2008/03/18

EDWARD knowledge 1




本日、同業者とイタリアン・スーツについて話していました。最近ぼくは彼に『ナポリ仕立て(小学館)』という本をプレゼントしました。この本はドラマティックに遠い歴史のドラマに誘われて職人の価値を大切にする文化的な背景と空気感が味わえます。

過去に師匠格から、イタリアン・スーツは大まかに以下4つを頭に置いて観察すべしと習いました。イタリアンスーツに関しては、確かに通常のブランド品と同じような見方はできません。

1 ナンバー1と認識されるのが、フル・オーダーのテーラーの中でも一部のアルティジャーノ(職人)の一群。イタリア国内で8000軒前後あるテーラーの頂点に君臨するカラチェニと呼ばれる5人のテーラー。ミラノ、ローマ、中央イタリア・マルケ地方にいて、創始者はドミニコ・カラチェニ。カラチェニとタグに表記できるの本家だけで後の人間たちは自分の名前を“カラチェニ”の前に入れなければならない、とミラノの裁判所で決められている。

2 次に位置するのが、サルトリア・プロダクション(仕立て屋縫製による生産方式)。ブランドとしてはブリオーニ、キトン、ベルベスト、イザイア、アットリーニ、セント・アンドリュース、バルベラなど。既製服づくりと昔ながらのビスポークが可能な人たち。エルメス、ランバン、プラダ、アルニス、エトロなどの縫製ファクトリーでもある。
 
3 3番手のグループは2つに分かれる。

(A) グループは伝統的なサルトリア手法を使用して工業化したグループ、ゼニア(日本人ビジネスマンは、このブランドが世界1だと思っているケースが多い)、カナーリ、コルネリアーニ、ヒルトンタイムなど。

(B) スティリスタ(デザイナー)のグループ。サンローラン、ヴァレンティノ、ロメオ・ジリ(僕がイタリアンスーツを最初に買ったのがこのブランドだった。)、ランバン、ディオール、フェラガモ、アルマーニなどの縫製レベル。

4 その他、メイドイン・イタリー既成ノーブランド商品群。

ものづくりと文化的背景、そしていわゆるブランドな威光を放っているスーツといえるのは1と2。ちなみに、“存在の耐えられない甘さ”を体現したら圧倒的(エド主観コメント)なマルチェロ・マストロヤンニの魅力を支えていたのが1、とは大いに納得だ。

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