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2020/04/14

understatement



静かな情熱を持って復興の一歩を進める準備。C禍が治まり有事が無事になる日々に想いを馳せながら、備忘録がわりに昨年のSpiritSuitsの物語を備忘録として書いておこうと思いました。

『君かっこいいね~』 金曜日夜の丸の内、いまどきのスーツスタイルで装った年上のビジネスマンから声をかけられる。『あぁ、はい、どうも、、』 一見ぼんやりしたその微笑みに、どんな想いSpiritが宿っているのか相手はわからないだろう。understatement アンダーステイトメント:たびたび、その訳として『控え目な(謙虚な)』とファッション雑誌などでは言われる。


しかし先日ネットCambridge University Pressが出している辞書を読むと、まずは、
 a statement that describes something in a way that makes it seem less important, serious, bad, etc. than it really is, or the act of making such statements:
実際より、たいして重要じゃないかんじ、それほど深刻じゃないふうで、それほど悪くない感じ、という解説があって、『実際に思っているよりたいしたことない風情でいる』って解説されていて、こちらのほうが、『控え目な』という謙虚風情よりもずっと感覚的に響いた。


ふと、記憶がさかのぼること、都内を豪雨と強風が荒れ狂った20191012日。エドワードエクリュ田園調布サロン。パートナーの前田邸の地下室を完全にセヴィルロウのアンダーソン&シェパードそっくりの内装にした秘密基地だった。


たいがいニュースが騒ぐときは逆だよ、と避難直前までラインしていたものの、予測を外し、完全に地下は水没し破壊されたのだった。翌日はきっと猛烈な快晴で空気もきれいだからピクニックでも行こうかなとうそぶいていたものの、翌日はパンプ3台で地下室にたまった300トンの水を夕方まで汲み上げ、そこから復旧作業がはじまった。


すべての水没した衣類を引き上げ庭に置いた時、そこはまるで飛行機の墜落現場のような様相を呈していた。そこから全部の衣類を高圧シャワーで泥を跳ね飛ばし、捨てるものと生かすものを分類することになったものの、世界のあらゆる上質生地をつかった最高のスーツ群は結局のところ1着たりとも捨てられなかった。






ウーバーで駆けつけてくれたアレックス氏が次々とトランクに詰み入れて自宅へ持ち帰った。


そこから彼は自宅の浴槽で4度の洗いすすぎを行った


南青山と西麻布の腕のいいと評判のクリーニング屋に運び込んだ。








いぜん、インターネットラジオの番組で、就職したてのお金が無い若者が質問してきて、本気で軍資金が無い場合どうしたらいいんだ?という質問に、『自分が尊敬する、そして体型が近い先輩からお古を貰えばいい』と答えたことがある。貰った後輩は先輩に感謝し続けるし、自分の分身のような装いの後輩を大事にしない先輩はいないはずだ、とも思っている。(それくらい、受け継げるぐらい、そもそものスーツが丈夫でなければならないのだ)。




クリーニングが出来上がり、広尾のアトリエに運び込んで、もともとが前田氏のサイズのスーツを佑樹君とアレックス氏にお直しする試着大会を行なった。1着1着妥協せず、丁寧に測ってお直し伝票に記入して工房へ発送した。そこで、仲間のアキさんがこれまた丁寧にわかりやすく仕分けて書き直し、お直し工程へと送った。


全員身長180以上なので、縦方向はほぼ題なく、横寸ややゆとりを持って詰めてカスタムを完成することができた。2人とも自身でオーダーしたスーツはタキシードまで含めて相当な自前コレクションがすでにあるが、なお、先輩のお古をお直しして着る。これをSpiritSuits と呼んでいる。10年は着なきゃいかん、といいつつ、すでに10年以上経過しているものが混じっていた。


というわけで、冒頭につながる。新品のいまどきのデザインのスーツを着た年上から、泥水から復活を遂げ自分用に修理をしたスーツを着た青年は軽い調子で声をかけられる。

『きみかっこいいね~それどこのスーツ?』と。

『ええ、ああ、あまりどことか気にしないんですよ、、、』

一見ぼんやりしたその微笑みに、どんな想いSpiritStoryが宿っているのか相手はわからないだろう。


微笑んでいる青年の足元を見る。きれいに磨き上げられた年季もののクラシックな靴。そしてその横にはこれ以上無いくらい優雅で風格のあるバーガンデイのダレスバッグ。年上のビジネスマンは、ようやく気づく。あれっ?と。。。

スタイルを持つ男が、流行を生きてしまっている自分のことを微笑みながら見ているのだということを知る。そして雑誌やセレクトショップには解説されない、静かな絆で受け継がれている装いの世界が、この世には存在するのだ、ということを知る。




