2010/09/30

ビスポークしたら、身につけて旅に出よう


2007年に作った、グレージュ(ベージュとグレイの中間)の大きめウィンドペイン(ピンク)のダブルブレステッド6×2のスーツを着て、2009年渡英した際、メイフェアのホテル 『 コンノート 』 にて。実は、ラルフローレン本人がここに宿泊した際、彼のショップのインテリアをすべてこのコンノートスタイルで、という方針を決めたとのこと。このことはあまり知られていません。

夜に下の階のクールなクラブで遊んで、店を出る際にドアを開けてもらいながら 『 Good Night Mr Koba 』 とささやかれ、すべて気持ちよくフォローしてくれている距離感に感動しました。以前は爵位の無い方お断り、という超エクスクルーシヴなホテルでしたが、今はそんなことはありません。クウォータリーに送られてくるニュースレターの旬の洗練されたデザイン、そして粋な人生を愉しむ哲学には、毎回圧倒されます。

エドワードエクリュは、サロンという小さなスタイルなのですが、トラッドショップは、やはり天井が高くて、ゆったりと自分のスタイルを心おきなく思い描ける場所、というのが一番ですね。ところで、『木を見て、森を観る』という考え方を服飾業界にあてはめるとしたら、スーツ一着から発想して、それを着てどれだけ人生を楽しめるか?を思い描き・行動することだと思います。

背広を誂えて、背広に詳しくなるのもひとつの方向性だと思います。しかし、それでは勿体ないし、残念だ。誂えた後は、それを着て旅に出るというのも、これまたもう一段ステージを上げて人生を愉しむための、最高のチャンスであるし、誂えたものを生かす(効かせ尽くす・機能させる)最高の方法だと思っています。


2010/09/29

ほぼ、夏も終わりましたね


気温と湿度のおっそろしく高い夏が過ぎたと思ったら、もう冬の気配を感じさせる風。しばし秋を堪能したいものですね。

2010/09/28

神楽坂にはコーレスポンデント・シューズがよく似合う 2


こちらも、靴をハンド・ソーンして自身で作れるレベルの玄人はだしの腕を持つTsuTsu氏にエドワードエクリュから納品したコーレスポンデント・シューズ。タンレザーは焦しのヴァニッシュド加工ではなく、自身で磨いたり、パテーヌ(ベルルッティ的にいうと)したりして育てる靴です。コードレーンのトラウザーズに合わせています。このちょっとふんわりクラシックなたたずまいと、神楽坂の石畳が良く似合っています。

今回、自身がどっしりした英国生地 『オイスター』 でダブルブレストのオーダー、チャコールグレイの秋冬もの。そして、今年ご結婚されたのですが、奥様用にも、大人の端正なスーツをオーダー。歯磨きなどで有名なL社にご夫婦とも勤務されておられます。

L社は、新モデル開発において、旧モデルよりもクオリティが下がると、それがいかにコスト・パフォーマンスがよくても決して稟議に通らないのが社員全員周知の大原則らしいです。一見当たり前のことですが、グローバルに見た時に、資本の論理、利益偏重の中にあって、昔ながらのこういう日本企業らしいおおらかな側面は、大切にすべき無形資産なのでしょうね。

2010/09/27

英国からの鼻息が消えぬうちに、


先週からエドワードエクリュ製の靴納品が続きました。TsuTsu氏のコーレスポンデント靴は、毘沙門前の石畳の上で一眼レフで撮影したのですが、今日はメディアが手元にないので、↑Tくんのものから。ご紹介。昨今注目のグリーンのスパイスが効いた一品です。中心部はヌバックの白。吟積底仕様。

ロンドンに2週間滞在し、帰国したばかり。いろんな体験談に大笑い。老舗有名靴店にて、英国人スタッフが彼を上から下まで目チェックし、オオオ~ビューティフルスーツ、と褒めてくれて、ツツツーっと目線が下に降りて、足元に到達した瞬間顔を曇らせ、“ オ~マイガ~ ” と叫び、仲間スタッフを呼び、その靴はそのスーツには違うよ、という説得が始まったこと。

