2011/06/27

英仏弾丸旅行記Ⅱ





一気に総集編。しばらく間があいて、はや旅から一ヶ月ちかく経過したので、ざっくりレポート。パリ二日目は、神楽坂に遊びに来たパリの業界人(服飾関係)から、馬関係のスタイルを見に行くなら、ココと、シャンティイー(※日本語だと、こう表記するようです Chantilly)を紹介されました。




僕は予備知識ほとんどないので、印象でしかありませんが、馬を完璧に制御するところにヨーロッパらしい文化を感じました。基本が戦の際の働きにあるので、普段はたくさん愛情をかけたり、野に放って勝手にまかせていたりと、深い世界ですね。騎手の衣装も、挿し色を使っているものの、ヨーロッパの風景や森に映える抑えたシックな色合いでした。


子馬ちゃんの舞台もなかなか見せ所がありました。



立派な馬関係の博物館・資料館があって、納得や驚きがありました。無駄がない、強く実用の要請の元に作られたデザインが、“道具”としての存在感を放ちます。昨今、この“道具論”を考えさせられる場面が多いです。(※使用例 『お祭り騒ぎのように、技術の上澄みばかりを追いかけて、いる昨今の携帯電話は、道具ではなく、道具のレベルまで達しておらず結局は派手なオモチャだったということが、3月11日に通話できなくなって、強く認識できた』)



クラシックな馬関係のスタイルは実用的で、エレガントな特徴が多くみられます。



ロゴもなんとなく、親近感があります。

なんとも優雅な観覧席。 色数を減らして、自然以外の人口物のコントラストは極力抑えた場所は、人を引立たせます。淡い色のストライプの幕、ヴィスコンティの映画、『ベニスに死す』の砂浜のパラソルを思い出します。当日は、シルク・リネン素材のドラッパーズ生地を使った、ジャケット×ヴェストにホワイトフランネルのトラウザーズとコーレスポンデント・シューズというスタイルでした。気分イイでした。


当日競馬はやっていませんでした。ロンシャンのほうで大きなレースがあっていたようです。馬が疾走する数メートルのところで、優雅に食事できます。パリからタクシーで来たのですが、次回は電車で来ようと思いました。最寄駅まで来て、タクシーのほうがいいようです。弾丸ツアーで、お昼のレースに間に合うように来て、賭けつつ食事する、というのをやってみたいです。




今回、馬車のかっこよさをつくづく再認識しました。英国車(現在インド資本とはいえ)ジャグァーも、もともとはコーチビルダー(馬車メーカー)でボディ製造専用のメーカー、この馬車のアウトラインを見ているとジャグアE-タイプにも見えてきます。当時の貴族たちが競い合った美意識は、服飾のみならず馬車のデザインにもあらわれていたはずですね。 インスピレーションをもらいました。


非常にプライヴェートな感じで、若干秘密めいて、美しい乗馬パフォーマンスがありました。クラシックな衣装に見惚れました。ラグジュアリーながらも、動きやすく考えられたデザイン、多くの工夫があります。実用とエレガンスを兼ね備えたココシャネルの美意識も、このようなイメージソースからきているのかもしれません。


これはパリ初日の夜食事をしたRestaurant LASSERRE の近く、フランクリン・ルーズベルト通り界隈です。最初は宿泊先のクリヨン内で食事しようかとしていましたが、結局、パリっぽくて、クラシックで最高のレストランはラセールということで予約してくれました。後々わかったのはホテル内のレストランは、(じゃっかん元気すぎる東洋からの)観光客で満席だったようでした。『静かで気持ちの良い場所を』と最初からリクエストしているので、気を利かせてくれていたようです。

さすがに、写真撮ることは遠慮しました。早めの時間から食事して落ち着いた年配の客層(ご夫婦も多く)、生のピアノ、日が沈んで一時間の美しいマジックアワーで開いた天蓋から見えた空の青色が印象的でした。『あなたが考えるこのお料理に合う最高のワインを!』とリクエストした瞬間、ラセールのホスピタリティがトップ・ギアに入ったらしくスワロウテールコートを着用した4人の正装したギャルソンがどっとこちらにおし掛けて来て鳥肌が立ちました。