2017/09/03

パソコンとつきあわざるを得ない以上、、、


 

できることなら、パソコンは『信用できる相棒としての道具』としてつきあっていたいものです。たとえば、楽器のアンプやチューナーなどプロ仕様だったり、業務用の機器ほど、そっけないデザインで、相棒になれそうな顔つきをしています。シンプルで使いやすいボタンとかレバーとかスイッチとか。

しかしそれがいったん“ 家電 ”となった瞬間に、一気にデザインがキャラクター商品のようにちゃらちゃらしたものになります。そして、くるくる一年ごとに仕様やデザインが変更されて、いつまでたっても、習熟できません。無意識で使えてこそなのに、力み上がったデザインに加えてつねに新製品の変わった仕様にふりまわされて気を散らされます。

つねに使用方法を頭で考えながら、本来一番大切である、脳味噌が邪魔されることなく考えに集中できる、ということができません。つねに新しい使い方を覚えさせられる羽目になることに、合理的な人ほど強いストレスがたまっていきます。開発者の『こんなこともできます、あんなこともできます、面白いでしょ?』という新機能につき合わされます。

私のパソコン遍歴は、中古のマックからはじまって、中古マックを3台くらい使った後に、新品G3、B5サイズ東芝ダイナブック、その後アメリカ人の友人から買った中古Dell、それからIBM(Lenovo)を3代つづけてきました。一番相性が良くて、パソコンの生産性が高く、そして純粋にパソコンだけから、そこそこのお金を生み出した時代はダイナブック期でした。

そして、ここ最近4~5年くらいは、パソコン=ストレスの等式になり、、一定時間以上パソコンをいじっていると、イライラが30分ほどでピークに達してしまい、すべて嫌になり近所の紅茶の美味しくて気の合うお姉さんがいるメゾンド・ボウに油を売りに行ったりしなければならなくなる冷却システムでした。自分の脳味噌自体が怒りで熱暴走してしまうという有様です。

しかし、最近転機がきました。今年の5月に紹介された知人が桁外れにパソコンに詳しいかったのでした。こりゃもしかしたら、念願の“道具”というレベルで使えるスタンスを見出だせることができるのではなかろうか、と希望の光を見たのでした。もともとは、道具自体も大好きなのです。ロースペックだろうが、意味の無さすぎる流行を追わない、愛すべきものであれば。。。


むかし優秀なDTPのデザイナーが、優秀なデザイナーほど決して不安定な最新型を使わずに、むしろほどよい旧型を使っていたことを思い出しつつ、ヴィンテージ贔屓の気質に合ったパソコンの使い方がある、ということをお教えいただき、大いなる希望を見出したのでした。オルタナティブ・ラグジュアリー志向です。

以下に、その優秀な、“パソコンを本来の道具として使いたいひと”に味方になってくれるかもしれない白石氏のレポートです。良くも悪くもキーワードは、『改悪(かいあく):新しい仕様のほうが、古い仕様よりも使いにくいことも多い』でした。新しい意識、自分で好きな時代を選ぶということだと思いました。そこの枝から使いやすいように自分にあったものをカスタムさせる、、、これはエドワードのビスポークやコペルのオートクチュールの哲学に近くて大いに共感します。


以下、貼り付け


昨日結論を確固たるものにするために記憶が曖昧だった点を確認しました。
木場さんのニーズを満たしたものは以下の2つですが安くてハイパフォーマンスなCF-SX3を私は自信を持ってお勧めします。

◎Best:CF-SX3(2014年秋冬モデル)でメモリ8GBでコスパ最高即決の価格帯は5万~8万の間で、メモリ増設による追加料金はベースが4GB→増設が2GBあたり2000円が相場で。64bitの製品が多いので8GBがおすすめです。

値段のレンジは稼働時間(私は1年間フルで毎日7時間使用した前提を目安に2000時間=1年寿命が短縮されているという判断を行っています。)と外部の汚れ、保存容量の多さ(320GBで十分です。)に左右されます。ウィンドウズ7なのか10なのか、マイクロソフトオフィスがついているか否かは取り扱っている業者次第ですが、デスクトップの仕様はあとで変えられますからご心配なく。

〇Good:CF-SX4(2015年春モデル) でメモリ8GBが次点。ただ、2年前のモデルのなので高いです。SX3が出回ってなければこちらでも良くて、微妙にスペックが高いだけなのですが、2年前のモデルなので中古相場は7万後半-10万程度です。SX3とSX4のスペック比較の外部のブログです。http://www.sea-blue.net/model/chigai-SX3-SX4.htm
※念のため、ウルトラブックではないのでDVDは見られますがブルーレイは見られません!
 
もしブルーレイをご覧になられたければ言ってくださいませ!