ちなみに、その時にスーツは、エドワードエクリュ製の6つ釦2つ掛け迫力あるダブルブレスト(生地は、通好みのMINOVAのSUPER100前後のずっしりした味わい深いシャークスキン)。なにもヘンテコ仕様を一切やらかしていない、ややタイトで、上着丈も今風の短めでない、本物の大人の男の着丈。

ちなみに足元は、素朴で履き古したオールデンだったそうです。そのスーツには、どう考えても英国靴でしょ!というわけです。


そこで、彼が購入した靴↑、その他、ジョンロブでも購入した模様。普通の英国靴好きにとっては、ノーザンプトン詣でをした時点で、ほぼ散財確定、そして買い物終了でしょう。そこで、上の緑 × 白ヌバックで、フレッドアステア的パターンと説明したところ、そりゃ物凄くファンタスティックだ!!と褒められたとのことで、ご機嫌なT君でした。なにしろ、長年の夢が叶い、大笑いの武勇伝もたくさん作り、晴やかな風貌になっていました。


2010/09/26

たとえば、3種類のテイスト、


たとえば、ちょっとした財産があり、プライベートバンクに預けることとなったとします。以下の3人のうちどのバンカーだと安心を感じるでしょうか?

1. 流行のスタイル、隅々までハイ・ブランドで作り込まれたコーディネート。

2. 適度なトラディショナルスタイル、控えめながら上質な素材とフィットした仕立て。

3. 洋服より中身で勝負との気合で、まったくスタイルに頓着しない、ガタガタのスーツスタイル。

やはり、クライアントとは定期的に会うことが必要となりますし、もしかすると、自分のコミュニティの知人や友人にも紹介することになるかもしれません。プライベートのパーティーに来てもらうことになるかもしれませんね。

いろいろな方に尋ねてみても、基本は 2.のトラディショナルスタイルだといいます。短期的なトレンドを追っかけたスタイルではなく、長期的に愛着を持って、愛用できるもの。まさに、短期よりも長期のお付き合い、という理想的なプライベートバンカーそのものの姿勢をスタイルで体現し、証明しています。

今回、FIFAワールドカップの英国チーム公式スーツと同じ生地(エンパイアー・ミルズ製のバーズアイ)で話題づくりを仕込みつつ、3ピースで誂えられた 亀田潤一郎氏 、優秀な税理士です。先日の空海のお話をされた大栗道榮氏の会でお話した際、四国お遍路さんを完遂されたお話を伺い、大いに尊敬していたところです。

ちょっと固めの印象ながらも、誠実で情熱的なお人柄。生地が350グラムほどのずっしりしたディグニティを感じさせるものだけに、ちょっとシルエットを攻めてみました。ベストのVゾーンもかなり上にとりました。細く見せるところは見せて、視点を上げます。基本的にアウトラインは縦・縦を感じさせて、クサビ型です。

昨今まで継続している着こなしの流行りで、タイトフィットが流行っているからと、バストや肩まわりをぴたぴたにしておられる方(セレクトショップのスタッフの紳士達)が多いのですが、タイトなバスト寸より、ヒップ寸(ジャケットの毛廻し寸)がぽてっと大きいと(訂正前は逆の表現になっていました、失礼)、 『 下の玉が、上の玉よりずいぶん大きな瓢箪(太めのえびすさん体形、日本のおふくろさん的) 』 シルエットになってしまいますので、要注意ですね。


2010/09/25

スーツたちは、風通しのイイ場所が大好き


スーツの歴史など、今は簡単に携帯からウィキペディアなどで閲覧できます。かんたんに一瞬で手に入る情報という点で、それ以上でも以下でもないのですが、最低限は知っておいて損ではないでしょう。しかし、これだけ天気の良い日は、歴史の勉強以上にメンテナンスが大事です。

影干しして、風通し良い場所にかけて風にさらしておくと、さら~り、軽~く、ふ~んわりとした風合いに戻ります。愛情を持ってブラッシングして干してあげましょう。左から二番目、コードレーンの3ピースとともに、左から3番目のモヘア素材のダブルスーツ(6つボタン2つ掛け)も真夏にも着られる一品ですね(汗かかない人に限り)。

