2015/05/11

White shoes and émail cufflinks

 
 

乗馬 Dressage &Junping を究めつつあるBaron 氏のプライベート用に企画・製作したアイテムです。Less is more の美意識でつくりました。大胆な佇まいといわれますが白の革靴を履いている人はほとんどいないから、という理由だけでしょう。気にすることはありません。

エドワード的にはごくごクラシックな “ 夏服と ” あるいは “ 野外にて ” といったテーマのアイテムです。プレーン・トゥのシンプルな白レザーのシューズ。オーセンティックで研ぎ澄まされた美意識の靴職人のエドワード別注の津久井さんならでは、です。

クラシック・ドレッシングの世界においてフロントが優美で端正なこのような卵型のシンプルなプレーン・トゥが時代の流れになっていくように感じます。徹底して高いクオリティでフィットした靴は、ビスポークしてヒールカップ(踵まわり)も爪先も適切な締め感で、一連のスーツ、トラウザーズの流れにナチュラルにツライチで美しく “ 輪郭されて ” いきます。



一方、袖口はダブル・フェイスのカフリンクスです。こちらは純銀製99.99 + émail ( エマイユ・七宝 ) の ものです。カフリンクスの最終地点はこれになります。税込み64,800円。個人的にも10年以上世界中で探し求めていました。

しかしながらヴィンテージ以外に納得できるアイテムが納得できる価格でひとつも存在していなかったので “ 絶対理想質感 ” をそのまま現実に出現させてみました。すべてデザインから描き起こし七宝の色出し実験を重ね、日本人の名人の力によって完成しました。好評をいただいております。

こちらも一切奇をてらっておりません。1920年代~1930年代で80%近い紳士エレガンスの意匠は出尽くした感がありますが、あの当時の美意識や意匠からさらに普遍的な美意識に向かうために引き算するというチャレンジを2015年エドワードでは行っています。

余談ながら、カフリンクスを付けるボタン・ホールの位置はロンドンのターンブル&アッサーだともう少し前に出る(袖口に近い)位置になりますが、敢えてエドワードでは少し奥にあります。カフリンクスはチラッとわかるくらいで充分では、という意識です。

Lux に振ったものでは、18Kで作りました。前出のBaron氏が通常装着しています。近々、こちらは動画でご案内する予定です。あらゆるアイテムは、風通しの良い Less is more freshでありたいと考えています。

2015/05/04

“ 装う ” と “ 着る ” の違い

 

Dress(装う)は、着ている人間の意志が自分以外、つまりエネルギーが自分を含めた世界に向かっていることを言います。世界という大きなキャンバスの中に自分を置き、風景との調和や作用を意識する行為です。自然あるいは街の風景の中で自分自身の佇まいをどのようなものにするか、これを意識して描くことです。

Wear(着る)は、主に意識の方向性が自分自身に向かっていて、自分自身に目的があることです。着る、という単純な行為です。目的は、暑い・寒いという機能重視、突き詰めるとおのれにとっての快・不快を目的とします。クール・ビズがその典型例です。今の世の中はこちらが大多数を占めます。感覚的に言うなら現在では100人中98人、もはやほぼ10割といったところでしょう。

世界全体の一部として自分をとらえ、全体の一部として自分を見立て、その上でどのようなものを着るかを考えることが装うということですが、それはつまり自身を含めた風景あるいは景色を作ること、とも言えます。

装った人間が、高級レストランやホテルで優遇される、という理由がそこに存在します。これは絶滅危惧種ゆえの特権ともいえますが、この2%枠の美味しさに気づくか気づかないかで人生の愉しさが分かれます。

着る、は即物的で単純な行為ですが、装うは、世界を意識したもので、自らの意志が風景とともにあるという意識が“着る“との大きな違いです。歴史的・文化的にヨーロッパの狩猟文化で、自然色のツイードで“装う”のも、迷彩という機能由来とはいえ、風景を意識しているから、と言えます。

さて、春夏、あるいは真夏のハットはいかがでしょう?機能重視のクール・ビズ派ならば、被るだけで強い日差しが直接当たらない、体感温度が5度は下がるハットが必要なはず。被らない理由はどこにあるのでしょうか。まわりから浮き上がるのが怖いから?横並びでやってくれないと困るってことでしょうか。

ハットこそ、Dress派とWear派が唯一一致するアイテムだと思います。20代の、デザインにヒネらない、クラシックなハットも素敵ですよ。ふたりともヒネらない・ハズさない・アソばないクラシックな装いのS君とM君(画像圧縮のためハレーションしてます、実際はB&Wの千鳥格子)。

下は、Nさん。皆におススメしているのは、神楽坂にあるヤマダヤ帽子店のクリスティーズ(英)やテシ(伊)のもの。あるいは、最近、コンランショップやイデーにもクセのないハットが1万円代で売っていておススメです。

かつては夏が過ぎてヴァカンスが終わったヴェネチアでは、人生の夏休みを蕩尽した紳士たちのハットがぷかりぷかりと川に浮かんでいたとのこと。これまたキュンとくる風景じゃあないですか。。