(以下は参考程度に!)。
★レッツノートを中古で購入する場合、3年前の商品が最もコスパが高い中古によるプライスダウンメリットと性能面の掛け合わせで見てベストという年間30台のPCを購入している弊社総務の所感です。私もヤフオクで家電を見るときは3年~4年前のモデルで探すのでそれくらいの感覚ですね。

★A4サイズの目安は画面サイズは12.1~12.5インチで、SXは12.1です。

★2014年冬以降のウルトラブックモデルはキーボードの改悪によりタイピングミスを誘発するモデル。ウルトラブックは耐久性をグレードダウンして処理能力向上とブルーレイが見られるようにしたものです。ちなみに、2016年夏にはもう戻っていたので、最新モデルは心配ないです。ざっくりとした見分け方としてはAもしくはMという文字が品番に入っているかいないか2015年夏モデルのCF-MX4→無骨さとグリップ感のバランスは完璧で私は購入してしまいましたが、キーボードが残念なので辞めたほうがいいです。

おすすめしているSXシリーズは4年使っていましたが、
・キーボードの打感
・トラックパッドの面積・クリックタブの配置
・耐久性
・大きさ、そして無骨なデザイン
・片手で会議に向かう時のグリップ感
すべてが私にとって完璧でした。
MXシリーズに乗り換えなければよかったと後悔していますので自信をもってパナソニックが生んだロングヒット製品SXシリーズの中古をお勧めします!

貼り付け終わり

このレポートを熟読して、アマゾンやヤフオクで、賢い買い物をすべく機会をうかがっておりました。しかし、なかなか見出せずにいました。そうしているうちに、シビレをきらして、秋葉原のソフマップに直接行ったのでした。そこでおススメに近いと思しきモデルを発見しました。そこで、これまた非常に良心的に親切・正確・論理的に猛烈なスピードで明快に説明してくださる、スタッフMさんが対応してくれました。全部お任せで、設定やオフィスインストールで全部で7万円くらいでした。


備忘録も兼ねて、ここにアップしているのですが、僕と同じように、“最新”嫌いでただブログやメールの仕事だけを、いかに使いやすくシンプルに使うかという人々、スペクタクルな表示とか一切要らない、必要最低限でコストパフォーマンス良く、と切望する方々に新製品情報過多の昨今、一助になるかもと思いました。かすかにヴィンテージ感覚で、旧式、旧車を愛でつつ大事に扱う感じでパソコンと付き合っていけるとストレスは無くなる、もしかしたら愛せるかもしれません。大いなる挑戦ですが。。。


追伸
上記のレポートの白石氏は、近日中に旧レッツ・ノートの話題も豊富な、道具サイトを立ち上げる予定とのことです。時々、秋葉原の万世橋横の常陸野ビールのアンテナショップ(バー)にて、オフ会(昭和感)をひらく予定です。写真は、ちょっと希望の光が見えて一杯飲んで、超ご機嫌。指先のポーズは、(旧型)Let's Note倶楽部のLのサイン。

2017/05/05

5月GW、そしてクールな季節





2017年がはじまったと思ったら、もう5月です。半年弱、ほぼ・はんぶん過ぎてるんですよね、ほんと時間経つのはやいですね~。4月は忙しくさせていただきましたが(ありがとうございます)、最近、端正で正統派スタイルの指向が熱いようです、予想外。先日縫製工場の方とここ数年の紳士服業界の3ピース・スーツのブームについてWhy ? と話してました、


『 3年くらい前に、この “ 流行 ” はずっと続きますかね?と私が訊いたんですよ、すると、いやいやこのブームは5年くらいで終わりますよ、ってコバさんは答えてたんですよ 』


とのことでした。微か~に記憶あります。ってことはあと2年くらい?2020年オリンピックの頃?たぶんハズレてます。現時点予想では10%くらいの紳士たちが底堅くベースにいてフツーの顔して3ピースとネクタイで装っているんじゃないですかね。頼もしいことです。美人でちょいと知れた顔の、神楽坂の御姐ニャ~さん、タイドアップしてれば、ちょっかい出してもきっと応えてくれるはずです。




ほれ、ところでいよいよ5月からクール・ビズです。気まぐれアウトプットしているインスタで、ボルサリーノをクールに被っている友人Jへのコメントで、クール・ビズを勝手流に" Japanese unprincipled bad habit " と訳して喜んでいますが、とうとう世の中アンチ・クールビズが増加してます。安心です。ほんと今年の夏はどんな感じなんですかね~ハードさのレベル?