2010/09/23

中秋の名月、今年はよく見えました


午前中は、ジェット氏ご紹介のヴィーナス・コーチングで売り出し中の河村晴美さんのスタイルづくりの御相談&再採寸をいたしました。一度以前来られていましたが、スタイルづくりに、どうしても追加したいアイテムがあったので、再度採寸が必要で、ご足労いただきました。美人でいらっしゃりながら、男前入った大人の女性。

コーチングにおいて、『 叱り 』 がキーワードの彼女。ランチご一緒しながら、『 愛情持ちながらも、モナコ王子を叱りとばしているグレース・ケリー 』というスタイリングでいきましょうか?などと半分本気・半分冗談で反応拝見しつつ、着々と、残酷なくらい徹底的にミッション遂行させていただきます。

夕方ジェット氏が来店し、秋冬のスタイリングの件を近所のジェラート屋 “ テオブロマ ” にて御相談。22日が僕の44歳の誕生日だったのですが、財布・小銭入れとお揃いのリザードのカミーユ・フォルネの領収書入れのプレゼントいただきました。ありがとうございます、さすがサプライズでぶっ飛ばしてきます。



午後7時東京発の横須賀線で妻と鎌倉へ。車内でビール飲みつつ。。。早朝歩きが好きなので、寝る時間は常に小学生並です。↑フラワーホルダーに入れる花を常に探しています。そのためには、まっすぐ上に向かって生えている花ではなく、枝から地面と平行に咲いている花が理想です。



海に近いホテル(鎌倉パークホテル)でした。シンプルで快適なホテルですね。もっと自身、貫禄ある背中に精進しようと思っています。


海はいいですね。目の前が由比が浜です。5時30分ごろの海です。やはり海は山や森とくらべると、空気が少しベタっとします。それでも早朝ということもあって、(ようやくですが)秋の風が切なくなるくらい気持ち良いでした。

クリアーで冴えたスピリットを味わうのは、ある意味とても簡単です。はやく起きればいいだけです。そしてゆっくり歩けば一層深く味わえます。







打ち揚げられた昆布の色は、煉瓦色のようなトーンがありますね。お気に入りのいい靴履いていても、躊躇せず、どんどん歩きます。鳥取砂丘だろうが、砂浜だろうが。そのかわり、きちんと休ませて、お手入れいたしましょう。



モノレール萌え、のいくつかの理由のうちの一つ。江ノ島ホームから緑の中に突っ込んでいきます。逆に緑の中からゴリラが登場するようなサプライズ感で列車がガサ~っと草を搔き分けて出現してきます。。。



N尻邸にて、ちょうど昨年、夏の終わりくらいでしたか、素敵なジェントルマンズお月見会を愉しんだ場所です。おしゃべりに付き合ってくださり、近況など、あれこれお話させていただきました。ありがとうございます。

前日の八芳園にて、月を模ったヘアスタイルでキメられたワンダーウーマンの奥様のスタイルを見逃したのはまことに残念でした。端正で書生的風貌+ビルドアップした肉体でいつも若々しくおられるN尻さんとエプロン姿の奥様の雰囲気が、歴史あるこの屋敷によくお似合いです。



今年は、月も鮮やかにはっきりと冴えて見えました。鎌倉の街角に気持ちよく浸りきることができました。ありがとうございます。いい年になりそうです。


2010/09/21

香りについて


ここ一年くらい個人的に使っているものは、『トゥルフィット&ヒル(TRUEFITT&HILL)』の『CLUBMAN』。切れ味のいいシトラスの香りと、深みのあるフローラルの香りが静かに控えめに漂います。ちょっとイクスクルーシブで辛口のジェントルマンズクラブ的な世界を表現しているように感じます。決して軽やかとはいえないし、大手ブランドメゾン系にはない、歴史のどっしりした重みも、気に入っています。

