2016/01/17

Advanced Classic  シンプルで 退屈で 贅沢





ふつうを装いながら物語を感じさせる王道ブラック・ウォッチのジャケット。やさしいドレープ感と要所要所の底艶と光沢。華美の落とし穴をすり抜けながら自分の美意識にまっすぐ進む、一筆描きのようなシンプルなライン。カシミアとシルクをレイヤーさせています。

その2つのハーモニーだと、ふわふわしたシフォン・ケーキのように甘くなりすぎて、イマジネーションの収拾がつかなくなるので、そこに必要とされる引き締め要員として、gold Boutonniereに召集がかかりました。Goldの特性、やわらかさ、あたたかさ、悠然とした佇まい。

ポケットチーフはシャルベ ( 仏:Charvet社 ) のエクリュ色のシルクのもの。ショート・ストールはシルク・カシミアのハイゲージ・ストールでエドワードオリジナル、Muffという新しいジャンルのアイテムです。3ピースの時にVゾーンに添わせるために作りました。

おもしろい、とかワクワクドキドキ、といった感覚のレイヤーで行われる装いではなくて、クラシックという人の呼吸の深く静かなところでおこなわれる贅沢な予定調和です。たったの予定調和。時代の要請とか実用性と生真面目さを加えた感じです。きょうびクリエイティヴでもないといった希少なアンニュイがあります。

Boutonniere( Flowerholder)¥291,600  Jacket ¥583,200 Harrisons of Edinburgh "Millionaire Cashmere"ウーステッド・カシミア(梳毛カシミア最高峰) Muff¥48,600。※すべて税込定価です。



 
 
チャールズ・ディケンズ原作『 Great Expectations 』。大いなるマンネリズム、大いなる予定調和。しかしそれ経由でしか表現できない、ある種のニュアンスが存在します。何度カヴァーされたかわからないこの作品自体が“大いなる遺産”といえるのかもしれません。
 
 
 
 
劇中作品の作者・フランチェスコ・クレメンテ氏も心得たものなのでしょう。氏の絵がこの物語の現代版にハマります。ウォーホール・バスキア・クレメンテ。この3者の映像コンテンツは広島の現代美術館にバスキア・ブーム以前から、しっかり充実していました。(学生時代、お世話になり感謝しています)

 

2016/01/13

来週、神楽坂におります





1月18日(月)の週は、ひさびさに神楽坂におります。ぜひ、Old Edward of South Kensington 時代のお客様も、懐かしみにいらしてください。

昨年、神楽坂エドワードは拠点が田園調布に移りました。旧エドワード店舗には現在、 『 Berun:ベルン 』 が入店しています。店の主人である竹内君は、暇と余裕さえあればすぐに旅に出てしまいます、たとえ新婚時代であろうと。。。今月は28日ごろまで、渡英してスコットランド⇒フィレンツェ⇒ロンドンと周るとのことで、間違いなくまたしてもネタ満載で帰国することでしょう。その間、僕が戸締まり役として入っています。

今年は定期的に文章を書くような習慣を始めて、月曜・火曜・水曜を仕事と書き物という具合に過ごしております。週の最初の3日間を高純度に内向きマックスで過ごすと、木曜日くらいに急激に人恋しくなります。今回神楽坂にいる週は、書いたり、撮影したり、キャナルカフェでお茶したり、ビール飲んだり、そして趣味の動画を撮ってみようかと思っています。

ところでエドワード店主木場は、基本、店の中にずっといるのが苦手というこらえ性のない店長に不向きの性格のために、たいがい接客以外の時間は、即外に出てふらついております。主にオープンテラスにいますが、さすがに寒い季節ですと野生動物と一緒なので、暖かいホテルのラウンジやカフェに棲息して事務仕事をしたり、メールしたりしています。

最近ではレディスとして独立した Copel:コペルの店舗のある南青山に寄っていることも多く、タイミングによってはメンズ・ビスポークの採寸もここでやっています。レディズのオートクチュールに興味ある紳士やお気に入りの女性をプリティ・ウーマン・プレイ(ちなみに、リチャード・ギア演じるヒーローはエドワード。。)してみたい殿方は、ぜひ、南青山接客をリクエストくださいませ。新しい発見があるはずです。




それにしても今日は冷え込みましたね。みぞれですか。。東京は初雪だったそうです。皮肉なことにそんな日に限って、結構な時間外を歩き回っていました。途中、表参道交差点付近にある青山フラワー・マーケットに入り、Copel への新店祝い兼ねてお花を買った勢いで、ブートニエール用に選んだ花 ( 実?) で池田さんという女性スタッフにホルダーへのあしらいをやっていただきました。

