2016/06/17

Cufflinks  淡い色、端正な佇まいのカフリンクス





エドワードエクリュでは基本的に、1アイテムにつき、1オリジナルデザイン&製作しています。もちろん予算の関係もあるのですが理想の終着駅はコレですと言い切りたいからです。たった、一個のアイテムで言い切ると、表現したりないことがたくさん出てきてもどかしい部分、満たされない部分も出てくるのですが、打ち出したいコンセプトがシンプルにひとつ発信できた、という点に気持ちを集中させると大いに満足します。購入されるほうからしたら、意図がわかりやすい、明解だ、というメリットがあります。ああ、なるほど、エドワードエクリュはそんな美意識なのね、というわけです。

まず、ガワ(縁・フチ)が薄いこと。トップの周りのフチの薄さは技術力の証明です。たとえば、繊細に作られた銅版印刷の名刺だと、名刺のフチの線が細ければ細いほど版ズレが目立つので、よっぽど精度に自信がないとできません。薄いフチは1920年代前後の、東洋からの影響もある繊細な線の意匠の時代であるアール・デコ的な美意識もあります。技術力を目立たなくさせることに使います。時計などでも、ガワが厚いG-shockから、クラシックな1920~1950のロンジンやブレゲなどの繊細なガワまで、好きなものは人それぞれですが。。。ここでいうと、ガワとは表に見える純銀の部分です。

トップの部分が、手仕事の宝石である七宝焼(エマイユ)で、そして淡く色づけされている理由は、白・淡い青・淡いラベンダーが基本の必要シャツ・バラエティにおいて、シャツとのコントラストをできるだけ、小さくしたいからです。コントラストを無くす方向に行きたいからです。アクセントをできるだけ減らしたいわけです。アクセントはいらない(だれかのシャツのボタンのように、だれでもできるし、つくりがちだし、安くアクセントづくりができる簡単なものだから)、ニュアンスがあればいい、という感じです。トップに刻まれる畝(うね:ヘアーライン)によって、反射の屈折率の集合体によって、さらにやわらかい光沢が出現。そして、身体サイズの大きい欧米人用のカフリンクスよりもサイズ的に80%に小さくしてあります。ことごとく、高い技術力を、アクセントをつけないようにする努力、目立たなくさせる努力、引き算をするためにつかっています。




ただし、採用している大枠、クラシックの大切なフレームは変えません。つまり、ここでは、文字通りカフ・リンクス、袖のリンク、つながっている2つのトップ、チェーンで2つのトップが連結されている、一番オーセンテックな仕様です。余計なアクセントは一切つけていません。ただ、シルバー925ではなく純銀99.99%である証明、としての表記Silverとだけ、書かれています。純銀は独自のトロっとした “ やわらかさ ” があります。  傷もつきやすいです。ですので、そのオーナーの傷をつけることに価値があるので、最初は完全にクドいくらいの梱包がされています。ご自分の傷をつけてください、というわけです。

色は、1.淡いシャンパン・ゴールド 2.淡いピンク 3.淡いブルー 4.淡いライム・グリーン のストックがあります。各税込み75,600円です。(お問い合わせからも購入できます)俗っぽい説明を許していただければ、1ペアに2つのトップがついていますので、合計4つのトップ、つまり通常のカフリンクスよりも2倍の材料と手間がかかっているわけですね。そう考えると、大切に落としたりしないように(トップはガラスですからね)使うと、孫の代までもちますので、いい買い物ではなかろうかと存じます。7月中には僕のヤフー・オークションのアカウントで購入できるようにする予定です。

さて、スーツ文化について、現代のスーツへと続く起源というテーマで追求していると1901年にヴィクトリア女王が崩御して、エドワード7世が厳しい母親から開放された瞬間を起源と捉えるのが自然のように感じています。そうなると、スーツ生誕115年、ということになります。崩御という形で、ようやく権限が委譲されてきて大いなるエドワーディアン期がはじまります。それが現代に続くスーツ文化の(非常に愉しい時代の空気からの)始まりのように思えます。カフリンクスの装いも楽しんだことでしょう。もちろん19世紀のボー・ブランメルの苦味走った精神・引き算の美意識がしっかりと刻まれつつも、アメリカのタバコ商人によってタキシード・スタイル誕生でゆるく外野から権威付けられ、ついには若干問題児とおもわれていたエドワード7世の世界観が大人気を博す中で、堂々と大手を振って上着の尻尾をチョッキン切って、美味しい時代の幕開けを迎えたのではないでしょうか。。。


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