『トゥルフィット&ヒル』英国王室御用達のヘアカッターとして、1805年にロンドンのメイフィア地区ロングエーカーにオープンした理髪店 『 TRUEFITT&HILL 』 のフレグランス。英国・欧州王室関係者はもちろん、ディケンズ、オスカー・ワイルド、バイロン、ヒッチコック、ローレンス・オリビエ、フランク・シナトラ、フレッド・アステア、ケーリー・グラント、ボー・ブランメンル、、、

これらの名が顧客名簿に連なっていたら、クラシックダンディにわずかでも興味ある方ならだれでも試してみようと思うはず。2000年に世界最古の理髪店として「ギネスブック」に認定されたとのこと。



昨日のパーティーでホストの奥様にお土産がわりに持参した、RALPH LAUREN の『 GLAMOUROUS 』 数年前、香り、お客様に合う香水を研究していてコレクションしていましたのでストックがかなりあります。このグラマラスも好きな香りなので、もう一本持っています。

この香水は、いまのはやりからすると、やや重めのフローラルフルーティ系といえます。(とても覚えられないので)資料もとに説明すると、“ エキゾチック ” “ オリエンタル ” “ グラマラス ” トップは、苦みのある柑橘系の香り、そして爽やかさな甘さ。ミドルは、チュベローズ、クレメンタイン、プルメリアの芳醇さ、ラストは、クリーミーなカシミアムスク。ベチバーのオーガニックな土の香り。ペネロペクルス愛用ということで、黒髪でセクシーな彼女に似合う香りとのこと。黒髪で大人の女性に似合うものですね。

男性・女性そして、それぞれのキャラクターでぴったり映える香水もちがってきます。

2010/09/20

21th Century Dandy , good cooking , good looking


ほんと偶然のきっかけからですが、“ いま、神楽坂にいるんですけど、エドさん店にいますか~? ”とM氏から電話が入った時、僕はエミー姉妹と神楽坂アーディッシュにてランチしてました。彼女が催しているアートセミナーの第4回 『 英国ジェントルマンとダンディたち 』 に登場させていただく件で打ち合わせをしていました。アカデミックで愉しい夕べになるはずですよ。




で、“ んじゃ、このタイミングも不思議だから、せっかくならジョインしたら?” ということでランチしながら、粋で賢いリノベーション住宅で、NHKでも採り上げられるほどの彼の自宅が話題に。そのまま、ホームパーティーすることに話が進み、昨日のアフタヌーンパーティーへとなった次第です。





新鮮な人参のサラダから始まって、ブロッコリーとポテトのキッシュ  ⇒ アスパラ・ソテーのコンソメジュレ添え ⇒ 牛テールスープ ⇒ 牛テール赤ワイン煮込み+マッシュポテト ⇒ チーズ ⇒ 葡萄+ウォッカ、、、、これをM氏がすべて仕込みから料理、サーブまで、恐るべし。。。





最後のウォッカはフランス産の葡萄から作られるウォッカとのこと。これを生の葡萄と一緒にたべる、、、ロンドンでは、男子はビールがんがん飲んで、女子はウォッカをレモネード割りにして飲むとの、エミー姉(エリコさん)のコメントでした。赤ワインはフルーツの重みを感じさせるオレゴンのワイン、なんだか忘れてしまったけど、透明感のある白ワイン、油断したら危ないデザートワインといった具合。。。


 


さっそく、昨日・昨昨日と食べ過ぎてるので、今晩はデトックス気味に、昨日のデザート部分だけを抽出。ウォッカのレモネード割りのスミノフそしてクリームチーズ。しかしクリームチーズが呼び水となって、パンに行ってしまったので、いまいち、キレ味の弱いデトックスとなりましたよ(笑)

2010/09/18

エドワードエクリュサロン@神楽坂へのアクセス


先日金曜日、ようやくエドワードエクリュのHPの情報を更新しました。特に今まで、ホームページにあってアクセスは自宅兼仕事場だった西小岩へのマニアック道案内だったので、やっとこさという感じです。こちらが新しい神楽坂サロンへのアクセス説明です。

ひさびさ友人のロジャー氏宅@祐天寺に行き、更新作業をしてくれました。ありがとう!でっかいマックが設置されていて、パワーアップしてました。この下の花が挿してあるほうの写真のバルカラーのジャケット&トラウザーズは、数年前ゼニアのハイエンドの生地を使ってエドワードで作ったものです。





