2009/02/05

Birdseye


Birdseye(バーズ・アイ):織柄名。『鳥目織り』。変わり織りの一種。シャークスキン同様、合物(あいもの)の背広地の代表。*「男の服飾辞典」婦人画報社より 合物は、いろんな説明がありますが、基本的に冬、夏からはみ出した季節のもの、という意味ですね。

ふだん僕はイメージしやすい表現として、“春に向かう装い”、“秋に向かう装い”という言い方をしています。Birdseye、素敵な言葉ですね。将来ジェントルマンズ・スタイル誌を創刊する際は、この名前にしたいです。


これは最近個人的によく履いているスペクテーター・シューズに合わせるためのコーディネートとして、全体を逆算していってセレクトしたトラウザーズ用ヘリンボン柄の生地。黒(か、ミッドナイトブルー系)タートルか黒(か、ミッドナイトブルー系)Vネックセーターにアクセントとしてスペクテイター靴を1点だけ挿します。下写真は、昨日いろいろな気づきと学びをいただいたリッツ・カールトンのカルテ。営業手法はプルデンシャル、接客はリッツから学ばせていただき、真似るべきところは徹底的に真似し尽くして、研究して、進化させ、精進させていきます。


さて、1月末から2月ごろにかけて、『梅春(うめはる)』と言います。この曖昧な季節に、自然にさりげなく合物をよそおっていると、ちょっとイイ感じです。季節(を愛でるニュアンス)をさりげなく表現できることは、茶の湯や花の世界に通じる粋ではないでしょうか。

ブログにちょっと間が空きましたが、パソコンにとらわれない生活も、これまた非常に豊かなものですね。携帯やヘッドフォンが当たり前になっていると、自然できめ細かでしなやかな、感性が磨耗していくようにも感じます。たまには、これら全~部捨てて、一歩一歩ゆっくりと自然の中を歩く、というような生活に戻ったほうがいいですね。


さて、あいかわらず11月あたりからは、たいへん忙しくさせていただいており、まことにありがとうございます。感謝する限りです。また、昨年のキャナル・カフェで行った100人パーティーがきっかけとなってよいご縁を作られた方々も何組かおられ、みなさまいろんな独自世界でのご縁で、実りをはぐくんだカップルもおられ、まことにもってすばらしいことです。微力ながら、『Bridge:架け橋』になれたことを光栄に思います。

一層、すばらしい『Bridge:架け橋』になるべく精進あるのみです。パーティーを催したりすることも、今年もたびたびあると思いますが、参加していただいた方々は、主催者にことわることなく、勝手に連絡を取り合ったり、人間関係を豊かにはぐくんでいただければ、たいへんうれしく存じます。

異業種パーティーの黎明期、ちょっとやかましいタイプの主催者(や紹介者)のパーティーに呼ばれた際、ぼくが誰と仲良くなったかを逐一報告しないと、たいへん機嫌をそこねるという方もいたりして、ちょっトホホ、、ということもあったりして、そのあたりは反面教師としながら、気持ちはフリーでも気をつけないといかんですね。

と、話が逸れたところで、また生地の話ながら、今年はマーチンソンのイングリッシュ・フランネル(Martin Sons & Co. English Flannel 400g)が人気あり、よく出ます(進行形)。これは本物のフランネル、スポーツを感じさせる、丈夫さ、タフさを感じさせる硬質の張りのあるイイ生地・名品ですね。

そういえば、ちょうど昨日納品のお客様Y氏と2人でほろ酔いで(アールグレイとカシスのカクテルは色も味も最高でした)新宿バーニーズ前とおりかかったのですが、マーチンソンの『フレスコ』を推していたようですね。季節感、多孔性、ポーラー生地、3プライ、4プライの粋な季節がやってきました。このあたりは、流行関係なくタイムレスなものなのでしょう。

さて、またしつこくフラノの話にもどって、イタリアのダンディ、ルチアーノ・バルベラ氏は夏でもフラノのトラウザーズを履くこともあるとのこと、野良着としてのこなれたおしゃれですね。スプリング・コートはコットンだけという選択肢よりも、通年コートして、フラノやジャケット生地でコートを仕立てる、はアリだと思います。

昨今、ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーに見られる、ちょっとノスタルジックな口ひげの流行を見てもなんとなく時代の気分はカントリー(やノスタルジックやクラシック、往年のハリウッドスターな気分)に流れていきそうな気がします。

ここ数年、ファッション誌は、ハリウッド俳優、ケーリー・グラントをこぞって引き合いに出しますが、個人的には、彼のコーディネートは見事だと思いながらも、全体の人物として・人間としてのたたずまいが、いまひとつピンと来ず、どちらかというと、クラーク・ゲーブルに強いインスピレーションを感じていました。

どっしり男っぽく悠然としながらも少し甘い雰囲気がある、という点で古い映画を観てもクラーク・ゲーブルには強い魅力と深い陰影を感じさせられます。昨今のヒゲにもちょっと彼へのオマージュのようにも見えます。めりはり、陰影、強弱、間。
いまの激動の時代を生きぬける、走り抜けられるパワー、というようなものもあるのでしょう。そしてさらに実は、いまだかつて “ファッション” アイコンとしてはありえなかったものの、『リンカーン』というキーワードからくる“スタイル”も底流にあるかもしれないという、ちょっと風変わりな仮説を立ててみたりしています。

アメリカは南北戦争以来の激動期ですし、つらく厳しい時代も、風とともに去りぬ(この場合の『ぬ』は、過去完了ではなく、強い意志を表す、みたいな?)ということなのかもしれません。あれ、いつから流行観測に?

さて、さらにしつこく話題もどして、今年は、このイングリッシュフランネルで、軽いコートとして、スポルベリーノ風のものを沢山お仕立てしました。

ゼニアのトラベラーズの厚手のバーズアイ生地、カシミア、ウール、白のライトドスキン、柄的には、ハウンド・トゥースやヘリンボン、ガンクラブチェック、、、などなど。そして、私自身、このマニカカミーチャ的なシャツ袖の軽さを体験しているうちに、スーツの肩のスタイルのご提案を今までののおススメの構築的スタイルから変節させてしまいそうな予感がします。

という、ひさびさの長書きもこのへんで、さて、本日は『007慰めの報酬』のボンドのトム・フォードとボンドガール(最近の007、フェミニズム勢力へ気を使うあまり、最新ボンドのあのストイックでシリアスな雰囲気があるのではと予測)のプラダのシルエットでも観に行こうかと考えています。上着丈長めで、きれいに自然なラインでシェイプされています。楽しみです。

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