2010/06/15

スタイリングの奥義 『和え算(あえざん)』


ここにクラシックアイテムともいえる、コーレスポンデントシューズ(ビスポーク価格税込78750円@神楽坂エドワードエクリュ)があります。たんなる、1920年代のスタイルに対する、微分思考的な文献学的興味だけでこのアイテムを所有しているのはもったいない話です。このアイテムには、すぐれたスタイリング機能があるからです。

この靴を履くとき、それはたとえばジャケットとトラウザーズのリスキーな配色や冒険的なコーディネーションの際に、『現在、確信犯的にマリアージュ中ですよ~』『二つのあまり見慣れない、今までの常識ではない、コーディネーション、和えものをしていますよ~』という積分サインを出すことができるからです。

個性の強い2つの色があった場合、普通ならなかなかマッチしない、その色どうしを、実験的に和えてみている際中です、 “和え算(あえざん)” しているところです、とつぶやいているわけです。ただ単に、あくの強いコーレスポンデントシューズというスパイスをアクセントに『加えました!』という単純な足し算コーディネートだと、本来の美味しい機能、味わいが発揮されません。

応用ともいえるスタイリングですが、一度試しにぴったり調和した色彩の上着とボトムに合わせる靴として試してみるとわかります。あるいは、その2つだけで予定調和した色彩場合、足元のフィニッシングタッチ、画竜点睛としてコレスポンデント靴を合わせてみると、よくわかります。妙に、取ってつけたような、変な違和感が生まれます。その役割を充分に果たさせてこそ、輝くアイテムといえます。

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