2012/07/24

A.C.M.G.の流儀、



A.C.M.G. は “ Anti Coolbiz Modern Gentleman アンチ・クールビズ・モダン・ジェントルマン” の略です。 ここ数日、エドワードエクリュという名前の航空母艦から、A.C.M.G.という名のソルジャーを立て続けに送り出しております。上写真、スーツ、シャツ、タイすべてエドワードエクリュ。(ミュール色の地に、小さ目で、ピッチが広めのゆったりしたドットタイ)

昨今の省エネ・クールビズ、そしてナロー・タイの流行からでしょうか?昨今の市場には、クラシック寄りのスタイルを好む紳士にとっては “ ふつうはこうだろう ” と感じられるタイすら、ほとんど存在しておりませんでした。

ふつうにクラシックを好む者、あるいは健康的な美意識をお持ちの殿方は、そろそろブチ切れておられることとだと強く確信します。ネクタイの企画者、デザイナーは、そろいもそろって、いったい何をやっとるんだ、めちゃめちゃ同質化しすぎだろうと。

セッテピエゲ?1本2本持ってるとそれはそれで愉しめても、別にそこは本質ではない、と。まずはふつうに美しいカッティングを、と。というわけで、オリジナルで製作しました。大剣9センチ、さらに、(それ以上に重要と認識する部分として)ノットの天地が5.5センチ前後。工場に型が無く、すべて手断ちです。

シルエットが、楔形(くさびがた)、つまり逆二等辺三角形です。タイはもちろん3次元に持ち上がり、つつ~っと充分に下に下がった位置でふくらみが一旦くびれ、くびれたと思ったら、その瞬間ぷわっと花が咲くように、開きます。その立体的なメリハリを作り出すためには、大剣はもちろんのこと、小剣の充分な太さを必要とします。

自分で企画してみてわかりました。小剣を太くするためには、ネクタイ1本あたりの用尺が20センチ前後余計に必要となります。つまり経済ロットではないわけですね。ピタピタ・スーツと、ナロータイの流行は、その意図において共通性があります。

柄は、無地(ジャガード)、小紋、ドット、ペイズリーのみ。一気に130本近く製作しましたが、いつもながら、なくなるスピードも一気に納品されております。ありがたい限りです。製品には、一層ラディカルな解説文がつけられております。昨今の喧噪に対する、大いなる挑戦状であり、大いなるメッセージを持った一品と自負しております。

下写真、シャンパン・ゴールドのドットタイ。ドットのピッチが広めなのは、店舗では目立たないからなのか、なかなか存在しません。これも結局、自分で作るしかありませんでした。コードレーンの3ピースに合わせて。

2012/07/18

スポーツを愉しむ休日、その2



日曜日、全日本ジュニア馬場馬術競技に出場とのことで、応援していたジュニアのSさん、緊張させてはいけない、と我々は反対ギャラリー席から応援していました。キレ味抜群の愛馬の動きに合わせて、Sさんの堂々たるライディングに観客は静まりかえり、見とれていました。

霧雨の中、まるで東山魁夷の絵画のように美しい光景でした。これだけ正装しつつ、自然の中に溶け込みつつ、美を競うスポーツ、なんというエレガンス、あらためて圧倒されます。

予選ですでに他を圧倒したSさんは、翌日のライディングも順調で、全日本ジュニア馬場馬術競技において優勝、全日本ジュニア王者の座に輝きました。金メダル“獲得”という表現もすばらしいのですが、『自分が王者である、という真実を証明してみせる』という、 “王者であることの証明”という表現も一層感動的ですね。


 きょうび、これだけ上品に正装している人々を一度に見る機会も、そうそうありません。


Sさんは、エドワードエクリュにてビスポークされたハンド・メイドの馬場馬術・ドレサージュ用の燕尾服を着用され、ドレッサーとしてクラシックな着こなしの技芸・アドヴァイスをご教授させていただきました。微力ながらも力になれたことを光栄に思います。


神楽坂のサロンに何度も足を運んでいただき、最終調整まで時間をかけました。ビスポークは、ひとつの覚悟の表明なのだな、と実感した次第です。最近偶然のきっかけから、仲良くさせていただいている本田大三郎氏も、本番に強い選手ほど、普段から清潔なウェアを身に着け、細心なまでに身なりに気を使う、と仰っておられます。


上、お父様も真剣です。前後横、すべての角度から動きやすく、絵になるように。優勝の副賞として、馬場馬術でのドイツ留学が決まっているとのことなので、彼女のアスリートとしての精進を労うべく、渡独への旅のための一品をプレゼントしようと思います。


さて、同じく馬場馬術競技に出場していたM氏。今回は惜しくも予選突破がなりませんでした。M氏本人も試合直前まで、全日本ジュニアレスリングの後援で、キルギスタンに10日あ海外遠征していたこともあり、調整が2日だけ、という状況でもありました。

楽しみはじっくりとっておきましょう。シャンパンでの乾杯は持ち越しとなりました。上写真は最新のロゴ。これは氏の最初の持ち馬だったハナミ号の輪郭から製作しています。今回は、2号目の自馬である純国産のカーロ号での参加となりました。


当日M氏は、応援にかけつけたミヤビ一家とわが一家の相手をしながら、、他選手のマネージャー役、地味な使役作業に徹していたジェントルマンぶりでした。ロイヤルアスコット的ながら、気ままな気合で、というアドヴァイスに乗って、花に梟(ふくろう)が乗ったハットで登場したミヤビさんには全員大ウケでした。



