2009/01/13

ディギュスタシオン

試飲の習慣と同じように、スーツも一着目に関しては、しばらく着用した後の状態を丁寧に見ることが大事ですね。着た後の皺(しわ)の感じとか、着心地、素材との相性など。

本当は、着なれないアイテムもどうぞ、とワインやシャンパンみたいに気軽に数日試せる仕組みがあればいいですね、なにか考えときます。

さて、昨年末自宅の2部屋分のカーテンを新調しました。ちょっとした贅沢でしたが、眩しい日差しが理想的なやわらかい光になって、室内がイイ雰囲気になりました。買うときは、どんな感じかわからないので、ちょっと賭けですが。(スーツのお客様もけっきょく、生地選びはそんな感じなんでしょうね)

リビング(お茶飲み、仕事してます)のカウチ横は淡い光沢のあるピンクで、和室(ここで採寸・納品やります)は、同じ淡い光沢あるブルーにしました。そもそも生地は、何の用途のものであろうと、見飽きる・触り飽きることがないです。

下は、自宅に置いてあるシャツ生地など。ほとんど自分用に買っているものですが、シャツ生地に関しては、ベイシックなもの以外は、最近感動できるようなものと出会わないので、来月のロンドン・セヴィルロー詣で(2月7日→2月15日)にて、買って来ます。

お得意様にも、ささやかなサプライズながらレアな生地を買ってきます。感謝の気持に加えて、その人の魅力を(本人は少々、躊躇したりしがちなものを、、、)ポンっとひっぱり出したい、という勝手な欲望の昇華にもなります(笑)。職業病で、自分用の買い物時も、はっと気づくといつも妄想族でお客様を勝手にコーディネートしています。

たとえば、ご本人は絶対に選ばないようなアイテムなんかもありますが、それはある意味、何かのタッチストーン(試金石のようなもの)でもあり、不思議なめぐりあわせだったり、運命だったりするかもしれません。そんなアイテムは、プレゼントされることで、想定外の気づきがあると思います。

そして何よりも、時には、自分で買ったものではなく、誰かから、純粋に感謝の気持ちから誂えられて・贈られたものを着てみたりもする。これは、金額のいかんにかかわらず、最高レベルの贅沢だと思います。

誰でもがお金さえあれば手に入れられるスーパー・ブランドや老舗のアイテムよりも、それは数倍贅沢なモノであり、ストーリーといえるかもしれません。そんなノリと閃きでスコーンそしてパッと作ったアイテムには【 EDWARD supreme 】というちょっと特殊なロゴを今後入れときます。


2009/01/06

スポルベリーノには、ヒート・テック

この~2009冬のコートは、僕自身、軽く・柔らかいスポルベリーノ(※注1)的着こなしをしています。

2008年末タケシ氏に、今期秋冬のエルメスのチェスターコートをちょっと意識して、英国製カシミア生地、アズーロ・ブルー、ボタンは妥協無く一日探しまくった革釦、でお仕立てしたのがスポルベリーノ仕様のキッカケでした。製作現場でのK氏のアドヴァイスのお陰でもあります。

タイト気味の同じ生地のベストを付けたので、プライベートな特別感が一層あります。共生地の(コートやべストと同じ生地)包みボタンをつけてオーダーじゃないと、なかなかできない仕様にしています。

オーダーでないと難しい、といえば、レディスのパンツも、オーダーでないと難しい、バランス良くできるだけ細く~できるだけ縦に長く~な縦長のペンシル・シルエットもオーダーならではだと思います。フレアーや太めは最大公約数的で、大量生産的には都合の良いデザインという部分があります。

話戻って、スポルベリーノは、薄手なので、インナーには、街で人気のヒートテックが便利です。昔は、冬場に細身のシルエットを獲得するためには、ダマールの肌着、という必殺技があり、自身、自由が丘のショップにて購入していました。それをある意味凌ぐ、ヒートテック。去年、デニム、スニーカー、Tシャツ好きのプロデューサーS氏に教えていただき、翌日買いに行きました。(2000万枚売上げですか?凄いですね)

今年2009年から商品ラインアップとして、取り扱いを開始するために、まず自分用でオーダーしていた靴も3足届きました。僕はここ数年足のほうをグレンソンの靴に合わせていたため、完全に足が纏足みたいに変形しています。

なのでパターン・オーダーとはいえ、充分に満足度は上がりました。サイズは26、たいがいの既製規格で一番小さいDワイズよりもさらに小さい外人足なので特に満足度を感じています。

僕のまわりの顧客仲間で、皆が一様に、1.流行を追いかけ過ぎないで、クラシックな雰囲気がありながら 2.すっきり細見でスマートで 3.サイズがぴったり合って 4.革のクオリティも満足いくもので、5.値ごろ感もあるもの(←1.2.3.4.がバッチリ揃っていると5が激高いこと99%)が全然売っていない、という不満が大爆発していたので、これで解決できそうです。

カーフのストレートチップはまだ外履きしていませんが、スウェードのジョッパー・ブーツは、初詣で江戸川沿いを3キロ以上歩いたのですが(本当はアスファルト遊歩道横の小さなスペースながら、芝生の大地を歩くことがミソです)全然快適でした。

ついでに、きれいな酸素豊富でウォーキング派としては抜群な気持ちよさでした。腰から下げたバックはマルベリーのもの。これも冒頭のK氏経由でマルベリーのバッグを2点入手でき、ちょうどDellのノートPCが収まり、たいへん感謝しております。彼は、今年2月放送予定のNHKドラマ・シリーズで白洲次郎が着用しているスーツを作っておられます。放送が楽しみです。