道順書きながら、いちいちもっと書きたくなるところを、短めに抑えて書いたのですが、一度、美味しいお店、佇まいの良い小道、昼下がりの陽だまりが萌えな坂道など、めちゃめちゃ細かくコメントしてみたいもんだと思いました。とりあえずは、おススメな1時間デートコース、2時間、3時間、というのを案内してみたいですね。

下は、今月6日月曜日、神楽坂のおいしいイタリアン、アーディッシュの定休日だったので、気分転換にエドワードのジャケット&ベストでドレスアップしたS君と、駒形橋カフェ 『 ムルソー 』 に浅草の空気吸いに行きました。昼下がり墨田川見ながら、いなたい浅草界隈の風を感じ、遠くには建築中のスカイツリーも見えるし、ゴキゲンな昼下がりでした。
 

※ いなたい  :  俗語。洗練された演奏の中に効果的に現われる単純かつ、黒人っぽいフレージングやプレイスタイル全般を指す。音楽的にはブルーノートや同じフレーズの繰り返しなど、エンターテイメント性の高い、観客受けのする演奏を指すケースも多い。元々は音楽関係者用語で、関西が発祥と言われることが多いが詳細は不明(関西でも通じないケースも少なくない)。All Aboutの解説より

2010/09/13

Moustache et Bowtie 口ひげとボウタイ


本日は、ウェディングのための一式をそろえられた、H氏がボウタイの結び方を最終確認しにやって来ました。シャルベや、ポールスチュワート、エスクァイア本などのコピーでボウタイの結び方は掲載されていますが、なかなか実際やってみないと難しいものですからね。寝床にボウタイ置いて、寝る前と起きてすぐひと結びやるようにするとすぐ覚えますよ。

H氏も、かなり苦心されていたのですが、 『 だいたいの構造をあたまに入れたら、あとは感覚的にやって、ノリで結ぶ方向の流れにさからわずに勢いよく結べばいいんですよ 』 という僕のアドヴァイスで開眼されたらしく、ご自身でいい形のボウタイを結べるようになっておられました。

ご自身のムスターシュとともに、よく馴染んだいいバランスをされています。ご自身、柔術されておられるので、幹のようないい体をされておられます。ところで、後ろのほうに見えるエドワードサロンの窓には、そうとう蔦が張りました。この夏テントウムシもよく遊びに来ました。

それにしても2010年の夏、記憶に残るエネルギー溢れる猛烈な夏でした。とはいっても残りわずかでしょうし、大いに愛でて・愉しもうではありませんか。

2010/09/12

足湯倶楽部にて、


都内一等地、最高裁判所と皇居を見下ろす場所に、密かに存在する足湯倶楽部(正式名ではありません、あだ名です、あしからず)。僕がエジンバラ@スコットランドで行ったジェントルマンズクラブにひけをとらないライブラリー施設もあったりする、最近できたばかりの隠れ家倶楽部。ワカが先月入会しましたが、しばらくはひっそりしているので、旬の時期、快適度数5つ星の時期のみ利用するつもりでしょう。

ここは、自立して、考え・感じることのできる紳士達のニュースレター 『 エクリュ・プレス (発行時期年内予定 ) 』 の編集室でもあります。世の中のいかなる陳腐な仕掛けにもだまされることのない、世界基準のシンプルで上質な哲学を、旬なクラシックスタイルを通して語ろうと思います。ニュー・ダンディズムの紳士へのインタビューなども掲載します。

服について、映画について、音楽について、という 『 服+文化 』 だけでなく、切れ味の良い哲学があって、はじめて魅力的な装いが完成します。手本となる、気骨ある歴代のダンディな紳士たち、平成の現在、ビジネス上の成功者だけが採り上げられがちな昨今、なかなか出会うのが難しいかもしれません。わかりません。出会っていないだけかもしれませんし、つねにアンテナを張って、大いなる魅力を感じさせる現存する男たちを探してみます。

