金沢という美しい街を、一層の“SensusCity”(大人の情緒ある街)へと進めるために企画された『ずっと金沢で男と女』という金沢市主催のイベントにおいて、お話をさせていただきます。
イベント内容はこちらから、
今の世の中は、一般的な価値の世界において、ひたすら足し算や掛け算をすすめてきます。個人の成熟度や自己成長しかり、“昨年対比”などの経済成長しかり。伸びることを前提とした同調圧力の中で一般人は追い立てられるようにして生きています。
確かにモリモリと成長する姿、がんばる姿は、可愛げがあり見守るべき成長過程として共感を持たれやすいのかもしれません。一般的な価値の尺度ですと、がんばる姿を良しとしますし、学校の入学試験の面接や会社の就職試験も、そういう姿勢が“やる気”ということになって合否の判断基準になっていたりもします。
しかしながら、その頑張りが、そのひとそのものの魅力を削り取ってしまっているとしたらどうでしょうか?ひととしての自然な出会いを妨げているとしたら。
何かを加える頑張りが、ひとの素直な魅力、素朴な魅力にブレーキをかけたり、ブロックをかけたりする、人間の自然な恋愛のようなシーンにおいては、くだらない・ジャマになる社会通念を引き算することで、素朴な自分を取り戻すことをお話ししようと思います。だからこそ上質な額縁、つまり上品に装う必要がある、ともいえるのですが。
ご縁を巡るあらゆるシーンにおいては、自らの人生で日々無意識に積み重ねている、普段の自分、もともと持ってるもので勝負する、愉しむ、それで充分ではないでしょうか。潔さ、がすでに美しさですから、充分最強のアピールになってます。
紳士洋装の引き算のスタイルは最強だ、という信念にもとづく僕の専門の、ごく具体的で小さな小さなカフスボタンのような世界のお話から、それを流用・応用できるアテンド(デート?)における、女性への演出づくり、触媒の作り方を参考までに、お伝えできればと思います。僭越ながら、わかりやすく具体的にインスピレーションをおこすきっかけになる解説ができたらと思っています。
どういう出会い方をするかとか、展開になるかとか、『自分の理想を引き寄せる』ことは、仕事にしても出会いにしても、人生においての醍醐味といえますが、そのためには、社会的・一般的な意味での成功などとは別の、自己に対する根本的な自信が必要となります。
ただ、自信の根拠を持つためには、広く学んだり、旅をしたり、いろんな種類の人間との出会いを経験する必要があのだ、などと言われますが、結局のところはどうなんでしょうか?それは本当でしょうかね?
少なくともあらゆるものは、見立てと想像の力で強みに変換できます。いろんな種類の人物が描かれる映画や小説を通して、読者や鑑賞者はあらゆる人間は、愛される側面を必ず持っているのだ、ということに気づくはずですし。それは、少なくともそれを描いている脚本家や小説家がその人物を創造している以上、その人物をどこかしらの角度から愛しているからでもあります。
個人の持つ個性や価値は良くも悪くも魅力的に表現・演出できます。実力がある人は、包容力や余裕で相手を魅了すれば良いでしょうし、正直なところ実力が無いと自己認識している人は、等身大にその思うところを自然に出せば、もしかしたら一種の心配芸として、相手の魅力的な母性本能を引き出すことになるかもしれません。それも、一層おもしろいじゃないですか。
愛する金沢はもちろんのこと、たとえば自分の気に入った場所を、アテンドする姿は、自我という執着から自由になっているでしょうし、まずは、その風通しの良さが相手をホッとさせるかもしれませんね。結果、ひととして付き合える良き友、もしかすると、良き伴侶へと続く恋人となるかもしれません。
装いの本質的なコツに関しては、2012年に韓国の経営者向け雑誌『CEOマガジン』での1年間東洋全体の紳士実業家に向けて愛の鞭をスパルタンに振るいまくった連載コラム『スタイリング・オブ・アジア』をもとに加筆・修正したテキストを参加者にお贈りしようと思っております。
装いの最終奥義、Art of Dressing がここにコンパクトにまとまっています。これを品質保証・担保として、当日はできるだけその状況・状況において自由な魂で、いっそう本音で、できるだけ正直に語り合うこと、語り交わすことを愉しんでしまうつもりです。可能な限り、良きインパクトをもたらすべく、僕自身が愉しい触媒になれればと思っています。