次は、本当に自分がグッと来る美しいバーガンディの革を使い、スペクテイター・シューズ(一番上の写真)と同じラストで作ろうと思っています。2月のロンドン行きにも間に合わせて履きたいです。

途中、帝釈天近くにて、ヤマ盛り、“ヤバ盛り”とあったので、そのおっちゃんの、きっぷの良さに魅かれて買いました、500円。これぞトランス盛りであり祭盛りですね。僕も2009年は全てオマカセ・“祭”ラインをつくります。ゼニアのクインディチでスポルベリーノとかいいですね。

日本橋丸善のカフェは静かでいいですね。ここの柚子ソフトは美味いです。柚子とソフトクリームの相性が合っていなくて、反発しあっているところが、イノセントラブなテイストで美味いです。ジェレミー・ハケット卿のコーディネートよろしく、淡いパープル、淡いグレイ、淡いの水色で大柄ギンガム・チェックのシャツ(トラッド人に怒られること必至なタイトさで)を昨年末、自分用につくりました。フツーのネイビージャケットにもよく合わせます。

※注1
『スポルベリーノ』は、軽い仕立てで細身、そして膝上丈のチェスター風コート。セーターやシャツの上に直接コートを羽織る着こなし。スポーツから転じて軽快さを表す「スポルト」と素晴らしさを意味する「ベリーノ」――その2つのイタリア語が掛け合わされたネーミングのコートです。(メンズクラブ No.563 2007年12月号より都合よく抜粋)

2009/01/04

明けましておめでとうございます!!


Welcome激動の2009年!!
よく食べ、よく眠り、よく笑い、
たくさん働き、皆様と豊かな時間を過ごす。
YES WE CAN!!

(※↑年賀状と同じ)

昨年末、今年用にあえて小さいスケジュール帳を買って(銀座伊東屋にて、Brelioのコードバン、バイブルサイズより一つ小さめサイズ)、今年はゆったりマイ・ペースで行こうと思っております。

今年のキーワードは『Z層』です。

年初早々この、わけのわからない“Z層”という言葉ですが、これはもちろん、X、Y、ZのZで、僕が便宜上に作った造語です。ダグラス・クープランド著の本『ジェネレーションX』へのオマージュもありますが、表層的なマーケティングに騙されない最終属性で、消費に対する考え方が進化し・成熟した層のイメージです。
具体的に、Z層の贅沢(Zeitaku)のイメージは、ただお金をじゃぶじゃぶ使うという行為ではありません。むしろごくまっとうで基本的・本質的なサービスを求めておられる方々のことで、平たく表現するならば、シンプルに、自分自身を丁寧に・大切に・大事にするための・されるための配慮、という意味合いでの贅沢を求めておられる方々のことです。

もちろん、Z層の彼ら(彼女ら)は『専門家による高度なサービス』を求めておられますが、その一方で一対一の信頼があって成り立つ関係性や物語性を楽しんでおられます。

逆を表現するとわかりやすいので敢えて言うと、例えば必要もない複雑な(最新?)機能を搭載され、買い換えるたびに初心者状態よろしく分厚いマニュアルを読み直さなければならず、デザインも選択する種類・自由が少なく妥協して買わされる携帯電話の新商品ラインアップ。

実際のところ、ちょっとしたキー・ボタンの位置関係の修正や、押した感触の好み、微かな質感の改善など、各個人のリクエストは全てピンポイントでしかないのに、時限爆弾のようにどこかが壊れ、(最新機能のせいでメモリーを異常に食っていたり)一方的にモデルチェンジしながら派手な使い捨てサイクルにつき合わされるという携帯市場のスタイルなどは、まさにZ層がイメージする贅沢(Zeitaku)とはまさに真逆のサービスです。

この世はいま不況だとか、厳しいといわれますね。そう言えばそうなりますよね?そして、マスコミが言うような市場原理の中では、“競わなければいけない”とか、“より一層他に対して競争力をつけねばならない”というような、椅子取りゲームのような考え方に陥りがちです。

しかしながら、このような世の中だからこそ、信頼と感謝の念を積み上げていくような関係(それがサービスの場面でも)もしっかり存在する、ということを確認しつつ、創造できたら素晴らしいですね。

どの経済書にも、現在の日本経済は混乱・混沌状態にあります、、、と書いてあるけど、そもそも、静かに暮らしていた日本にあって、慌ただしい市場原理やマネー経済こそが混乱・混沌状態であった、といえるよね、とは友人タケシ氏の名言でした。

最近出会った言葉で印象的なもの、、、

東山水上行
(とうざんすいじょうこう)動かないはずの山が動く、、、固定概念にとらわれて、いつまでも対立的、相対的なものの見方にとどまっていては未だ見えざる世界への進化はない、絶えず動いている水の上を、不動とされるものが動いていく、、、水の上を東山が動いていく情景、それをそのまま無心となって受け止めることができるだろうか?無心に淡淡と受け止められる心が大切で、それ以上のことを考えた瞬間にもう、真実からは遠く離れてしまっている、、、(有馬頼底著:茶席の禅語ハンドブックより、記憶とバイアスをかけながらのエド抜粋あしからず)

画像上 Y氏のスーツ+シャツ、そして丸ビルのビームスにお連れしてセレクトしたタイ。(バタクハウスカットでもシックなペイズリー柄購入)

画像中 先日購入したセイコー50’sの3針時計。縁が薄く、やわらかくシンプルな印象。自分用とプレゼント用に2本購入。

画像下 甍と松と青空。地元にて初詣に。