2010/09/08

紅茶の香りと、過去を振り返る時間


ここ数日、やっと秋の気配を感じます。早朝の風はさすがに涼しくなっています。ありがたいことに、諸々忙しくさせていただいているので、日記を書けないことが多くなりました。最近モンブランの万年筆でしっかりと手紙を書くことが増えました。手書きすると、上手いヘタは別として、何を書くかということと真剣に向き合うことになります。過去に自分が書いたものも、ちゃんと大事にしないといかん、というわけで、気まぐれにレイドバック&テータイム。お盆過ぎましたが、バタバタしていた今年、ちゃんと気持ちを込めていただろうかな~?

2005年08月17日03:16 の日記より
お盆だし、そうか、誰かのことを思い出そう

不思議だが先日14日中盆、夜遅く帰宅し先祖の写真見たら、柄にも無くむしょうに感謝の気分が湧いて手を合わせて3度『ありがとう、ありがとう、ありがとう』と心の中で言った。それで今年の御盆は終わった。

そのとき、どうこうしてくださいとはいわず、ただお礼を言っただけだ。そしてそれが気分的にピッタリきた。お祈りには、お願いをしないが、『ありがとう』というだけだ。『ございます』もつけないほうが気持ちが乗る。

夏休みといえば、ぼくは子供のころから帰省するたびに、親戚のおじさんやおばさんに、歩き方や立ち居振るまい、食いものの好みそして後ろ姿まで、母方の父で私の祖父である、親三さんそっくりだといわれていた。静か、飄々、でもソートーな頑固者、でけっこうシャレもの、あたらしモノ好き。

祖父はもともと大学で基礎細菌学の研究者をしていた。長崎では、原爆の際のヒューマニスティックな精神と自己犠牲の行動で名誉市民第1号になっている永井隆博士と同僚で仲良しで一緒にピンポンしたり遊んだりしてる写真も残ってる。

当時講師として助教授の席が空くのを待っていた親三じいさんは、自分よりも年配で苦労していた先輩にポジションを譲った。運命とは不思議なもので、この判断がある意味身を救ったことになった。もしそのまま親三さんが研究職に留まり、出世競争に励んでいたら、一家は存在しなかった。

何となれば、その当時一家の自宅は浦上で原爆の超中心地にあり、今の平和公園の敷地のど真ん中にあったからだ。一家みな水蒸気になっていたかもしれない。母は浦上天主堂のそばにあった山里小学校の2年生だった。

研究職を離れた祖父は32歳で軍属になった。そして上海税関の軍医として妻と3人の子供を引き連れ上海に渡った。日本の厳しさと違って、そこは給料もよく、大陸的な当時の気風と豊かさからか、老年に石集めに異常熱中した異常な『凝り性』がこの時も大炸裂してじいさんは『テニス狂』であった。

映画炎のランナーばりのチルデン・カーディガンを着流し、サーブを決める若き日のじいさんの姿がモノクロ写真に眩しい。祖母はベレー帽にパールのネックレス。老齢になってもベレー好きは変らなかった。

上海の『新公園』で日没までテニスに没頭していたじいさんを当時の母と姉2人は、“晩飯の支度ができたよ!”と毎日呼びにやらされた。ついに親三じいさんはダブルス上海大会で優勝した。尤も、異常な凝り性と同時に、洒脱と要領の良さもピカイチだったらしく、仲の良いダブルスの相棒はシングルス日本一のテニスプレイヤーだったというオチだ。

自分よりも遥かに凄い能力や才能を持つ仲間に恵まれてる、って点は僕にそのまま引き継かれてるな。そして昭和20年、海に面した塘沽(タンクー)の検疫所長として、8月15日の終戦を迎えた。一家は、3ヶ月間は北京の洋館と天津(テンシン)の帝国ホテルを行ったり来たりして、空襲の恐怖を味わった。

ドイツ製の燭台付きのピアノやアールデコ調の家具、そっくりそのまま置いて、帰国の途はシベリア経由でLSTという米航空母艦で帰国した。ここでは相当な冒険と苦労があったらしい。この時母は死線をさまよう重病をわずらったらしい。シベリア抑留に関して、祖父の何らかの才覚でギリギリのところを切り抜けたと思われる。