なぜ鳥肌が立ったかというと、きちんと正(礼)装したスタッフの存在自体が日本ではなかなかお目にかかれないもんですが、それが4人いっぺんにこちらに来る状況ってところで感動してしまいました。マカロニにフォアグラが詰められていて、トリュフのソースがかかった一皿口当たりもさわやかで、とことん自然な奥行きがあり、後味も鮮やかで、いままで僕が日本で体験したフレンチの印象を大変革するものでした。最高のフレンチをご馳走してくれたM夫妻に感謝いたします。


クリヨンの浴室、↓このブランドの香水は横浜のバーニーズで、一度買ったことがあります。女性っぽいながら、深みのある素敵な香り。



ロンドン、コンノートの入浴タイムは、2時30分からだったので、ヨーロッパ映画に見惚れていました。
パリの街角は、カフェがたくさんあって、さすがに多民族の魅力があちこちに感じられました。街を歩いているムッシューのたたずまいに大いに興味がありましたので、退屈することがありませんでした。散歩するムッシュ、古道具屋のムッシュ、カフェにいるムッシュ、いずれもご自身のスタイルを楽しんでいて、うならせられるような洒落者もつわものも何人か見かけました。




二日目、シャンティイーの帰り Hotel Monceau のレストランで食事しました。こちらのホテルは、モダンに振り切った最先端系で、O氏のおすすめでした。パリのクリエイティヴ業界人が好きな世界観で、東京に通じるものがありました。スイートルームまでツアーしてもらい、刺激的なデザインを観ました。


記憶がかなりあいまいになっていますが、超特急ながら、とてもいい旅でした。時間が無いなりに、濃い時間を過ごしました。さて、お土産にスコットにパリの子供服Bonpointでボーダーのニットとパンツを購入してさっそくの親バカを期待通りに実行しました。今回、パリの街をさっ~とアンテナ立てて歩きながら、めぼしいエリアをチェックしたので、次回はじっくりまわろうと思います。

Mご夫妻からは、スコットにとCharvetでシャツ、パピヨン(シャルベのボウタイ)、そしてBonpointで赤のパンツを贈られました。帰国後、すぐ着せて(親が)大盛り上がりしすぎて、この後、 いろいろ面白がってコーディネートしすぎて、しまいには泣き出したスコでした(笑)昨今、東京にて子供服見ていて確かにシンプルなものはなかなかないんだ、ということを実感しました。あちこちからのお下がりを来ているスコもいろんなおしゃれを楽しんでおります。





2011/06/11

Tiger Mother タイガー・マザー


旅行記の合間にちょっと、一服。最近読んだ本で、かなりインパクトある本だったので、アマゾンで感想書きました。賛否両論、いろいろでしょう。分野が違っても、自分というスタイルづくりにも、大いにインスピレーションをもらえるすばらしい本だと思いました。以前、子育て観をいろいろ考えていたので、なおさらでした。『押し付けか?刷り込みか?』

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勇猛果敢な“振りきり系”の確信犯、一種のダンディズムを感じます。

仮に、世の中全体が“C”という方向に過剰に振り切りれている時、敢えてたったひとりで猛然と“F” という方向に振り切ってみせる。。。。

この“C”は casual,creative、くだけた、気楽な、ぬるい自由 というようなイメージ、ひいては欧米的な、こどもの自主性に任せる教育観。一方、“F”は、formal,form、型、一般的外来語的意味のフォーマル、そしてややクラシックなというイメージ、ひいては型を重んじる教育観、ザックリというと押し付け度の強い教育観。

昨今、“F”はマイナーだから、向かい風が吹いている世界であり、ヘタすれば向かい傷を負います。世の中のある種の『悪平等』の世界(みんな、なんでも、いっしょに進みましょう)に対して、勇猛果敢に挑む姿勢は大いに共感するところがありました。

『型』があるからこそ、到達できるクオリティの高い自由のステージがあるということ、『型』をマスターしているからこそ発揮できる、上質なクリエイティヴィティがあるということ、共感します。

翻訳者の齋藤孝さんの教育観とも大いに共通する部分があるのでしょう。庶民にはしばしば感覚的に『悪平等の感性』があるため、突出した能力を持つ人物たちに対して、その欠点を指摘して、(そのすぐれた才能もろとも)なんとか平均値に引きづりおろして、安心したい、というネガティブで根深い潜在欲望があります。