今後、南青山界隈でデート前のラペルのあしらいを Finishing Touch ( 画竜点睛 )  したい時には、彼女にお願すれば、好きなお花を選んでレジに持参すると、きちんと設えてフィッティングしてもらえますよ。ちなみに上のフラワー・ホルダーはエドワードオリジナル商品で、純金製(18K)のもので、定価税込み¥291,600です。

そんなセンスと理解のあるスタッフがいるブートニエール・スポットを増えると街がステキになります。ちなみに、ポケットに挿しているグローブは 今季、パリの展示会プルミエール・クラスでリーディング・ブランドに選ばれた、フランスの老舗ブランド “ ジョルジュ・モラン ” のビスポーク・グローヴです。素材は最高に繊細なキッド・スキンです。 以前からエドワードで扱っていましたが、現在Copel でオーダーできます。ビスポークはミラノと東京(エドワード)だけしかやっていない実は貴重なビスポーク・ハイファッションな逸品でした。




ブートニエール、あるいはフラワー・ホルダーに挿す花の選び方にはCode があります。

今日に関しては僕は、花屋で購入したので、自由に好きな佇まいをしている “ 花 ” ではなく “ 実 ” を選びました。自分好みのセレクトをしたのですが、これが野に咲く花の場合少々事情が違ってきます。実はある約束事が存在するのです。

大地に自生する実や蕾は、まさに今から太陽の下で悠然と花開くものです、デビュタントです。摘み取ったりしてはかわいそうです。そこで、自生しているものを拝借する場合として選ぶお花は、文字通り薹が立ったもの(旬・花・盛りを過ぎたもの)いわば、最後にひと花咲かせましょうぞとばかりに、名残りの粋を感じさせるドライフラワー寸前のいわば、人間でいうならば老女を選ぶべきなのです。


Q : え~っと、その約束事?それって何か歴史的にとか文化的にとか根拠あるんですか?


A : えっ?ああ、僕が今つくった約束事です、ハイ。


話変わって、またしても勝手に “ エドワード杯 ” 懐かしのすばらしい名作CMシリーズです。
神楽坂のキャナル・カフェに晴れた日に行った時、この映像にある、なんともロマンティックなマストロヤンニごっこを是非やろう、と誓ったものでした。そして、いざやろう!と知人巻き込んで4人でボート借りに行ったら、ギャルソンさんに断られました。

『お客様、まことに申し訳ございません。お飲みになられている方の乗船はお断りしているんですよ。。。』

しかし、今見ると、んスパッツ。。レギンス?
疑問と余韻の香りがto be continued してしまう、そんな今日この頃。。




 

2016/01/11

新年あけましておめでとうございます。 

 


2015年11月、12月、2016年1月と企画/製作に追われ、ご挨拶もおそくなってしまいました。年賀状は、ごく身近な親戚関係に、ほどほどな案配で送りました。とはいうものの、ありがたく頂いている年賀状に、充分にお返事など返せずにおります。

申し訳ございませんが、いつものことながら、懲りず・気長に・なかば忘れたくらいの感覚でお待ちくださいませ。

今年もかわらずゆっくりしたテンポで静かに仲間をふやそうと思います。ほどほどにプライベートなお付き合いを通して、塩梅の良い新しいスタイルを企画・製作いたします、と硬めのご挨拶から。。。




ところで2016年、今年でエドワードは創業15年目になります。個人史でいうと35歳1月1日に独立して今年9月で50歳を迎えます。

ふりかえってみれば、クライアントの近くにいて、ある時は正面から熱く・ある時は耳元でしずかに装いをアドヴァイスをする Dresssir 業は、実際のところ気が合う・話の合う仲間探しのための口実だった、とカミングアウトさせていただきます。。。

ある時は優雅にお茶しながら近況アップデート、ある時は一杯酌み交わしながらスタイル談義、昼夜問わずのお喋り尽くし、Gentleman's (life) Voyageの理想を追いかけつつ・時には実行に移しつつ、、、

、、、ちょっとした男子の楽園で盛り上がる時間。まじめな哲学なんだかバカ男子なんだか、床屋談義なんだか、、言ってみれば、ことば通りのテーラー談義を通して古い・新しい・古今東西の美意識を共感し合える友をたくさん得ることができました。まことにありがとうございます。

2016年は、エドワード・ボーイズ出身の國枝(くにえだ)君を連れて、古き良き香港やシンガポールに仲間を広げようと思います。宗主国イギリスやフランスの歴史への愛を微かにでも抱いている老紳士たちとのご縁を育てたいと思います。

具体的には、土日を挟んで週の前半を企画・製作 or 出張というリズムで、2016年は、営業日を週の後ろ半分である、木・金・土曜日中心にアポ日で進めさせていただきたく存じます。ことしも御贔屓よろしくおねがいいたします。

                                   2016年1月11日
                                      エドワードエクリュ株式会社
                                                  木場 紳匠郎