2011/03/01

尾州産



尾州(びしゅう)とは、現在の東海道の西部、愛知県西部の一帯を指します。水に恵まれた肥沃な大地には、現在でも、世界に誇れる日本産の毛織物の老舗があります。このあたりの “ 土地の気 ” には、織田信長や豊臣秀吉を輩出した地のエネルギーを感じます。

水と大地。地の利を生かして鉄道敷設により一気にパワーアップした経緯は、英国毛織物の発展の歴史と共通します。7~8年ほど前、クライアントのトラウザーズを作る際、見つけたヴィンテージ調の(というか、完全にヴィンテージだと思われた)の新作を使用したのがここの生地との出会いでした。

今でもはっきり覚えているそのファブリックは、それほど重くないチャコール・グレイのフランネル地で、淡いコーラル・ピンクのようなストライプ(ピッチが12ミリくらい)に加え、その横に2ミリくらいのところに沿うようにドットがある柄でした。近年、ジル・サンダーやヴィトンでもこの老舗のファブリックが採用されたのも、その独特で、贅沢な素材感ゆえでしょう。

今季2011年春夏、今まで定番的に使わせていただいていた、ロロ・ピアーナ、ゼニアともに、正直言って、もどかしいくらいに、ピンとくるものが無かったために、半ばブチギレ気味に生地バンチ自体を全部返却してしまったので、今回のツアーになったという事情があります。

無限に近い過去の在庫含め全てを見て、季節関係なく生地を買付け、ホーム・スパン(スポーテックス調)、ミドルウェイトのウーステッドなど、決して外さず、あくまでも優れてベイシックで、上質なものを買い付けました。目利きを発動するのは一瞬で、視野に入るピンとくるファブリック(僕にとって圧倒的に優秀だ、と感じるもの)は無意識にピックアップできます。

小岩発05:07 → 名古屋07:29 → 尾張一宮07:58 → 玉ノ井(現地)08:09 到着という、いつもながらの弾丸だったので、11:30にはほぼ業務は終わり、午後は新大阪のクライアントに納品に伺い、自宅到着が午後10時でした。下は、伝説の低織機、ションヘル織機。旬の時代を、蒸気機関車のように男らしく動き続けます。力強い存在感は、われわれにとって深いメッセージですね。


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