そういった目線や批判、エネルギーもろとも、一切合財を逆手に取って、向かい風が吹くからこそ浮上できるヒコーキのように、すべてをエネルギーに変えるぞ、という猛烈な意志も感じました。そこには社会に対するインパクト、影響を冷静に俯瞰している視線もあります。大いに共感しました。

表面的には、おそろしくハイブラウで、ある意味猛烈にスノッブな母親像にも読める一方、マイノリティとしてのやむにやまれぬ歴史的・世代的な背景も感じます。自分を相対化して、ヤレヤレ自分、とため息をついている姿もありながらも、そうはいっても、生きている以上、だれもが好む好まざるに関わらず『あの生き方か・この生き方が』を選びとって生きているのだ(だからその結果も責任を持って引き受けるのだ)という実存的な真理も呼び覚まされました。真剣に生きているほど、度々、それを突き付けられるのだと思います。

この本との出会いは、不思議でした。妻、そして昨年12月に生まれた息子がトラ年、そして自分の店が神楽坂の毘沙門天(毘沙門天は狛犬ならぬ狛虎)近く、そしてここ数年、仲良くさせていただいているS氏(初代タイガーマスク)、という『虎』のご縁によって、今週8日水曜日夜、新宿を歩いていたところ、紀伊国屋書店の店頭に並べている途中だった『Tiger Mother』をサクッと手にしてレジに直行、という偶然の出会いでした(笑)

結果的に、多くのインスピレーションと精神への栄養となる、すばらしい本でした。

2011/06/07

英仏弾丸記Ⅱその1


旅行前も、時間がなくてパリについての本も一切読まずでした。結局、羽田発パリ行のJAL国際線機内でCAの方から詳しくレクチャーしていただき、右岸・左岸、そしてパリを6つくらいの地区に分けて、おおざっぱに各地区の特徴を教えていただきました。それが僕が知っている、パリの全ての知識になりました。


さらにスグレモノのパリの地図をいただき感謝しております。この冊子に載っているブランド、そして地図が結構役に立ってくれました。やはり彼女らはみなお洒落感度が高いのでこちらが知りたがっていることの話が早く伝わります。絶版になっている冊子ですがセレクトがピリッとしています。表紙に貼っているスワロフスキーのハートもかわいいです☆

結局、ショッピングがパリでは土曜日だけということがわかり(日曜日は徹底的に店は休み)、ロンドンからの出発を3時間ほど早め、事前に購入していた午前中遅めのユーロスターのチケットを捨て午前中早めの9時22分ロンドン(セント・パンクラス駅)発に乗りました。



シャルルドゴール空港からタクシーでまずはホテルへ移動。パリではコンコルド広場そばのHotel de Crillon に二泊しました。ここは、日本にいるフランス通人脈での大物友人4人からの意見で『クラシックで最高、ならココだよ』と一致した意見でした。みんななぜか僕の好みをよく知っていて“絶対”エドは気に入るよ、という言い方をします(困ったことに、当たっています)

荷物を置き、定番エルメスやシャネルなどのグローバルブランドもまわります。やはり、超メジャーなグローバルブランドは最近では価格やら商品の管理が行き届いているので、日本の品揃えと変わらないかもしれません。その中でもいくつか素敵なアイテム発見でCさん購入。レペット、シャルベもまわりました。シャルベでぼくはボウタイを大人買い。



カンボン通りのシャネル本店の手前、一緒にまわった二人が後ろから、僕が単独で15メートルくらい前を歩いていました。真後ろに人の気配がしてちらっと横のシャネルのショーウィンドウを見たら、僕の背後で2人の男女がピタッとくっついている感じに見えました。

怒りが瞬間沸点に達したのは記憶していますが、もみ合いになり、僕の財布が完全に相手の手に渡っていたので、相手の手首を払って、財布をはたき落としました。地面に落ちた財布を僕が拾い上げたところ、二人(30代くらいの普通の雰囲気の男女)のスリが、目を見開いた恐怖の表情から、くるっと一転して(プロの演技でしょう)いかがされました?という表情を作ったまま、逃げ去りました。

『いい経験をしたから、30ユーロくらいチップで渡せばよかった 』などという余裕はありませんでしたが、ありがたいことをに被害は無しでした。イイ経験ができました。後ろで見ていてM氏ご夫妻もいきなり大暴れが始まって、びっくりしましたよ、と驚いていた模様でした。