帰国後は開業医として、90歳近くまで営業していた。80歳の時には、当時西ドイツにいた僕の家族を訪ねてきて、当時僕が通ってたグーテンベルク・ギムナジウムに遊びに来た。サムソナイトのトランクの中には、孫のリクエストに忠実に九州とんこつラーメン『うまかっちゃん』1パック。

帰国の日には、ライン河の見えるレストランで食事しながら祖母の写真をそっと窓際に置いた時には、子供ながらにグッ息が詰まった。

もともとは医者志望だった孫(私)に、たった一人で解剖教室にいる(解剖対象は死刑犯罪人)時の恐怖の体験談を微に入り細に入り面白がって語って聴かせ、風が吹いて手ががさっとと動いてさ、、、などなど、ついには、オバケ大嫌いの孫(コワイ話を聴くと風呂に入れなくなる、髪が洗えなくなる孫)がそれを聴いて医者になるのは自分には無理だ、と宣言したため、悲しんだ祖父。

フラッシュバックで記憶が蘇る。後年、母の弟が亡くなった葬儀の日の朝、涙を隠すために、三つ揃いスーツのスタイルでティアドロップ黒のサングラスを掛け、縁側に置かれた籐椅子に足を組んで悠然と座り、棺を見送る不動の佇まい。

晩年、ややボケ入って来て真夜中『やっせんぼじゃ~、ほんなこつ、みなやっせんぼじゃ~』と叫んでいたが、みなただじいさんはボケている、としか解かっていなかったが、ぼくにはじいさんが、何についてどういう気持ちで、引き絞るように叫んでいるのか完璧にわかっていた。

じいさんは、親友との大喧嘩がもとで20代で亡くなった長男、病気で亡くなった末っ子の先立った2人の息子たちへの親不幸具合を怒りちらしていた。
あまり人には言わなかったが、おそらく少なからず悲しみも抱えつつ、楽しく趣味に没頭し、働き続けた。帰省の度にぶちかます孫のヘビー級のイタズラさえも全部見透かしつつ黙っていてくれていた。セブンスター大好きで、ヘビースモーカーながら90まで生きたし、大往生だな。

こういうふうに祖父さんを語った長さくらい、ぼくも孫に語られることになるんかな?まあ、ありがとう。

2010/09/04

ヨーロッパ縫製の美しいシャツ、


エドワードエクリュでは、この秋冬からちょっと贅沢なシャツのラインアップが登場します。これも、クライアントからのご要望で、ヨーロッパやアメリカなど、海外で売っているシャツ生地の柄はなぜあんなにお洒落で洗練されているものが多いのだろう、日本でもああいった、『色遣い』、『柄遣い』がもっと洗練されたものを買えるようにして欲しい、というリクエストにお応えした形です。

これは僕自身、海外でショッピングする際、気づいていた点だったので、今までシャツ生地を自分用、お客様用と選ぶときに、無地のオックスフォード、ロイヤル・オックスフォード、ロンドンストライプ、ポプリン、ごくシンプルなドビー織り、からしか選びませんでした。つまり、柄ものは、単色グラフチェックくらいしか使ったことがありません。

シャツ生地選ぶ時に結局シンプルなものばかりになるという理由は、柄とデザインの違和感でした。これはネクタイの柄でも一緒なのですが、色そのものが自然な発色ではないか、色どうしのコントラストが強過ぎて、『突拍子もない感』が強過ぎ、いまいち乗っていけないからでした。店頭で並んでいて目立つ、というところを、そのデザイン・パフォーマンスのピークに持ってきているもの( ※ 1 )は身につけるとヘンに浮き上がります。

釦付けもトリ足(下矢印のように、上から下にボタンの頭をお辞儀させやすい付け方)で、コットンはエジプト綿なので肌当りも最高で、生地の目もぎっしっと詰まり、柄に自然な光沢があります。ベイシック・ラインは、国内2工場で従来通り作っていますので、従来通りそちらが1.5万~2万前後、今回のヨーロッパ生地・縫製のシャツのカスタマー向けの価格帯は、5万円前後となります。