今年は(も)、夏の着こなしのポイントはたった1点。『 ハット 』 です。力まずフツーにかぶる。かぶるとなると、いきり立ってボルサリーノの最高級モデルをいきなり買う、そんな日本人特有の不思議な “ ドヤ感覚 ” をいったん横に置いてですね、フツーでいいから楽に被る。真っ黒頭のてっぺんを太陽の直射日光で炙る(あぶる)理由はありません。街角も体感もクールになりますしね。


※追伸:
5月5日(金)~11(木)は、エドワードエクリュはお休みいただきます。インチキ英文のインスタは気まぐれムラッ気 Keep on アプトプット。

2016/12/03

Sence of sports スポーツから抽出できるはずの黄金




服飾研究で先週渡欧していました。“ スポーツ ” というテーマがありました。もともとは、息抜き、気晴らし、楽しみというようなフランス語に由来する単語の変形らしいですね。日本では、油断すると少年野球や学校の部活に代表されるように、あるひとつの価値観で洗脳教育に近いスタイルで、単調につっぱしりがちに思えます。


実は、スポーツから克己心や根性ではなく、他のもっと貴重な栄養分を抽出しているっぽいぞ、と日本でも気づき始めたように思います。たとえば、クラブ文化。1.お姐さまたちがいるクラブ、2.DJのいるクラブ、3.スポーツの後ジャケットを着てくつろぐクラブ。この3番目です。クッキーを欲しがった冒頭写真の紳士は例外的にドレスコード“裸”なのですが。。




ところで、シャカシャカ系(石油系のワークウェア、スポーツ・ウェア)個人的には、ほぼパタゴニアとモンベル(高価なモンクレールでばなく)です。シャカシャカは必要最低限でありたい、そしてできるだけツイードとかフランネルなど、ウール使用でのスポーツ・ウェアでありたいものだと心しています。英国スタイルがお好きな方はみなそういう指向に行かないとおかしい、と思うのですが、、、

しかし、早いもので12月です。。2016年は激動の年でした、世界も変わり始めていますし、個人的にビジネスの考え方も大いに変わった年でした。大きなツリーの中心から、風変わりな和風オーナメントとなって、早めのメリー・クリスマスを叫びたいところです。




上は、乗馬を巡る、馬場や厩舎や事務方の交渉ごと、ホース・ショーでのエドワード・エクリュの装い。3ピースでのハリス・ツイードにペイズリーのタイ。ウール・タイがふつうかもしれませんが、ちょっと交渉寄りの時はタイを挿したほうが、みなきもちよいと感じます。

ウィーンの街中のトラッド・ショップには、ごくごくフツウのまっとうな(昔からある柄という意味で)プリント・ペイズリーのアイテムが揃っていて、滞在時間約5分の中で、いっしょにいた2人の紳士のために速攻大人買いしました。有名な紳士スタイル本、ベルンハルト・ルッツェル氏のインスタでも紹介されていました。とはいっても、現在エドワードエクリュのオリジナル・タイを製作中。2017年初旬に完成予定です。




素朴なヨーロッパが残る南ドイツは、イタリア、フランス、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、東欧諸国と機動力が高くポテンシャルを感じます。ハンガリーを拠点にして、ヨーロッパ各地の都市部へアクセスする感覚は、都内の東に慎ましく住んで西に出かける感覚に近く、親近感を覚えます。新鮮な食材があって、空気がきれいで、サービスも素朴で暖かい、となるともはやそれ以上をイメージできません。






昨月はケイイチロウ氏がバロン氏にブリーフ・ケースを納品しました。形も色も端正で大いに気に入っていた模様。天気がよかったので、表参道のアニヴェルセルにて。ケイイチロウ氏が着ているセーターは彼のお母様の手編みのもの。職人の方がたに新しい生き方のインスピレーションを与えることができる青年だと、毎回会うたびに感じます。速攻、バロン氏はつめ先で表面に傷つけてしまいましたが、それを気にしないところも、けっこう大事なセンスだと思いました。。



2016/10/25

『 木を見て森を見ず 』 は、装いにおいてはオススメできません、要注意!





靴とか生地とか、それ単体でのめり込み過ぎる人が増えると、自分とのかかわり関係なく、物単体を崇めるコレクター的な傾向になるので、ショッピングを好きな人が増えてきて、経済効果は上がります。ただ、それによって各人の装いの全体観が損なわれます。

物自体のみを語る、つまり靴単体や生地単体の薀蓄を歴史から、組成から語ることに喜びを見出す(服飾史家や学者のような)方々の存在は、見識が豊かになるので、貴重な方々ですし、重要な方々です。

しかしながら、一般的な人々にとっては、優先順位的に、装いの全体観のほうが大切なので、自分と切り離して、物だけ見て語る服飾史家になる必要もないし、むしろマイナスに作用することも多く見られます。

トリビア好きは、優先順位が壊れておられる方も多いので、木を見て森を見ずで、本人の実際の着こなしが残念な人が多い、というのは同業者の一致する意見です。(おそらくどの業種でも)




