これは、3年前パリに渡ったマダムMさん用に企画製作したものです。馬術・乗馬服や狩猟や野外用のトラウザーズ(パンツ)など、タフな素材で、極めて英国的な生地、Bedford cords(ベドフォード・コード) を使っています。それをコーレスポンデント靴仕様にして、グレイッシュな黒で合わせています。靴先の洗練を強調させるべくチゼルにしたりロング・ノーズにしたり、尖らせたりするよりも、ちょっと英国風の素朴なシェイプである部分が大切な微差(びさ)だと思っています。見せたいところはアクセント1つだけ、あとは、その通常からしたらイレギュラーな仕様に沿うようにできるだけ自然に、やらかさずに通す、ということです。
素朴さは、風通しのよい余白のようなものなので、できるだけ、デザインの判断において、トンガリかふんわりか選ぶ局面があれば、エドワードエクリュ的には常に迷わず、“ふんわりして素朴”のほうを選びます。このあたりは、尖がって鋭いものが大好きな男子感性と違うところかもしれません。英国×仏国×男性×女性その4つの要素の組合わせがテイストづくりの鍵かもしれません。
これを、無地ワントーン・コーディネートのグレイッシュな挿しアイテムとして使うと、とてもステキだと思います。小脇にフィガロ誌でも挟んで、カフェでお茶している姿が似合いそうです。このコードという生地は実に風合があって、大好きです。これが組織が薄くなると、最近なかなか手に入れにくい、ピケ素材(×コードレーン ⇒ 〇ピケ:Pique)になります。
この秋冬は厚手コットンの白のトラウザーズを作ろうと思っていますが、素材探しがたいへんだろいうなあ、と思います。個人的な2016年の春夏はイタリア・カルネ社のエクリュ色のコットントラウザーズ3本がとても重宝しました。カーキほどワークではなく、白ほどカジュアルではなく、淡い白、練乳色の白、極めて淡いまくりのベージュ、というようなエクリュ色のやや厚手のコットンは、端正で上品なので、どんなジャケットやポロシャツにもよく似合いました。
こちらは、ネクタイ用に描き起こしたペイズリー柄です。上の明るい黄金色で実際にタイを作りました。人気だったので、自分の分までクライアントに販売してしまい、サンプルタイもなくなりました。なんなんだろう?ペイズリーって、と思います。あまりにも、売っていないので、スコットランド・ペイズリーまで行きました。結果、博物館しか存在なくて、そこもチロチロ資料しかなくて、大したものが売っていませんでした。というわけで、作りました。おそらく、人間が目を閉じたときの瞳の裏の光の残像のようなものだと思います。
人間の(いや、犬もネコもかもしれないが、、)意識が混濁した時に、古今東西を問わず、意識・無意識の中に出現する模様、というか。。曼荼羅やマンデルブロー曲線のようなものですね。昔から存在する、土の色、煉瓦の色、エンジ色、緑色、辛子色、といった地味でオーガニックな色だけを使った、何の変哲も無い、トラッド調のものがほしいのですが、なかなかいまだに見つかりません。スコットランド・エジンバラに行った際には必ず寄る(インスタでもフォローしている笑)、老舗トラッドショップのスチュワート・クリスティにはボウタイも含め売っていましたが。。
人生の記憶に残っている、クラシックなペイズリーといえば、数年前日本橋三越の一階で見た、企画物のネクタイのカスタム・オーダーで、タイ・ユア・タイのコーナーにあった、生地サンプルに最高のペイズリーたちがありました。それ以来、一度も製品としてクオリティの高いペイズリーを見たことがありません。時々、写真でいつもぼんやり眠そうな表情のルチアーノ・バルベラ氏が、さらっと普通の挿しているのを見るくらいです。
なにしろ、今年の4月からフェイスブックをはじめ、ライン、インスタグラムと愉しんでいますからね。数年前の自分はどこへ行ったというくらいの、2016年の心境の変化っぷりです。そして、先月は、ポール・スミス展にも行ってみたという、以前の自分では絶対にやらない選択肢でした。って、ことで、わりと、ファッションに対しても自由な感覚にここ15年ぶりになっているのですが、上のヴィヴィアンも実はヴィンテージ資料として数年前に買っていました。アーマー、ツイードでどんな仕組みになってるのかな?と。連結部分はいったいぜんたい、と。でもこれは、やはり、凄い発想だと思うんですよ。買ったとき、正直、猛烈にトキメク自分がいました。
70's 80's いずれもやりたいことの宝庫。特にヒネって、オリジナル風に加工する必要も感じないくらいに、そのまんまパクりたいこともたくさんあります。さすがにアーマーはやらないでしょうが。。この秋冬はあくまでも普通のジャケット、普通のヴェスト、普通のトラウザーズ、というアイテムをメインでやりたいと思います。そのふつうって何?ということですが、たとえばトラウザーズならば、股上26~28センチ前後あり、わたり幅、ゆとり寸もしっかりあって、裾幅も最低20センチ前後あって、そして今年の一番重要なリトマス試験紙ポイント・チェックポイント、その着手のスタイルに対するスタンスが一番良く分かる部分でもあるパンツ丈。それも、ハーフ・クッションくらいしっかりあって、といった至極真っ当なかんじで行こうと思います。最近業界的に多い着こなしである、8分丈、9分丈のスーツスタイルでのパンツ丈が極めて滑稽なものだ、と認識される(カジュアルならアリですが)のには1年とかからないだろう、とエドワードエクリュのクライアントたちは見ています。
追伸:
今月9月22日は、表参道にて中規模パーティーを催しますが、今回は基本レディズ発表会とちょっとした記念バースデイなので、そのどちらの要素もいずれも関係ありそうな方にだけ、お声お掛けしました。午後6時ジャストにショーが始まりますので、くれぐれも遅くとも午後5:00時までには、受付を済まされて、地下のボールルームまで降りられて、ご歓談していてくださいませ。5時50分ごろから、入り口入っても、下り階段が使えなくなりますので、ショーが終わる19時からの再入場になってしまいます。くれぐれもご了承お願いします。
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