2009/04/04

自然の美しさ、


まことにありがたいことにワーカホリックの毎日が続いております。今年は、ポンド安ということもあって、お値打ち感あふれる生地のラインナップが充実しています。そういうことを分かっておられるのか、目利きのお客様は春夏用に、一気に早目に注文を入れられます。

また、合いモノの着こなしを、スマートにやっておられる方は非常に少ないですが、このあたりは、年配の紳士たちのほうが、年季が入って得意かもしれませんね。自然のうつくしさや季節の移りかわりに敏感になる、気持ちに余裕がないと、むずかしいことかもしれません。


普段都市生活をしている人間としては、せいぜい自然を味わい、豊かで、悠然とした感受性を持っていたいものです。仕事など、細かくて緻密で間違いが許されない世界にいると、逆に反対のゆ~ったりした感覚に浸り、美しい自然をじっくり堪能したくなります。妻の関係から、長野県松本に行く機会が増え、透明感あふれるきれいな空気と、静かで独特に文化的な街の佇まいにすっかり魅了されました。


しかしながら、ある意味滑稽な話ですが、新宿からの“あずさ”の中で何をしているかというと、比較的重くない生地バンチを持参して親指と人差し指で、触りながら、時々思いっきりひっぱったり、擦ったりしながら、車窓を見て、時々視線をまた生地に戻して、そして車内販売の弁当をチェックすることも忘れず、数時間をすごします。

ちなみに、最近持参していったのは、Schofield & Smith 『MID WEIGHT SUITINGS(250gms SUPER130's wool100%)』と、William Halstead 『TROPICAL (230gms SUPER120's wool95%,cashmere5%)』とHarrisons of Edinburgh 『HAVANA (240gms SUPER120's wool99%,cashmere1%)』の3冊でした。自分用と顧客用に決めないといけません。

上の写真のバーズ・アイ柄は、以前僕がかれこれ3年くらいDJをやっていたご縁で付き合いのある、地元市川のブラジリアンレストランZのオーナーN氏の3ピース(上・中・下)スーツ用です。WBCで日本が優勝を決め、上野で祝い酒を飲んでいた深夜、結構よっぱらっている氏をつかまえ、仮縫いしました。

靴も、黒・カーフ・クラシックなストレートチップをと採寸をしました。イクスピアリで、スカバンドやミュージシャン登場予定にて、ウェディング・パーティーを催します。その時の氏の大人セクシーを演出するスタイル、となります。


上は市川の真間山にある寺へ、タケシ氏の誘いで早朝の座禅に行きました。空気もきれいで、清浄な空間の中で座禅をしました。座禅はちょっと物足りないくらいあっという間に感じられ、気持良く精神統一できました。その名残りで、心なしか姿勢のいい記念撮影。彼は、グルメなイイ場所をよく知っています。和波波とは、すばらしい言葉ですね。



下は、エドワード製、基本シャツ3点。1点はクレリック(袖はボディと同じ仕様)。オープンすぎず、ナローすぎずの襟。ベイシックで端正なシャツ。“後ろ前立て”仕様で、英国・イタリア問わず、クラシックな着こなしのコンポーネンツとして必要となります。スーツからのシャツの理想的な佇まいを確立するためには、結構細かくチェックする必要があります。

1.リスト周り 2.袖口巾 3.裄丈、とかなり厳密な調整が必要です。手首の皺の位置を確定するところから、すでに神経質な作業です。先日、アイロンも買い替え、(英国製のモーフィー・リチャーズを買いに行ったものの、結局、東芝製を購入。アイロンについて近々再び書きます)ケア・メンテナンスの仕方を顧客に伝えるサービスを始めました。心の落着きといい、静かな所作といい、アイロンもひとつの“道”に近い世界ですね。


