2010/05/30

ピクニック・スタイル vol.2“Footing(フッティング)”

コードレーンは、野外において、優しい日差しを受けた緑に映えます。せっかく仕立てたのだから、仕立てる前にロマンシング(※1)した内容を、完璧に遂行したほうが愉しいです。このコードレーン生地を見た瞬間から僕には↑このピクニック・シーンが浮かんでいましたので、それを昨日ディテールまでこだわって実行しました。実際は、グラスゴーでこの籐のバスケット見つけた瞬間から、始まっているんですけどね。

Footing(フッティング ※2)とは19世紀末の仏製英語で、もともとは1913年の仏雑誌『フェミナ』誌春号に登場した言葉とのこと。気軽なアウト・ドアで、器材やたべものの準備などよりも、めかしこむ時間だけが必要だったのかもしれません。ブーローニュの森の朝と午後の決められた時間に、つまり場所と時間にこだわって、時代に先駆けたスタイリッシュなスタイルで歩く、という一種の、先人たちが行ったダンディな振る舞いです。

2010年のわれわれは、ほどほどに気軽にゆるく、せいぜいワクワクしながら準備したお気に入りのサンドイッチを持って、お気に入りの飲み物持って、気持ちのいい時間、気持ちのいい場所で、ぼんやり森や自然を愉しむ、という感じじゃないかと思います。パンとチーズ、生ハムそれとシャンパン、そんなミニマルな道具立てだけでも、そうとうに深く愉しめる世界です。人数予約もいらないし、子供が騒いでも、騒がしさも、深い森のふところが吸収してくれるでしょう。

Thé pique-nique、お茶にかこつけたピクニックだったらもっと手軽です。できるだけ、道具が少なく、すばらしい天気の日に、さくっと一人で出かけて、美味しい空気を吸って、ぼんやり読書したりするのも、これまた最高ですね。東京とはいえ、早朝の時間などちょっとハズしたに出かけると、人気でごったがえしているスポットでさえ、たいへんなヴァリュー・プレイスに変わります。

※注1 この生地でこの仕様で服を仕立てて何をするかを、ワクワクしながらあれこれ考えること。。。.ロマンシングという言葉はケン・アオキから教えてもらい ました。

※注2 最近神楽坂で早朝友達になった、第一次世界大戦前のモードとプルーストの研究者であるYさんの論文から知りました。エドワードエクリュにフランス的エッセンスをくださるアドヴァイザーです。

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