スポーツは自分でプレイするのはもちろん、観戦の愉しみも、これまたひとつの重要なキーポイントかな、と思います。一流アスリートの方々とのおつきあいを通して、豊かで文化的に膨らみを持ち、人生に影響を与えるような観戦の仕方、楽しみ方もできるのだ、と最近学ばせていただきました。


2012/07/17

スポーツを愉しむ休日、その1



オリンピックも差し迫っているこの連休は、はからずもスポーツを愉しむ日々となりました。先週金曜日は、仕事もそこそこに、土日に開催される御殿場での馬術観戦に向けて、スタイリング的にも、関心のある、『優雅にスポーツ観戦できるクラシックな(簡略型)スタイル一式』を揃えました。

もちろん、スポーツマンシップに厳粛な気持ちで乾杯を捧げたてまつる気持ちから(と、こじつけでしょう、それ)、バスケットに先日しこたま頂いたシャンパンをブラックウォッチの毛布の中に忍ばせました。宅急便にて宿泊予定のホテル『オーベルジュ・ブランシュ』へ発送しました。

金曜日夜は、とても価値のある英国大使館での集まりがあったのですが、必要最低限のご挨拶をして早々に帰宅し11時前には睡眠の世界へ入りました。会を企画された関係各位、貴重なメッセージ・見識に感謝いたします。当日は、礼をつくしてアンダーソン&シェパードでビスポークした3ピース(生地はハリソンズのプリミエクリュ)を着用。

 翌日早朝の予定があったため早目に寝つき、ぐっすりと睡眠を取っての土曜日朝7時、Jet氏の青山の自宅にてドレッサーとして、納品した3つの3ピース・スーツと各ドレッシング・アイテム、おもにVゾーンのシャツ・ボウタイ、そして靴など足元のチューニングと微調整を徹底的に行いました。

これは毎回のことながら、エネルギーが必要な時間で、前日10時前後に寝た、プリプリの脳みそでなくては、絶対的に納得できる閃きが起こってこず、仕事になりません。そして、エドワードエクリュ的な、朝方の爽やかなイメージが湧きません。


近所のスタバで朝食を済ませ、Jet氏のフューチャーなオフィスへ。この絨毯の配色、どこか懐かしい気がします。そうですね、設計者の城戸氏は、Jet氏のウェポン的配色のパンツの色からさらにインスピレーションを炸裂させ、この太陽のようなインテリアを作り出したとのことです。氏が定期購読しているファイナンシャルタイムズの土日版をもらい、神楽坂の店に寄り、あたらしい靴を納品すると同時に次の目的地へ。


氏の運転するスポーツ感溢れるアルファロメオで、朝の光の中、とある自衛隊駐屯地へ。ここで、オリンピックの壮行会に出席して参りました。来賓席すぐ近くに、最近仲よくさせていただいている本田大三郎先生、レスリングの高田先生などがおられ、ご挨拶させていただきました。


こちらも、恐縮ながら、乾杯後は早々に退出いたして御殿場へ。新宿で家族と合流し、2時間ちかくの車窓の旅。しばし、うつらうつらしたところでホテルへ到着。こちらは、近くに富士スピードウェイがあるせいで、5年ほど前、に2年連続でフェラーリチームがオフィシャルで宿泊したとのことでした。

その当時を知っているスタッフに、ひとつ訊きました。フェラーリ・チームは朝ごはんを食べにレストランにどんな格好をしていたか?と。ああ、ライコネン氏とか、彼らはジャージでしたよ、フェラーリのジャージで。。。なるほど。成績は? 3位でした。。。 大三郎先生の言うことはやはり正しいですね、そう確信した次第です。ひさびさ、つらつら書いていたらタイムアップ、その2は、次回にて。

2012/07/07

ありがとうございました。



先日行ったオープニングのパーティーに、小雨の中お越しいただきましてありがとうございます。、盛況のうちに無事とりおこなうことが出来ました。まことにありがとうございます。 

おかげさまで、ささやかながらまた一歩、理想空間に近づくことができました。まことにありがとうございます。

数々の新しい出会いがあり、たのしい展開があり、それぞれの小さな種が着実に実を結び、現在にいたりました。  とはいっても、いまだ改善点満載・のびしろ満載とツッコまれることもありますが、これまた、たいへんに幸せなこと、と存じます。

おひとり・おひとりと一期一会の時をすごし、深く静かな対話を交わし、過剰にのめり込みながら企画・製作している装いの数々、、、、

これら全身一式で纏われた状態で、一同に集まっておられる、、、わたくしにとってもめまいがするほどの強烈な刺激でした。ありがとうございます。

すなおにシンプルにうつくしいと感じるような世界、印象派絵画のように、洗練されたものの先に、ゆったりのんびり存在する 『 自然 と 素朴 』 のような贅沢なエッセンスは、服の力だけでは表現不可能なのかもしれません。

そこには、それらを纏う方々の所作や佇まいの優美さがあって、さらにそれらを取り囲む季節感などの舞台立てもあって、完成するものと存じます。

先日のパーティーにおいては、僕の納期と同様の不安定な・先の読めない天候だったのですが笑、みなさまの佇まいと優雅さのお陰で、時代を超越した美しい古典絵画のように、記憶に刻まれるシーンとなっていたのは間違いありません。

今月の25、26日は神楽坂では 『 ほおずき市 』 、27、28日は 『 阿波踊り 』があります。

エドワードは26、27は出張で不在予定ですが、28は夜まで神楽坂を愉しむ予定でおります。お仲間の方々、喧噪をはなれて一服する際は、お寄りくださいませ。