2016/02/18

Beautiful as it is...





すでに春一番も吹き、時が経つのはつくづく早いものですね!本日、春物生地バンチの第一号が届き、この生地はミスター○○、もうひとつの色違いはムッシュ○○用、と想像たくましくしていました。
さて、2月6日(土)は、エドワードからレディズとして独立した、コペルこと上原さんが新ブランドとして展開中の ‘ Copel ’ :コペルのオープニングパーティがありました。

当日の企画から演出キャスティングまですべてコペルひとりで作りこみ、独自の世界を出現させることに成功しました。いつの時代か、どこの国か、わからない世界観が、粒立ちの良い   “ 旬 ”  を感じました。昨今の消耗文化全盛の服飾業界は、若干正気を失っていて、一瞬の “ 今風 ” を求める、いわば躁状態にある “ ショッピング文化 ” ですが、その一方で、静かで落ち着いたスタイルづくりの世界もあるのだ、というメッセージを感じました。




モデル、ではなく自然な生命力に溢れるミューズとして存在しておられる、実際の知人であり、親友であり、女性クライアントたち。彼女らがエドワードのボーイズ君たち、ドレッサー( = StyleAdviser )である、Modern Gentlemen からアテンドされて、会場をウォーキングをしました。静と動の違い、サイジングの違い、それぞれに、観客が本来のクラシックな意味合いでの“マヌカン”としてミューズを見つめ、自分に近いミューズに気持ちも夢も “ 乗せて” 観ることができます。

通常の、モデルが新作のハンガーの役割を果たすファッション・ショーとしてのキャットウォークではなく、すべて御自身がオートクチュールした装いで、ご自身の好きな歩みのテンポで、そして自身の意志で、気ままに・わがままに好きに歩いていただきました。装いが世界をつくる記念すべき瞬間でした。フランス女と英国男、そんなほほえましい絵にもなっていましたよ。




まずは、今 = trend を感じさせるファッショニスタ的要素をすべて削ぎ落とします。そうやすやすと、おのれの美意識の手がかりを与えてなるものか、という気位の高さこそ國枝君のポテンシャル。おしゃべりな服はジャマになる。ひとつひとつのアイテムは、物静かでドライなくらいが丁度いい。髪型が今風だったりすると勘弁してよ、というわけです。

お気に入りのバーバーも良い仕事されています。ファッションに詳しくなる、一箇所にこだわり過ぎる愚かさを、喩えていうなら、旅をするのに、滑走路や飛行機(たまにc.a.さん?そりゃ楽しそうだが)に詳しくなるようなもの。道具あくまで手段。目的は思う存分愉しむフィールドにあります。Enjoy your dressing !




6日土曜日、パーティーの翌日の7日(日曜日)、ドレッサーである國枝君連れて、現地では松本から来た僕の家族と合流して、うつくしい・おいしい街、金沢の石田屋さん『 Gamadan Academy 』 にてトーク・ライブ。少人数30名ほどの会で、淡々と語ろうと心がけながらも、しばしばテンションが桜島噴火レベルに達したりして、、、むしろそれが素直なトークになって、よかったのかもしれません。

金沢の老舗、石田屋さん、経営者系や服飾・イメージ・スタイリング系のプロの方々も多く、 Advanced Class:上級クラスの理想的な空気でした。質問も鋭く、かつ全体性のあるものばかりで、こちらも愉しむことができて感謝しています。次回は、お酒が必須(飲めない方は炭酸をシャンパン替わりに)という趣向でも、サロン・ラーニング&ディスカヴァリーの優雅な夕べとなるように感じます。詳細は後日レポートしようと思います。

下2つの画像は、ゲスト・ルーム、この贅沢な漆喰の青。色と意匠との最高の出会いですね。





さて本日、春一番で生地が届きました。ふだん、生地のことはクライアントにはほとんど必要最低限しか話しません。装いの全体性を説明する際に、生地ばかり偏って説明することで、木を見て森を見ず、物に鼻ずらくっつき過ぎ、優先順位が狂う、という不本意な状況が、お教えする順序として違うかな、と思っているせいです。すなおに表現するならば、装いごときは、必要最低限が一番かっこいいと思います。と、のめりこみ禁止令発令した上で、、、