下:先日、NHKでクラシックな着こなしの番組がありました。そこで登場したボストンタイプのメガネ。こうやって見ると、今楽しみたいクラシックアイテムとしては、ちょっとニュアンスが違います。以前のものは、フレームが細く、アラレちゃん的80年代チックですが、今的・旬的には、ジェームズ・ディーンがオフの時に愛用していたような、もっとクラシックで、フレームが太目の無骨なやつがイメージです。


先日、針山を買った和小物のお店にて、売られていた携帯用箸入れ。デザインは文句なかったのですが、1.シンプルで上品なデザイン 2.お手入れしやすい、掃除しやすいもの という2点のうち、2に疑問あり、購入せず。ガンガン水洗いできるような、材質がたとえば、リモンタ製だったら即購入でした。



下は、18ミリ巾のストライプ。流れ的にも、ストライプ巾は太くゆったりとした方向です。巾が狭くて、はっきりしたストライプはバンカーズストライプと呼ばれ、完全にビジネスシーンのテイストです。上生地は、艶のあるスーツとして、EDWARD税込価格(スーツ上下:仮縫い付)84000円。この生地スワッチが出た瞬間、迷わず自分用にこのハイトーンのグレイ・ストライプ・バージョンとセットで自分用に購入しました。

しかしながら、GUABELLO(イタリア:245gms,SUPER130's wool100%)は、速攻、顧客のスーツ用へと旅立って行きました。そして、やはり3月30日時点でグレイともに完全品切れです。これらは、もちろんビジネス・シーン用がメインではありますが、ゆったりしたストライプ巾と底艶はビジネス以上の何かを感じさせます。しっとりヒンヤリとした質感で、素肌のまわりを泳ぐ度に、触覚的で独特の満足感があります。


先日、NHKのドラマ『白洲次郎』を観ました。幻想的な映像や、細かいスーツの仕様など、そして思い切った演出に楽しめました。ちょっと上着丈が短かいところが、白洲氏が着用しているスーツを企画採寸したK氏らしく感じました!(笑)。

氏は、EDWARDのスーツを縫製工場に出す際の、ブルーペンシル(縫製工場との間に入って数字などをチェックし、数字や仕様を揉む役割の人)をやってくれていました。2009年アタマまでの伝票は僕と彼とで揉んで作った数字ということになります。

番組で登場するすべてのスーツは生地・仕様含めて、完全に誂え・再現可能なので、TVショッピングのように、あの時のあの○○という形でのリクエストに関しては、完全に応えられますのでいつでもどうぞ。

さて、個人的に白洲次郎という存在を知ったのは、大学生時代に女友達に雑誌『太陽』で青山次郎の特集号を借りた時です。そこから白洲正子、そしてT-shirtsとジーンズがえらく決まっている男というのが第一印象で白洲次郎へとたどりつきました。

また、御縁を感じたのが、私が10年以上も前に、老舗デパートのM屋の海外向けの会社案内を企画製作した際、そこがヘンリー・プールを扱っていたからみで、再び白洲次郎の名前と出会ったのでした。いずれにしろ、戦前戦後のクラシックな雰囲気は学ぶべき、自然と真似したくなるものがあります。



下は20代後半のM氏。コンサル先のクライアント会社の数十億の利益を数百億にした凄腕の氏。2008年ごろから、規格外のスケールが桁外れの20代達との出会いに恵まれ、こちらはただ驚かされることばかり。魅力的な紳士を次々紹介していただき、恐縮&感謝に堪えません。

盆栽とBang & Olufsen。フューチャーとクラシックが共存する彼のオフィス。左にかかっているのがDORMEUILの『ICE(290gms 88%wool 8% mohair 4% cashmere)』とキャメル(wool&cashmere)のスポルベリーノ仕様のコート、ともにEDWARD製。ロンドン土産のジョン・スメドレーのピンクのニットを着用されています。


下は、確かアストン・マーチンのウェブで拾った画像。時計、シャツ、スーツ、色もサイズもきれいに調和していると、そのフィット感に心も落ち着き、きちんとした“気”が充実してきますね。

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