2008/04/25
Suiting is shooting.
クラシックな黒檀の机の上に飾られた、さくっと刺したシンプルな花一輪
アンドレ・ケルテス写真の質感。
4月入って2週目くらいから一気に忙しくなって、でも忙しくなったんだけど
やっていることが日々同じようなことなので毎朝目覚めるたびにデジャヴュの
ような気分で過ごしている。
ひとつの世界観に向けてレーザー・ビームのように細く長く絶えることなく前進し続けると、ひっそりと棲息していた世界中のキーワードがいろんな方角から想像もしなかったボリュームを持って引き寄せられてやってくる。
思考を操作したり、方法論を考えたりすることを人間の脳みそのサブ・エンジンだとしたら一見してばらばら見える(すばらしい)素材を無意識で集めてくることがメイン・エンジンの第一作業だと思う。
そして、それら集めた素材たちが、“ はしり ” なのか ⇒ “ 旬 ” なのか⇒ “ なごり ” なのか。(※この3つのコトバ自体最近教わった)それをよく知っておいて 『和える』。
とはいっても、最近では和え終わる時間が来る前に次のキーワードが来てしまうので、一気にここは、最近のキーワードの並べてみて棚卸してみよう。
ベイシックなライン
適度なゆとり、適度なドレープ
佇まいは堂々と
シルエットはすっきりと
悠然とした世界観
超然とした佇まい
英国 Martin Son's & Co.
FRESCO SUITING 3PLY VINTAGE
『3プライのフレスコ』
Reid & Taylor Scotland
120's 4プライ 280g
第3の男
ヘッドライトに照らされたハリーの表情
虚無感、自嘲、韜晦、でも親しみと人懐っこさ
モヘア
グレアム・グリーン
涼しさ
ゼニアの『ヘリテイジ』ライン
風
人
英国 William Halstead
太陽の生地 『ソラーロ』
はなし
感じ
月
手ざわり
肌ざわり
香り
Schofield &Smith HUDDERSFIELD
Silk50%,Kid Mohair50% 280g/m
ブランデー
舌ざわり
お茶を飲む時間
点と点をつないで線に。線と線をつないで面に。面と面とつないで立体に。立体に時間を加えて動画に。動画と動画に魂を吹き込んで生命の輝きを。
しかしながら、出来上がったものはサクッっと活けた花一輪の美しさでありますように!
2008/04/10
O meets H ,4月4日(金)
K氏と銀座バーニーズ、丸の内ソブリンハウスへ。1916年創業のシカゴの老舗ブランド、『オックスフォードクローズ』の代表マイク社長ご本人がおられたので、機を見つつ敏にご挨拶、そしてちょっとお話することができた。
伝説的なブランドであり、謎めいた存在である一方で、大いなるど迫力のクラフツマンシップを感じさせるブランド。バーニーズのスタッフの方も言っておられたが、リバース・チェーン・ステッチという特殊な縫製で仕上げるアームホール、これは十分な可動域を持つとのことだ。
お誘いいただき、一緒に見に行ったK氏がまるで満を持していたかのように当日着用していたのが、フルハンドメイドの隠れ家テーラー銀座羊屋のスーツ。氏も確信犯的に何かの化学変化を演出しようとされたのかもしれない。
その日は昼ごろから夕方までK氏と行動をともにしたので、彼の動きの中で、じっくりスーツを観察していた。普段はふんわりと優しく着こなしているものの、この日は“男っぽい”印象のスーツ。やや硬質の雰囲気ながらどっしり重厚な印象。右アームホールの後ろ部分が、左手後方からも、フンワリとした膨らみとして見えるほどゆとりを持たせている。