もちろん、エドワードでは生地の関心は過剰ではありませんが、必要十分です。というか、なぜいまだに、自分のところの、生地バンチを持っていないのか (1冊で済むのに、、)、というくらい、オーソドックスです。ストライプの幅は18㎜。もちろん、体型によっても顔の鉢の幅によっても、あらゆる要素によって変わってきますが。地の生地によってストライプの淡さ、濃さ。ストライプのピッチとドットの大きさ。特に春夏物のハイトーン・グレイのドライな生地で、ストライプがキレイに出ているものは、全体の5%くらいだと言い切ります。

これを、ふつうに仕立てる。① 肩幅・胸巾・ラペル巾もある程度ゆとり量の余裕を持って ② 肩パットもそこそこ構築的に入れる(アンダーソン&シェパードよりも硬くハッキリ入れる) ③ 股上深め ④ 通常、裾巾21cm以上で、ハーフクッション以上の長さ(カブリ量) ⑤上着丈も今の主流よりは2、3cm長め。

先日、香港のショップ、Armoury のアレックス氏と直接話した際、②と④以外は、ほぼ一致していて驚きました。ここ数年で、街でオープンするおしゃれな飲食店がことごとくクラシック回帰なのと同じで、大波とともにクラシックに回帰するように予感します。いつの時代でも、昔から賢い紳士は上手に醒めていて、正気なマインドで、この喧 “ 燥 ” 状態の世の中を冷静に見ていますが、スーツに関しても、トレンドのお祭り騒ぎのレイヤーにいること自体が既にトレンド的ではない、つまりトレンド的にもアウトだ、ということが一般的感性の世界でも、あたり前として認識されていくと思います。





鍛えすぎ禁止令を出している、ドレッサーで取締役の國枝君。まるで、國がかりでの、故金子國義氏が生田耕作氏の著書『ダンディズム』の表紙画で描いた男性像のようです。以前神楽坂の紅茶屋、メゾン・ド・ボウでアルバイトするために作った、ハリスツイードの淡いブラウンのジャケット。Vゾーンにはわせたストールは、シルク・カシミアのエドワードオリジナルの丈の短いストール、Muff : マフ です。先日田園調布の帰り、二子玉川のカフェにて。

これが、アンダーソン~や、今風のイタリア寄りの、日本のセレクト・ショップのスタッフの方々が好んで着用する、柔らかい(しかし、一般的傾向として、むちむちで丸っこく、肩幅が無い日本人が着用するとクールなニュアンスが出にくい、川端康成のような知的さには見えなくもないが)ナチュラルショルダーでは無い、というところが、キモです。

3つくらいの、流行の層 ( レイヤー) に自らのスタイルを置いた時に、その3つのレイヤーのどの流れにも決して沿うことなく超然と拒絶し、しかし、なおかつ、それぞれ同時に3方向からの向かい風に相対するからこそ離陸できる飛行機のように、究極のタイミングでの逆回転によってキレイにドライヴがかかった結果、鮮やかな1ショットとなって、一番上品に目立つ佇まいが出現するようにエドワードでは作っています。と、まあこの長ったらしい表現をたのしんでみたのですが、身も蓋もなく、ごくシンプルに言えば、大人の男の背広をふつうに作ってます、というあっけなさで済んでしまうのでした。





2016/02/01

Sunday night's discovery and learning





日曜日深夜、勝手に珈琲ブレイク・ブログ。

先週は、6年前に僕のフランス語学習のきっかけになるべく家庭教師をお願いしたmai先生から日本を代表するGentleman's Club に連れて行っていただきました。会員の平均年齢72歳。ずっと元気で頑固で苦味走っていていただきたい。若者や女性・子供に媚びない空間なんてすでに貴重すぎて絶滅危惧種ですから。。。

彼女のご友人のS氏ともに印象的でした。知的で気の利いた遊興を通じて交流を確かめる一般的なG.C. とは少し趣き異なり、創始者福沢氏の矜持なのでしょうか、学び寄りの趣意であったとのことが特徴のようでした。

実学寄りのスタートが文学や芸術寄りに進んでおられる模様。その方向性の変化の重要なキーマンであられるS氏、といったところなのかもしれません。まず真っ先にエンジのボウタイをした紳士がふつうにお食事されておられるところが wao! とまず、トキメキました。

さて、6年前になるでしょうか、mai先生とは、知人を通じてご紹介され神楽坂だったこともあり、2011年夏は朝7時から表参道のスタバで、独自の学びに付き合っていただきました。

