチュラルなロジャーブランドのカフリンクスを装着。さっそく、東京積雪の日曜日夜、知人のホームパーティにこれで参加した。黒の細コーデユロイ(生地は逆目、しかしコーデュロイはいつも逆目がいいとも限らない。昨年自分用に発注した淡ベージュのコーデュロイは逆目より順目の方がよりイメージに近かったとトライ・アンド・エラー中)結構使える。



ボタンを気にせず安心してタイトなジャケットが着られる。好き嫌いの問題かもしれないが、これで普通のボタン型カフリンクスをつけると、外から見ても何も変わらない。ただボタンまわりが消耗品ではなくなった、という点が違っている。

>>Boutonniereまわりのあしらい方全般、ご興味の方はメールにて
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、ご相談承ります。
                                           

2008/02/01

Lounge“THE AQUARIUM”@DUNHILL GINZA


Koh “伝説の男”Miyake氏、20年前からテーラーとして現在のスタイルを確立しています。

美しいもの、素敵なもの、ワクワクさせるものに対する天才的なアンテナを持つK氏。Lounge“THE AQUARIUM”@DUNHILL GINZAは、氏から教えていただき、銀座ど真ん中の静かな隠れ家ラウンジとして打ち合わせに使わせてもらっています。それにしても、世の中は狭いですね。



お気に入りの生地を手に入れたK氏の、ちょっとしたリクエストに応えようと思い、氏にKoh Miyake氏を紹介しました。2人の会話で、世の中の狭さをつくづく実感することとなりました。約20年ほど前から現在へ到るまで、テーラー業界の人と人の出会い。みながそれぞれに影響を受けつつ、与えつつ、教えつつ、教えられつつ、歴史があります。

ラペル周辺のディティールをボンヤリ見ながら、ぼんやりと空想します。お気に入りのスーツ⇒眠り穴、ラペル後のフックを手縫いで加工⇒フラワーホルダー選び⇒生けるお花を選んであしらう、準備万端整。ちょっとした緑のきれいな公園にでも、ワインと手作りサンドイッチを持って散歩に、あるいは畑に出掛ける。何て気持ちいい休日でしょうか。

ゆるく、おひとり様でも、みんなとでもO.K.。お洒落して、ちょっとジェームス・アイボリー映画な感じと、自然や人間に対する見識と知恵をあわせ持った、未来的なアウトドア・スタイル。シルクハットにステッキだけではない新しい紳士文化に向かって、着実にGENTLEMAN'S VOYAGEを楽しみたいです。

2008/01/27

The gentleman “Mr. Orange” @MARUNOUCH



はじめは冗談で話していたものの、現実的に一瞬でキャラクターを確立させた上野氏。このブログの最初の日記は氏の胸元です。みかんを扱っているから、もうオレンジスーツ!とかそれくらいのものでもオッケーな覚悟ありますよ。と、初対面で気さくに語っていました。以前学芸大学にて待ち合わせた際、商店街の向こうからやってくる氏を見た瞬間、来るぞ来るぞ、とわかっていてもあらためて想定外のインパクトを受けました。

つまり、僕の視野にある全物体のうちで一番目立っているのが上野氏でした。凄い!まわりの看板にも勝っている!オレンジを自分の色にする、と決めてしまうと、可能性の幅を狭めたり、制限を設けるように感じられるのですが、むしろシンプルなひとつのキーワードが大きな求心力を生んでいるようです。オレンジという言葉が氏にリンクされた瞬間、世界中のオレンジ・コンテンツが彼にむかって一気に伸びてく状況。そんな現象を楽しんでいるようです。

オレンジ・レンジのCD、エルメス(ブランドカラーがオレンジ)のオレンジアイテム、フルーツのオレンジ各種、オレンジ川(南アフリカ共和国とナミビア共和国の国境河川)の観光地への斡旋、などなどオレンジを巡るキーワードを扱うショップ。まさにweb2.0的なコンセプトのショップ、そんな空間が将来できてしまうかもしれません。

2008/01/16

L' ANNEE DERNIERE A MARIENBAD


ドライブがてら小坪のイタリアンに行きましょう、昨年K氏からの約束で、ゆっくり楽しんできました。逗子は夏のにぎわいが想像できるだけに、オフ・シーズンの静けさにも格別の魅力があります。

2008年、年明けスタートから無意識的ながら精力的に動いていたので、きれいなものを観て、おいしいものをゆっくり味わったりすると、はりつめた感性が揺れてきてふわふわに戻るようです。

海を見ていると、気持ちがゆっくりしてきますね。遠くのさざなみが小さく小さく、きめ細かく、よくみると微かにゆらゆらしています。時間、空間、記憶、約束、思い出、そんなものを、ゆれる波間に見出してしまう感覚もさもありなむ、と感動しました。


肌寒いながら、秋空のような透明感がとても心地いい。遠い上空のトンビの鳴き声とK氏と江ノ島。


泳げないプールもいいですね。


影が長くなってきています。


PICCOLO VASO、すべておいしいでした。たしかに満腹なるまで食べたので夜までお腹が空きませんでした。


慎太郎氏が息子に参拝をすすめる、との小さな神社。なんてことない神社ですが、披露山というとんでもない高級住宅地にありました。


歩いても行けるそう。


マセラッティはフェラーリより歴史が深いらしいです。僕のまわりは皆魅力的な車に乗っているので、当分免許とらなくてもいいですかね。葉山音羽ノ森ホテルはバレット・サービスがつき、スタッフ2名が寒空の下に常駐しておる模様。


水平線が淡くかすんできます。


いつもながら、たくさんのインスピレーションをくださるYさん。彼女の着こなしは大御所業界人からの注目度も高いのでは。街頭ファッションチェックの番組にて、あのピーコが毒舌を発揮できず、むしろ絶賛した過去あり。


青春は沈みゆく太陽だ、とはコッポラ監督の言葉だったよな、とかなんとか考えていると、K氏がポツリと、ほれ、葉山のカラヤンが来られましたよ、とか人間ウォッチングコメントを飛ばしたりで常に爆笑。30代前後の女性客が3人連れで、見晴らしのいいカウンター席に座り夕暮れ時の静かな海を眺めていました。夕日が沈むのは、ほんと一瞬の出来事なんですね~

2008/01/01

2008年、あけましておめでとうございます!!


昨年末、オフィスに掛けていたお札の焚き上げに行きました。赤坂、日枝神社にて茅の輪をくぐりながら祓(はら)へ給(たま)ひ清(きよ)め給(たま)へと禊中。特にお願いは一切せずに、型通り、そして感じるままに動くままに。

年末、フリマ初体験しました。九州鹿児島の実家でもやるぞ~と企画がもりもり湧きました。素敵な出展者の方と仲良くなって、セビルローブランドのボタンセットを記念にといただきました。ありがとうございます。


年末は、スーツの陰干し、数時間涼しい風を通してあげました。基本的にジャケットはクリーニングしないですむならしないほうが良いですね。さすがに夏場のトラウザーズをクリーニングしないというのは厳しいですが、、、



魅力的なもの、美しいこと、良いこと、そして古今東西の知恵について深く静かに豊かに話せる仲間が沢山できること、これがこの1年の個人的な目標です。こちらのサイトにたまたま立ち寄られた一期一会の方々も含めて、みなさまは、2008年どんな年にしたいでしょうか?