たとえば、素人(しろうと)の目線は、靴だけを凝視するので、目線をたとえていうと上から2番目のような写真になります。この写真が素人の目線です。

靴だけを見ます。パンツが後ろに引っ釣れてるのに。。そして、滑稽なシルエットである一部流行のトラウザーズ(パンツ)のシルエットも手伝って、この2番目や3番目のような目線で見るのですが、それは残念な目線の例といえます。

一見、このように写真で写すと、ロングノーズで素人ウケする、シャープで尖ったシルエットに見えるので一般男子はカッコいいと思ってしまいます。世界中の instagram などで、90%近くの靴マニアがこのようなアングルの写真を撮っています。

しかしながらこれは、画面がパンして、もし引きで全体を映し出したときに、その着用者が “どんだけ ピノッキオやねん ” または “ どんだけルパンⅢ世なんかい ” といった有様であることが白日の下に晒されます。これを 『 木を見て森を見ずの(素人)目線 』 といいます。




どんなに、手の込んだ、こだわった、職人的な技法であっても、裸に靴だけを合わせるわけではないので(そういえば、その装いを街で見かけることはあまりありませんね)、必ずトラウザーズとの連なり、組み合わせの目線が必要になります。

ですので、1番上の写真の目線だけがプロの目線です。商品選びのすべてに言えることですが、一品、一品はどんなに素晴らしいものであっても、それは装いの一部である、と正確に認識すること、つまり “ パーツの認識・わきまえの認識 ” によって、美しく納得できる自分らしい全体観が獲得できます。そもそも、完成されたひとりの紳士の着こなしですら、景観のつらなりの一部でしかありませんから。。

ちなみに、1番上のモデルは神楽坂『Berun:ベルン』の竹内君。靴はJohn Lobb トラウザーズ(スーツ)は、裾幅22センチ、でハーフクッション(ゆるやかに靴にかぶさるくらいのユトリ)ちなみに、“生地”はハリソンズ・オブ・エジンバラのFine classic の淡いブラウンのシャークスキンです。

短めのパンツ丈の裾が輪っかになって、ぐるぐるフラフープのように自由自在に動いて、そこにきてロングノーズ気味の靴がドヤっ!と存在を主張しているのは、もともと短い脚の日本人が一層短足に見える、という残念な結果になってしまいますので、要注意です。

1番上の写真のように、ちゃんと、このようにナチュラルに靴に軽く被さって収まっているほうが、大人の落ち着きがあって美しいと考えますし、自分たちはアジア人の骨格を持った日本人であるという変数も加味した良識ある(わきまえた)全体観とバランス感覚だと思います。


2016/01/17

Advanced Classic  シンプルで 退屈で 贅沢





ふつうを装いながら物語を感じさせる王道ブラック・ウォッチのジャケット。やさしいドレープ感と要所要所の底艶と光沢。華美の落とし穴をすり抜けながら自分の美意識にまっすぐ進む、一筆描きのようなシンプルなライン。カシミアとシルクをレイヤーさせています。

その2つのハーモニーだと、ふわふわしたシフォン・ケーキのように甘くなりすぎて、イマジネーションの収拾がつかなくなるので、そこに必要とされる引き締め要員として、gold Boutonniereに召集がかかりました。Goldの特性、やわらかさ、あたたかさ、悠然とした佇まい。

ポケットチーフはシャルベ ( 仏:Charvet社 ) のエクリュ色のシルクのもの。ショート・ストールはシルク・カシミアのハイゲージ・ストールでエドワードオリジナル、Muffという新しいジャンルのアイテムです。3ピースの時にVゾーンに添わせるために作りました。

おもしろい、とかワクワクドキドキ、といった感覚のレイヤーで行われる装いではなくて、クラシックという人の呼吸の深く静かなところでおこなわれる贅沢な予定調和です。たったの予定調和。時代の要請とか実用性と生真面目さを加えた感じです。きょうびクリエイティヴでもないといった希少なアンニュイがあります。

Boutonniere( Flowerholder)¥291,600  Jacket ¥583,200 Harrisons of Edinburgh "Millionaire Cashmere"ウーステッド・カシミア(梳毛カシミア最高峰) Muff¥48,600。※すべて税込定価です。



 
 
チャールズ・ディケンズ原作『 Great Expectations 』。大いなるマンネリズム、大いなる予定調和。しかしそれ経由でしか表現できない、ある種のニュアンスが存在します。何度カヴァーされたかわからないこの作品自体が“大いなる遺産”といえるのかもしれません。
 
 
 
