2014/04/19

白いスニーカー

 

もともと靴職人であるスタッフの須藤さんが製作してくれて、エドワードのオリジナルのホワイトレザーのスニーカーが90%出来上がりました。細部のラインまで妥協なくデザインできることは大いなる喜びです。これで、ようやくストレス無く履けるスニーカーができた、とホッとしている、というのが正直な気持ちです。

本来、激しく動くスニーカーほど履く本人の木型に合わせて作るべきです。既製品でサイズの合ってないスニーカーを履くと100の力で足を蹴っても、70の力しか地面に伝わりません。逃げていく力がどうしても存在します。それ以上に、上質でシンプルなデザインのスニーカーがなかなか無いというストレスのほうが大きかったのですが。。。

イタリアメーカーのスニーカーだと、必ずロゴや個性的なステッチでコテコテ方向一直線になってしまいます。もともと白いスニーカーで足元を“抜く”スタイルは一般的にフレンチスタイルといわれますが、もはや春夏のシンプルで涼しげな定番スタイルといえるでしょう。オリジナルといえど、正直なところナイキのレザーコルテッツとエルメスのニュアンスを使ってさらにシンプルにしている感じです。履き心地はレペットのJazzに近いです。


先日、会社用の書類ファイルを買うために方々の文具屋を回りました。すでに3度目くらいのトライです。何度買いに行っても、結局ストレス無く使えそうなものが無く、買わずに帰ってきていました。

なぜ、ファイルに使う人間にとって何も関係の無い英語のロゴ入れるのだろう、とか革製でシンプルでスッキリしたデザインのものが何故無いのだろうと不満に思います。結局銀座の老舗“ I ”に行き、文具コーナーのマネージャーの方を話すことができました。そこでやはりそうか、という事実を知りました。

『ところで、御社自身は“かっこいいファイル”としては何を使っていますか?』と質問したところ“実はオリジナルで作っています”との答えでした。既成品では欲しいものが(採用できるものが)“無い”というのが、プロの老舗文具店マネージャー氏の答えでした。やっぱりそうか。。。結局作るしかない、という結論でした。


個人的な夢(あるいは趣味?)といってはなんなのですが、自分の使うものをすべて自分でデザインしたい、という地味(?)でアタリマエの夢があります。服飾以外では、ふつうのロゴの無いペン、電卓も(家電全般)、時計も、鞄もひたすらシンプルでデザインにクセの無い、“デザイナーの個性”がない、シンプルでお手入れしやすい(掃除しやすい)、できるだけ単純な構造の丈夫なアイテムを可能な範囲で製作したいと考えています。

エドワードにとっての理想の製品とは?

デザインのキーワードとしては、 “ そっけない ” クドイくらいならはむしろ “ なげやり?” 英語でいったら“ effortless ” でも一方で、素材と製作が極限まで高品質、という方向性・世界観です。地味にひとつづつ開発していきます。

2014/04/02

Dress ! Sir. 装いを手に入れる。

 

先日誕生日で、友人3人からアルニスのタイを贈られた小島君。大喜びで感動のあまりしばし感極まってボンヤリしていましたね。それにしてもドレッサー達、ボーイズ達は、まるでトリュフ犬のような鋭さでLuxなものを嗅ぎ付けます。最近お店に飾って目の保養にしている、完成したばかりのホワイト・レザーの究極のプレーントゥも、マシンと一味違う縫い目の味わい深さと、ウエストの猛烈にセクシーな絞り込みにすぐに反応し、即手に取って欲しがります。ほんと、最高峰の靴やタイに目が有りません。

店の奥の棚に目立たないように置いてあるアルニス・タイを手に取って欲しそうにしていたのを我々は見逃しませんでした。右岸のエルメス、左岸のアルニス、ベタなウンチクを教え込みつつも、ちょっと彼が席を外した隙に、3人で目配せして急遽彼の誕生日プレゼントになりました。業界関係者から何度も問い合わせがありましたがその都度丁重にお断りしつづけていた、エドワード別注の“最期のアルニス”タイ。セーヌ左岸の粋を敢えてウィンザーで〆る。面白いじゃないですか。


カントリーテイストを愉しむ今本君。何がイイって、20才そこそこで、この上着丈・適正なウエストポイントの絞り込み・全体のゆったりしたドレープ。たったこんな単純なことで差が出ます。ここ数年、“背の高い外人モデルに日本仕様のスーツを着せることによって生じる上着丈の短さ”をお洒落なものに思わせようとする洗脳もそろそろ解けてきたように思います。今本君も着こなし、装い力が圧倒的に進化し、堂に入ってきました。

アスコット・タイに関して、エドワードは通常のガチガチのトラッド派とは違って、平面的にパシッと作るのではなく、できるだけ柔らかくふんわり・くしゃっとシワになるように首元に這わせます。カフリンクスはラグジュアリー(贅沢品)ではなくオーセンティック(本物)なものをエドワードでは提供しています。シングルトップに貴石をつけりゃ、そりゃ50万にもなりますが、繊細な本七宝でシルバー925以上ほぼ99で、チェーン仕様のダブルトップで5万円というのを基準にしています。


エドワード後継者、國枝君。彼が着ているのは、往年のアクアスキュータムを縫製していた工場のアーカイヴス・トレンチ・コート。彼は僕より腕が2センチ長く(決してボクシングの相手になってはいけない)、肩幅も2センチ広く共有可能かとオーダーしました。ジェームス氏の特別企画らしく、ハリソンズ・オブ・エジンバラによるタータンの裏地がつきます。秋冬用の淡いブラウンのハリス・ツイードの外に着てもピリッと決まっています。

エドワードではひとり一足は必携であるコーレスポンデント・シューズ(コンビ靴)との相性もなかなかです。ちょっと男臭いスタイルもここ神楽坂の街並みには似合います。ふと思い出しましたが、先日ついにクライアントの髪を切りました。髪型にこだわっていた高校時代以来のことでした(笑)そして少々自信を持ちました。あっ、かなりできるっ!って。あくまで“趣味”でバーバーカットって入れよう、と思いました。まあ、こればっかりは、クライアントの意志を尊重しているので、ご安心くださいませ。。。