( 注 1 )
そういったものの特徴として、柄が遊び過ぎて、『おもちゃ・グッズ』っぽいという点があります。グッズは手持ちのワードローブ関係なく、衝動買いしたくなるものなのですが、デザイナー個人のクリエイティビティが出過ぎたものは、時間をかけてゆっくり変化していったものと違って、つまり “ Designed by History ” のトラディショナルな香り・深みがないので、身に着けている人を 『 軽く 』 残念に見せてしまうことがあります。バランス良く、挿しアイテムにとどめておくと、楽しげでリラックスした空気感を演出できるのではと存じます。

2010/09/02

進化する羽田空港にてお出迎え、


シリアへ旅立っていたジェット氏が本日帰国ということで迎えに行きました。僕もワカ(M氏)もブートニエールに花を挿して、おめでとうの意を表明してます。この夏は、つねにブートニエール、という習慣がついたので、花を上品にハンティングして、絵ごころで挿す所作も慣れたもの。ラペルのロールに奇麗にフィットしています。↑



インパクトあるけどコクのある輝き、シルク・シャンタンのシャイニーパンツ。この冠位十二階パンツは時間によって色が変化します。昼間の太陽光の下では第三位の『濃青』に、夜の光の中では最高位の『濃紫』にバージョンを変えます。時間によって玉虫色がアップグレードするわけで、おもしろいですね。つまり昼と夜で異なるジャケットとポケットチーフが必要になります。靴は珍しい白のジョン・ロブのどっしりしたもの。敢えて、イージーにホワイト・バックスでないところがポイントです。香港や北京や上海の大富豪たちの色遊びです。



ボーナスをもらわない自営業者の特権なのですが、ランチ時、美味しいパンと白ワインで一服。ドラッパーズのローリーズ・サジェスチョン(ドラッパーズ代表氏の推薦生地)は、う~む、深い味わい、、、、と唸りたくなるような素晴らしい生地。英国物の味わいとも違う、やわらかいけれども、ジョルジュ・ルオーの油絵たちのような深みとコクのある風合い。旬のクラシック柄です。その生地のミルの名前を聞いて、ああなるほどやっぱりな、というものでした。2010年春夏、個人的に、僭越ながら、カルロ・バルベラの生地の提案センスは秀逸だと感じました。


彼独自の行動学
を体(=フル・リスク)を張って本気で実践しています。既にドバイとシリアにおいて現地での最高の人脈をつくってきています。凄いことですね。チャンスに出会って一カ月以内の結果だから、このスピード・パフォーマンス・レシオを考えると、恐るべき男です。ITビジネスや金融ビジネスが台頭してくる以前の、超人的な行動力で世界を股にかけて仕事していた気骨ある男たち、人間臭くて、魅力的だった昔の商社マンたちは彼のようなタイプだったはず。

睡眠時間2、3時間で、大使以上のハード・スケジュールをこなして、本物のVIP扱いを受ていたせいか、本人気づいていないけど、完全に要人級のオーラを出していたので一枚撮りました。ポルシェ以上のポテンシャルで快適に疾走するワカのレクサスにて、車上の人の絵がよく似合うジェット氏。(↑上画像)

現地で政府系の活動をしている人間にとっても、彼の著作は大きな共感を持って迎えられていたそうで、うれしい限りですね。今回のきっかけは、外務省・防衛省の関係だったこともあり、軍や外交における戦略・戦術論の根本的な内容が、ほぼココにも詰まっている、という嬉しい評価をうけたようです。


とはいっても、なんだかんだ、やはり腹は減りまくっていたわけですし、日本食は恋しい。日本一おいしい卵かけごはんをどんぶり二杯がっつきながら、最高に産地直送の旬の武勇伝を聴かせてもらいました。感心しつつ、爆笑ネタにも事欠かず、盛り上がりました。ウナギの白焼きやら、子持ちシシャモ、ノドグロの白身など旬の味わいで、味覚を和のセンターポジションにもどした夕べでした。