 
劇中作品の作者・フランチェスコ・クレメンテ氏も心得たものなのでしょう。氏の絵がこの物語の現代版にハマります。ウォーホール・バスキア・クレメンテ。この3者の映像コンテンツは広島の現代美術館にバスキア・ブーム以前から、しっかり充実していました。(学生時代、お世話になり感謝しています)

 

2015/11/24

Tone , manner and philosophy of EDWARD

 
 
 

 
“右岸”のエルメスに対して、“左岸”のアルニスと呼ばれ、地元の粋と親しまれた、パリの遺産。上画像はエドワード別注のアルニス・タイです。エドワードではレジメンタル・タイの色はすべて2色使い。3色だとトーンが散ると考えます。よっぽど歴史的な柄で、3色使いでも、それ自体が確固とした1つの意匠に見える、という場合以外は3色使いにはしません。
 
昨今のヨーロッパ、中東、アジア全体に言えることでしょうが、それにしても、人生の愉しみが健康あってのものであるのと同じで、人類全体にとって、本来幸福は、平和あってのもののはずですね。パリに限らず世界全体に平和が戻ることを祈念しながら、パリの紳士たちがフォレスティエールを着流す自由な文化を愉しめる平和の街を想いつつ。。。
 

 


U氏。グリーンとカーキの2色のアルニス・セッテピエゲのエドワード別注レジメンタイ。靴はコーレスポンデントのタンレザー×白。夏の3ピースのコードレーン・スーツ。ご自身のスタイルはもちろん、街もお訪れる店も、どこかしら懐かしい Modern Gentleman Style な佇まいの紳士が華を添えます。街にいてもレストランにいてもバーにいても、結果的にお客さんを惹きつける絵になる( =街のグランド・デザインに貢献 )佇まい。




 1918年第一次世界大戦スペックのトレンチ・コート、裏地はハリソンズ・オブ・エジンバラのブラウン・ウォッチ仕様。1909年創業のコービー・ファクトリー製。全体の印象は素朴で無骨。20年代、30年代という紳士スタイル黄金期に入る手前、つまり夜明け前のちょっと控え目な粋があります。




着用のAlex青年。いつも旬に思える1960年代後半・エドワーズ時代のレーサー福沢幸雄氏やユーミンこと荒井由美のデビュー当時のカプリーヌ帽などでキレキレにドレスアップしたスタイリング、優雅で微量にデカダンなメイク。彼女のマニアックにヴィンテージ画像・映像をネット上やyou tube上でトコトン集めています。あのころの資生堂のモノクロのCMコマーシャルもとてもクールです。

kidsであることを嫌がりgentsであろうとした青年たちの痕跡が感じられます。当エドワード的に昔も今も草刈正雄氏の飄々とした甘いイメージには大いに共感します。画像のAlex君からは草刈氏の才能あるご子息の夭折の件を教えられました。。残念な話です。




code name : James こと堀江氏。氏は 007 SPECTRE の影響からか、ラペルに赤い花、というスタイルを好みます。エドワード・オリジナルのフラワー・ホルダーをあしらっています。シャツ、タイ、スーツすべてエドワードでの装いですが、すべてのアイテムは必要充分のシンプルなアイテム。必要充分で高品質ゆえ統一感と静かな印象が得られます。当然、夏のボルサリーノ、冬のボルサリーノ、とてもナチュラルに愛用しています。

格好つけたい時に、ファッション業界人ウケするレア・アイテムに走るより、ストレートで衒いがなくて爽やかに感じます。それがモノ的にどんなに希少なものであっても、それが着用者本人に向けて作られたもので無い限り、どれだけ歴史的価値が高かろうが、着用者とは何の関係性もありません。

たびたびメゾンなどのブランドを批判する一般的な言説で、ひとつの高級ブランドで全部スタイルングする、ということが槍玉にあげられますが、ヴィトンであれエルメスであれ、むしろひとつのブランドで95%くらいの純度に揃えた佇まいのほうが、異なる高級ブランド同士をガチャガチャ合わせるよりも佇まいも(フトコロも)ずっとスッキリするはずです。。





現代的な意味、一般的な意味において、スーツの分類で、イタリア風・イギリス風などと表現できるかもしれませんが、企画・製作側がスーツの歴史を追求していればいるほど、その境界線にあまり意味を見出さなくなる傾向があります。敢えて、一般的な意味で、イタリア風の柔らかい春夏用の3者混スーツで装っているBaron氏。

スーツ・シャツ・ブートニエールはエドワードのアイテムですが、確かタイは仏老舗タイブランドのシャルベじゃなかったかと思います。ラペルに着けたブローチは、純金製の神奈川県マークである、カモメのブートニエールで、神奈川県代表チームの制服と一式で企画製作しました。