フランス語を学ぼうかと ( 知人たちに大見得を切ったため、そんなの一撃でマスターするよとかなんとか。。。トほほ ) 思っているんですが、参考書探しても、例文がダサすぎて、地味すぎてだったら未だしも、頭が記憶することを拒否るから、何とかしてほしいんですが、と。

むちゃ振りもいいとこで、今でもはっきり覚えている最初に、僕がリクエストしたのは、

『 できれば、ルキノ・ヴィスコンティの映画 【 山猫 】 に登場するサリーナ公爵(バート・ランカスター)みたいな風体・貫録の英国老紳士が仮にパリに行ったとして、そこで、片言だけど妙に礼儀正しい(しかし慇懃無礼な皮肉っぽさは皆無で)古風なフランス語で、たまに間違え込み込みながら、それもまた確信犯的心配芸として機能しつつある一方で、これまた妙に由緒正しきロマンティックで強烈に際立ちの良い詩的インパクトが薫る、そんなキレッキレの文例集が欲しいです 』 

.....   ここまで教科書をカスタム・リクエストした人間もいない自信があります(笑)でも、じゃないと退屈ですぐ勉強をやめてしまいそうでしたから、、、、

『ああ、なるほど。わかりました。』 

あっさり、mai 先生は特に表情を変えることもなく、応えられました、さすが。普通の先生だったら、このニュアンスわからないかもしれないけど、いや絶対わからないけど、どうやら、この人は余裕でわかっていらっしゃるらしい、そういう驚きと安心感がありました。やった!しめた!と感動したのを覚えております。さて、結局早朝講義&製作を第10回までやり、言いたいことを日本文で伝え、それを彼女が日本語段階から多少修正し、仏訳する。全部で99(掛け算99のように、暗誦用にするため)が出来上がりました。

そのあまりの、ふっ飛ばしぶり・振り切りぶりをここに、一部開陳しようと思いました。そして、自分なりの一層の精進に追い込もうと思います。翌年、これを覚えて行って、ぶっ放してパリでたのしい思いをしました。その場からmai先生に全部言えました、とブラックベリーで写真撮って、報告したことを誇りに思います(笑)

デリシューズ、なんと美しいコトバなんでしょうかね。また、学びを再開させようと思います。文例6.7.8. は18禁ですが、もしロミーシュナイダーとテラスのカフェで隣にいたとしての、強者へのチャレンジ・プランでした。

この、ハイ・ブラウなmai 先生が近々tv のフランス語講座にレギュラーで登場するようです。もちろん、衣装は全身ドレス系からハイファッションまでCopelで装いますから、毎回楽しみであり、学習に身が入ります(いろんなきっかけをモーチベーションにしたいところ)。


第四回 ロミー・シュナイダーのスタイルを賞賛する
(製作:2011年7/7) タイトル
Délicieusement vide
美味に空虚に(美味に空虚なあなた)

1、 Romy Sheneider, c’est une fleur de lotus.
  ロミー・シュナイダー、それは蓮の花。

2、 C’est une tempête sereine.
  晴朗なる嵐。

3、 C’est un tailleur Chanel.
  シャネルスーツ。

4、 Elle porte un tailleur Chanel pour coucher avec la société,
  社会と寝るために、シャネルスーツを着る。

5、 Elle enlève mon âme.
  私の魂を奪う。

ロミー・シュナイダーに向かって

6、 Je vous ai vue dans « César et Rosalie. »
  『夕なぎ』でお姿拝見しました。

7、 Vous me permettez de vous offrir une boisson fraîche ?.
  冷たい飲み物をごちそうさせていただきたいのですが。

8、 Je voudrais vous avoir comme dîner..
  あなたを夕食に欲しい。


もともと、ロミーはオーストリア(ウィーン)人ですが、その少々なまりのあるエキゾチックな香りが一層魅力になったらしいです。単純にフランス語のコトバの響き、口の動かし方、特に女性は神がかって魅力的です。

さすがに最近はそうでもないでしょうが、自撮りプリクラ用の静止画像用のアヒル口気味の表情もまあよいのでしょうが、そろそろ、それからさらに(唇のステキな)動かし方へと進化させてはいかがでしょうか。フランス語発音練習によって女子力も上がるのではないでしょうか。

以下、80年代的デュエット曲より。どちらも魅力的なヴォーカルですが、英語の口の動かし方とフランス語の口の動かし方の違いがよくわかります。やはりフランス語学習は女子力上がりそうな気がするなあ~(笑)