個人的に5年近く封印していたレディズのデザイン・製作ですが2019年、今年の8月から復活させています。工場縫製とクチュリエの星さんとのハンドメイドによるクチュールの2種類です。『ロマンシング・ダイアログ』という1時間の『自分自身の未来像を描く』時間を設けています。
インタビュー形式での対話を基本としてポテンシャルの手がかりを見出した後に、そこから膨らませ展開させて装いを創る、という流れをつくりました。コミュニケーションを軸として展開させていくに際して、金澤の印象美プロデューサーである小西さん@Wordrobe Inc.の大きな協力をいただいています。
1 Metamorphose 人生や自身の変化を目的として変身できる装いを創る。
2 Advanced 装い上級者は既存品では無理でご自身のオンリーワンを創るしかない。
3 Integration 経験に加えてプロの企画製作力でプレゼンス統一に向かって創る。
ある意味アナログで、ユニークな『注文の仕組み』をつくった後は、存分にクライアントにむけてのクリエイションに没頭できます。
紳士注文服と婦人注文服の独特のセンス・技術・テイストを自由自在に駆使して、ジェンダレス・タイムレス・シンプル、そしてとりわけ上質にカスタムされた“その人だけの逸品”の企画製作をします。特に、レディスのクチュールを英国生地やイタリア生地のメンズアタイアからの美学をつくりあげて出現してくる作品は、凛々しさ・清清しさに溢れ、驚くことだと思います。
過去を大切にしたり、自己を内省したり、時には迷ってみたり、ゆっくり考えたり、そんな時間がかかることを良しとしない昨今の価値観、時代の流れの中で居場所が失われていきそうな、そんなスロウな世界。
迷うことは短期的には経済合理性は無くマイナスかもしれませんが、ぼくらはこの迷って自分が決められないというセンスのいい方々(既存のものから選ばないといけない、という強いられた刷り込みから自由になっている方々)に向けても『フォレスティエール(森の散歩者・迷い人)』というアイテムをつくっています。(上のブルーのコートです) かつて存在したアルニスというパリ左岸のブランドの名作ですが我々はこれを2019年版にしています。
おしゃれ上級者の大人の女性で、欲しいものはイメージがあるのに全然売っていないから手に入れることができないという『巡礼者』の方々がいます。東京だと結構いる感覚です。それも、むしろ過去にファッション業界にいた方々。
『 いつから巡礼者ですか?』
『 1992年からです 』
などとはっきり年号を挙げられる方すら少なくありませんから。
やはり服というのは、されど服たがが服なのですが、人生においてかなり大事なものです。なぜかと言うと自分という存在に対してやはり服はきわめて身近な存在ですので。身近なところが気に食わないとなると、1日の、1年の、人生の時間のうちのそこそこ%が滅入ることになってしまいます。特に感性で生きているタイプの人間にとっては苦痛といえます。
スリークで底艶のあるイタリア生地からはじまって苦みばしった老英国紳士が気に入りそうなドライなミディアムウェイトの生地、本格的なLovelyハリス・ツイードの生地までとことんありますから、愉しい世界です。新しい贅沢な世界がそこに広がっています。
紳士生地の贅沢さの方向性を知る、これも特殊な美学の嗜み、ユニークな教養ともいえます。フラワリーな、あるいはファンシーなテイストが苦手という女性も一定数おられるので、そういった方はここを気に入っていただける可能性もあります。
お茶しながら、一杯やりながら、デザイナーとクチュリエとの対話を通して、敢えてそんな生地で大人の女性のドレスを作ってみる、紳士服独自の堅牢性と仕立て映えがスパイスとなって、永遠に着られる逸品が手にはいるはずです。迷いは創作には大いに必要な過程です。大いなる迷いを経て終には成果物を手にする、ささやかなハッピーエンドじゃないでしょうか。
No comments:
Post a Comment