2015年10月にあった和歌山国体(三木ホースランド)に神奈川県のDressage 競技: ドレサージュ:馬場馬術選手として出場したBaronのためにプレゼントした一品でした。ちなみに馬術チームの制服は、ミッドナイトブルーの中肉ウーステッドのノーフォーク・ジャケットを企画・製作しました。




こちらは、I 氏が経営するご自身の会社名の頭文字を取って、オリジナルのフォントをフリーハンドで描き、サンプルを製作してものです。通常は、銅版印刷の文字を使用するのですが、そのフォントを使用するとあまりにも固くなりすぎたので、親しみやすい塩梅を模索しつつフォントを作りました。とはいうものの、あくまでもダブル・トップ(裏が無く、クリップ式でなくチェーンタイプ)であるという作りはオーセンティック・スタイルで作りました。









こちらはBaron氏ですが、秋冬のボルサリーノのソフトですが、毛足がバサつかないフィタッとしているラビット・ファーで、ブリム(ツバ・ヒサシ)の幅はラペルや身長・肩幅などの全体感覚で。リボンの色に関しては、フェルトに関しては共色(地のフェルトの色と同じ色)が理想。ここがクラシックのまんま黒だと一気に老ける印象になるように感じます。




現在、息子の英才教育?(将来の趣味を同じくする友とするべく誘導教育?)のため、松本の自宅にTVはありませんが、DVDで“世界の車窓から”、と映画“ Chariots of Fire (炎のランナー) ” を観せています。世界の~は、将来彼にヨーロッパの旅をアテンドしてもらうためで、炎の~のほうは、息子Scottも気に入っているようで、練習シーンを得意のかけっこに活かしてほしいものです。


パパは第4次炎のランナー・ブームがマイブームとなっており、セント・アンドリュースの風景から始まる、あらゆる絵になるシーン、そして特典映像であるディレクターズ・カット、監督による解説が非常に面白く、納得することや新しい発見やらでウィスキーのソーダ割りを嗜みながら最高のひと時です。主人公のハロルド・エイブラムスのハットのあしらいも自然です。

この映画のプロデューサーは中東系の故アフファイド・ドティ氏で、かの故ダイアナ妃の最期の同乗者として有名はハロッズのご子息でした。監督はケンブリッジのキーズ寮の出身らしいですが、ユダヤ人である主人公含め、コーチもまた中東系ハイブリッドのマサビーニ氏といった具合に生え抜きではなく、その周辺からの目線で作られています。労働者階級で古着屋出身のジェレミー・ハケット氏やラルフローレン氏の演出力やパーソナリティに共通したものがあります。




こちらは、James氏の夏のパナマ。やはりボルサリーノは定番といえます。エドワードのクライアントにはリボンは黒ではなく、淡いブラウンを奨めています。氏は猛烈なトレーニングを日々課しているため、ドロップ10というプロ・ボクサーレベルの肉体になっています。リングに上がる日も近いと思われます。バーのカウンター越しからハットをちょいと上げて挨拶、と爽やかにやってのけます。

外国人の友人が多いのもその衒いなさゆえなのでしょう。昨今、ストリートスタイルで、外しでボルサリーノ、はよく見かけますが、銀座・日本橋界隈で、端正に装った紳士がふつうにハットで装う時代が来ることを強く願っております。少々見慣れずにコスプレっぽく見られようが、カジュアルなkidで溢れる街に向かうことに少しでも逆らっていただきたいものです。




最近独立した上原さんが、南青山のブルーボトル・コーヒーから徒歩30秒のところに2店舗出店しましたが、 Copel 企画・製作のウーステッドのエクリュ・フレア・ワンピースです。DRESSSIR®は、Harunaさん。モデルと違って、ドレッサーと呼ぶのは、ご着用のアイテムが彼女の持ち物だから。モデルはいわば、ハンガーとして既製服を着用してプレゼンテーションしますが、オートクチュールで作られたこのワンピースは彼女のためにつくられた一品。紳士テーラー用の生地でつくられたドレスは耐久性もあり、ショッピング文化の世の中に一石を投じるスタイルづくりのための一着と言えます。




プレーン・トウの白い革靴。津久井さんメイドのエドワード別注です。コバの生地の色と白の相性がすこぶるエレガントです。春夏は白の靴が履きたい。シンプルですが、日本では、なぜか大胆な領域にあります。日本の洋装文化ごときは、ここ30年あまりにも劣化しすぎなので、まっとうなメッセージを込めて、悠然と越境しましょう。同質化しすぎた消費文化にハマりすぎやろ?、業界人の仕掛けや洗脳にハマり過ぎやろ?と。雑誌文化とセレクト・ショップ文化の弊害である、『編集脳』から抜け出そうぜ、と宣言したいところです。




