クライアントではご存じの方もおられますが、来月7月からエドワードエクリュは現在『 Copel :コペル』 としてブレイクしているレディズのオートクチュール含めて、拠点を田園調布に移します。神楽坂も紹介のみのクローズドでの運営でしたが、ここに来て一層奥に引っ込むことになりました(※小物類は今後オープン展開予定です)。何しろこちらは、たびたびこのブログにも登場する前田氏(エドワードのコードネーム:Baron)の個人宅の一部屋 (地下室)です。
今後エドワードエクリュ・ラウンジの宛先には“前田様方” と入ります。中世の貴族と職人の大パトロンの世界です。中国・上海には、特殊に洗練された食事を提供する個人宅レストラン『私房菜』というスタイルがありますが、それの装いバージョンという説明でもよいかもしれません。この部屋のクローゼットは、“究極のワードローブ”というコンセプトでバロンアイテムのサイズを踏まえて彼のために僕が設計したものです。
昔のGQ誌やEsquire誌や、エドワードⅧ世のワードローブやさまざまな参考文献をもとに製作したこのワードローブ一式は、春夏の現時点だと秋冬一式が展示されています。すべて、直球ど真ん中の、ハリソンズ・オブ・エジンバラ、ホーランド&シェリー、ドラッパーズ、HE-BOXの生地などを使用してクラシック&ラグジュアリーにつくられたアイテムです。これらはエドワードが提唱する、『モダン・ジェントルマン・スタイル』の世界観を体現したエドワードエクリュオリジナルの逸品たちです。
ただ、こちらにかかっているすべてのアイテム、3ピース・スーツ、プライベート用のノーフォーク・ジャケットやリバーシブルのシガー・ジャケット、舞踏会・晩餐会・馬術Dressage用の燕尾服(スワローテール・コート)、Jumping障害競技用一式、鞍、長靴ブーツ、鞭、などすべてが現在実際に使用中のものです。
これらは、すべて雰囲気づくりのために置かれているオブジェ、インテリア品ではなく、Baron氏のライフスタイルの中で必要なものとして、ふつうにただそこにあります。ふつうに本物を作っているので、勝手に雰囲気が出ます。すべてBaron所有の現役の愛用品です。
製作数年前のものは経年変化の具合が見ることができます。5年前に作ったものは、ローテーションを丁寧に考えて大事にメンテナンスされたスーツの5年後がそこにあります。
さっそく昨日は、こちらのラウンジで、初めての納品を行いました。若手で最近、都内にある中堅どころの紳士服店に勤務することになったS君が國枝くんと一緒に来られました。パトリス・ルコント監督の映画 『 イヴォンヌの香り 』 の世界観で製作したペイル・イエローの優雅なダブルブレストのスーツに、ホワイト・カラードシャツ(地色は淡いボルドーのストライプ)に、Y色調が微量にはいった陰影のあるライトブルーのレジメンタイ、すべてエドワードエクリュのオリジナルです。たいへん優雅な時間でした。
さて、愛すべき街神楽坂にある、従来のサロンエドワードはどうなるのかというと、僕の一番弟子である、若干20代でありながら、洋装士として活躍中の怪物(モンスターとぼくは認識しています)竹内君が彼のブランド 『 Berun :ベルン 』 として、入居する予定です。今、満開の紫陽花に囲まれてオーセンティックな世界をベースに、彼らしい独自の世界観を切り拓くにちがいありません。
歴代、神楽坂上のサロンは、キャラクター強烈なテーラーが引き継いでいくとことを夢見ています。彼の有り余る伝説はまたの機会に語りましょう。そんなわけで、いつも説明なしの事後承諾ながら、そろそろいいかがげんギリギリになってきたので、突然のアナウンスでした。あしからずご了承ください。詳しくはお会いしたときにまた、お話しますよ。。