2010/03/05

Fabulous Knowledge


Paisley柄は、そもそも不思議な柄ですね。中東(ペルシャ)やアジア(カシミール)、そして英国(そしてスコットランドのペイズリーで商品製造的に成功)へと伝わったとされますが、日本にも勾玉型として存在しています。もともとは、普通に(あるいは、普通じゃない状態で)人が目を閉じた時に光の残像として真っ暗の瞼の裏に見える模様から来ているのではないかと僕は想像しています。これが世界を舞台にシンクロニシティが起きて、それがさまざまな道ゆきを経るたびに、豊かな意匠へと結実したのでは、と思っています。

キャメロン氏は、イングリッシュマダーのペイズリーを見せてくれました。深く命を感じさせるような陰りを帯びた赤、オーガニックゆえの上質な発色を持つアイテムでした。グッと〆て、効かせられる小物はすばらしいですね。自戒も込めつつ逆に考えると、仮に50万円のフルハンドメイドのスーツを着ていたとしても、いまいちなアクセサリーをつけたとしたら、そこがすべてのコーディネートにおけるボトル・ネックとなり、全体の中でその部分の印象だけが残るのかもしれない、ということですね。


他人の目とは、よくも悪くも、着用する本人の(たとえそれが、物語や文化的トリビアに溢れていたとしても、それは、バクっと見た印象評価にいともあっさりと凌駕されてしまったりもするし)自己満足を許さない、“客観性”という名の残酷さを 持っています。まずは基本的なスーツを含めた全体のベイシックなワードローブをそろえきってから、一点豪華に走らぬように判断の美学を発動させて、全体のベースラインをじっくりと上げていくのが賢いやり方です。一点一点も素晴らしいアイテムでありながら、全体的に豊かな生活感が溢れている、キャメロン氏のクロゼットルー ムを拝見しながら、そう感じました。


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