2010/01/20

乗馬由来、


昨夜はシティ&カントリースタイル一式の納品にて、さながらサロンにてファッションショーでした。ベイシックなヘリンボン生地ハリス・ツイードの3ピーススーツ、400グラム近いヘビーウエイト生地(ネイビー×赤のストライプ:今年はこのテイストを良く使います)で英国“オイスター”でのダブルブレステッド6釦×2掛けの3ピース、厚手400グラムほどのコットンでスポルベリーノタイプのコート、ロロ・ピアーナのウール100%のカシミアタッチのビーバー仕上げのトラウザーズ、という組み合わせ。

その中で、いくつかのフィーチャーにおいて、しつこいながらも若干の疑問点があったので、それを解消すべく本日昨年からよく質問を溜めてはお教えいただく、初老のテーラーT氏に訊きにいきました。彼はフル・ハンドメイドで当時の白洲次郎氏はじめ(そのNHKのドラマにおいても)お歴々に仕立ててこられた職人です。

たとえば、フックベント。やはり馬がらみで、現代の僕らは、フックベント=アメリカン・トラッド(アイビー)をまずは連想しがちなのですが、もともとは、やはり英国の乗馬絡みなんですね。さらに正式には背中はちょっと正礼装のモーニング風に切り返しや釦がついているようなノリでフックベント。馬に乗る時のちょっと洗練された感じ。

一方、サイドベンツはカントリー的な雰囲気もありつつ乗馬という認識とのこと。なるほど。ちなみに白洲氏はカントリーなのでサイドベンツ。僕は今回、R氏にフックベントで作りました。エッジを7ミリステッチにして。あくまでマシンメイドなので、ハンドメイドのように表地・芯地の数段重ねにはならず、縁はそこまでぶっとくなることはありません。


自分用にもスコットランドでもドーン・ウォーカー(※エド造語:朝焼け見ながらゆっくりウォーキングするのが好きな人間)なので、スコッチ・ツイード(ガンクラブ・チェック柄)でノーフォークジャケットをつくっていますが、これは敢えてステッチは入れないで、シンプルに作っています。といっての、背中はバックベルト、スロート・タブ、など結構、ベタな特徴つけていますね。下は、先日朝、散歩した後楽園、空気が澄んで最高の気分でした。



日本でも一世を風靡した1970年代のアメリカ・アイビースタイルは、英国のクラブ(テニス・ボート・クリケット、、、)ジャケットの夏バージョンとして、コードレーンやサッカーなどコットンでボックスシルエットで作ったもの。色もさすがにピンクやサックスブルーなどさわやかで軽快な感じ、そしてそうなると、英国的上着丈の長さが気になるので、だんだん上着丈が短くなって、ということですね。

そして、本切羽(ほんせっぱ)についての蘊蓄が僕は初めて聴いたものでした。もともと、本切羽は、手袋を入れとくためのもの、ということでした。濡れても大丈夫な実用性高いペッカリー(野豚)の手袋などを押し込んでおく、、、。もっとフォーマルな、でも濡れたらぐちゃぐちゃになる鹿革なども。それからモーニングなどの正礼装では、現代の白手袋は本来は鹿革なんだそうですね。歴史もおもしろいものですね。

写真は、昨年末あそびに来られたM御夫妻からのお土産。御夫婦で乗馬をやらてているので、馬イベント絡みのチョコレートでした、これは美味かった。この赤いパッケージが素敵だったので、現在ではエドワードのタグはこの箱の中に保存されております(笑)やはりエルメス含めて、馬がらみは上品なグッズが多いんですね。スーツの歴史の、軍服由来に加えて、乗馬由来、クラブスタイル、、、起源はとことんありますね。昔のダンディたちのセビア色の写真を見ていると、あっという間に時間が経ちます。

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