エドワード・オリジナルのコーレスポンデント・シューズも自分好みで色が選べます。基本タン・レザー色(少し染色しコガシバター風味)やグリーン・グレイ色のツインバックル。現在、エドワードは赤坂駅徒歩3分圏内にに木場自身の個人オフィス兼、エドワード赤坂出張所を借りようと計画しています。オフィスはコーレスポンデント靴で溢れさせてインテリア替わりにしようかと思っています。(それくらい好きです)ロンドン歩いても、パリ歩いても道でもカフェでも人気者です(笑)


 
 
渡独の際も、白のヌバックのツインバックルと横浜馬車道の信濃屋さんで購入したカントリーシューズを持参しました。フランクフルトで130年の歴史のある老舗ホテル、シュタインベルガー・フランクフルタ―・ホーフでもホテル内のスパ兼バーバーのオーナー氏から話しかけられ、靴を大いに褒め
られ、思い出に残るツアーをしてもらいました。
 
 
靴に関しては、確かに薀蓄とクラシック・アーカイヴスの宝庫でしょうが、そのアーカイヴ知識を生かして自由に作りたいものを作ってみる、というスタンスでいます。パリで活動している itu' もエドワードに彼がペイント加工した靴が特集され、大いに盛り上がっているようです。ある意味、特殊な形でエドワーディズムを継承しているitu'ことジェット氏ですが、近々またたまった画像アップしようかと思います。
 


 
 
ブレイシズ(サスペンダー)はやはり、まだまだアルバート・サーストンを扱っています。いずれオリジナルを作ろうと狙っています。真鍮使い、柄は無地、ドット、ストライプ、モアレ、おそらく2001年からブレイシズ個人販売実績は僕が日本一だと確信しています。白ジャカート柄、白モアレ、黒モアレ、ドット、ストライプ、そして夏はストッパー部分が白、というスタイルです。


 
 
 
世界で一番カッコいいブリーフケースと、未だ信じて疑わないSwaine Adeney のブリーフケース。正確には、日本仕様。なぜならば、内側に外ポケットがあるから。。でも、これくらいのカスタム(≒ローカラーゼーション)は良いんじゃないでしょうか。 仕入れた分がすぐ売り切れ、自分用にとっていたロンドン・タン(画像向かって左)も女性クライアントに買われてしまい、結局僕自身は持っていません。。
 
 
日本製は、金具を鏡面仕上げにするのがすきなので、つや消しのシンプルな金具の佇まいが一個たりとも気に入ったものがありません。あまりにも無さすぎるので、いっそ真鍮パーツ屋を始めようかと、ギリギリまで考えたことがあります。ノスタルジックな航空機のように単純なリベット締め風のしつらえ。時計の金属ベルトと一緒で、職人はいろんな技術が出来るとすべて出したくなる傾向があるとは思いますが、ガチャガチャやらずに、腹6分に抑えたほうがクールです。
 


 
 
販売二年後のスウェイン。こちらは、バーガンディ色だったものを大切に使っておられます。持ち主は前回ブログの主人公である、城戸さんです。ブライドル・レザーをクリームで大切にお手入れされています。靴やかばんは、買い物の趣味の良さというよりも、お手入れの良さ、習慣としてのその人の在り様が現れます。結構ほっぽらかす時もある自分自身の自戒としてお手入れは大切ですね。
 


 
 
ウェデイングのために、テニス好きの新郎のために、企画製作した、白ノーフォークジャケット。編集者であるH氏。ラコステの白のロングスリーブとアスコットタイ、ブレイシーズ、そして白のトラウザーズ。エクリュのボウタイも用意しました。靴はローテクなコットン白スニーカー確か、日本製でした。なんなら、このままテニスに興じていただきたいものです。
 
前出の炎のランナーでも、海辺を走った後、セントアンドリュースのカールトン・ホテル前の芝生の上を走るシンプルな白上下のランナーたちと、風景の一体感。ひじょうに美しいものです。
 
これが現代だったらどうでしょうか。グレーや紫、黒や赤の思い思いのシャカシャカジャージで、緑の芝の美しさや近くを歩くトップハットとヘッドドレスの女性、クラシックで優雅なカールトン・ホテルの調和もへったくれもあったもんじゃあないです。『 モノと自分 』 という籠った(こもった)、文字通り風通しの悪い関係性にハマりこんでしまって、『 風景 』 というグランド・デザインのコンセプトを忘れてしまっています。
 

 


上はひさびさ登場のitu'氏。ある意味、エドワーディズム特殊継承者ともいえるかもしれません。左端は銀座の帽子専門店とらやで購入したラビットファーのトップハット、右は、ジェットのために作ったマニエリズム的(※バロック期とゴシック期の間の時期の絵画手法全般)色調のジャケットの数々。懐かしく今でも鮮やかに感じます。。