これも何かの流れだろうと、マイク氏と話している時に『このユトリ感をどう思いますか?』と質問したところ、『全体ブリティッシュ!腕が動かしやすいでしょうし、いいですよね!』とのこと。やりとりは5分くらいでしたがその中で、タイト傾向にある最近の最近の流行に対してちょっと微妙に感じておられるのか、こちらの好みを洞察されたのか、やはり現在のスタイルよりは徐々にゆとりを持たせていかないとですね、、、、と言われた。
さらに、僕の先輩格であるケン・アオキ氏を御存知ですかと訊いたら、ああ彼とはたしか数日前NYで会いましたよ。と応えられ、先輩氏のインターナショナルな活躍ぶりをうらやましく思いました。当日、ランチはCOVAという丸の内、ペニンシュラホテル前の穴場快適レストランにて。壁にかかっているのはベルディ。
流れている音楽と、飾られている花が惜しいとK氏。音楽と花はやはりその空間におけるフィニッシング・タッチ、画竜点睛、非常に大切なんですね。当日は、K氏から借りてブートニエール用の薔薇のフラワー※1をつけた。この日はこれから新宿で立ち飲みパーティ。そして、お礼メールしようと思ったら、ポケットに入れといたはずのマイク氏の名刺は失くなっていた。いまはそのタイミングではない、ということだろう。
画像は当日の僕のラペルまわり。自宅の庭園でオールドローズを育てておられる女性が作ったもの。経年変化で色が変化し、味が出てくるアクセサリーです。
2008/04/03
EDWARD Suit 5 Tuxedo “as a pleasure”
夜文章を書くと、なんだかやけに攻撃的に熱くなっています。前回の日記を朝読み返して焦りますね。
細かいところや、です、ます統一やらソフトな言い回し加工しないといかんな~こりゃ、と思いながらも、朝から外活動だったので一日中PC前に座れずそのまま。しかし、せっかくだから直さず記念に残しときましょう。
“夜書いて 朝読み返し 朝アップ”
この小学生的な一句を念頭において。
さて、前回の続き、実際のところ、購入額は以下のようになります。
タキシード(オーダーメイド) 125,000円
黒、ウール80%、モヘア16% (イタリア)トロピカルクロス※Tropical cloths:ウーステッド糸で織られた薄手の織物。軽くて平滑で取り扱いも容易。夏用服用)仕様:ジャケットは衿に拝絹、トラウザーズのアウトシームに側章1本。一つボタン、ピークド・ラペル。
ウィングカラーのプリーツ6つスタッドボタン仕様(既製服)白 綿100% 15,000円
ブレス(サスペンダー) 白 5,000円
蝶ネクタイ コットンピケ素材 白 4,000円
カマーバンド(シルク) 白 ※1 10,000円
カフリンクス・スタッズ 白蝶貝 10,000円
合計 a 44,000円
ポケットチーフ ※2 3,000円
花 ※3 3,000円
靴(黒エナメル・ストレートチップ) 30,000円(エドワードでのオーダーの場合は税込み¥52500)
靴下(ホーズ、ダークボルドー) 3,000円
合計 b 39,000円
合計(タキシード+a+b) 208,000円
消費税 10,400円
総合計 218,400円
※1 コットン・ピケ製にする予定。
※2 職人にチーフ手縫いでお願いしました。
※3 ブートニエール(眠り釦仕様でフラワーホルダーを使用する)加工、装着ではなく、そのまま針金を骨組みにして小さい蘭の花を使用。次回はブートニエール仕様を予定。
税込み総合計の218,400円という価格とクオリティ・満足度と、貸衣装価格とクオリティ・満足度を比較すればいいです。貸衣装は一回ごとの価格。3回着用すれば3倍の掛け算価格。
マイ・タキシードは(フツーに大事に扱えば)一生着用できます。まあ毎回シャンパンぶっ掛け合いみたいな華麗なるギャッツビー主催のパーティーに出席するならば話は別です。
その時は、ショールカラー、モーニングコート、テールコート、ディレクターズ、ブラックスーツ仕様と全部揃えればよいでしょうが、普通の2008年を生きる日本男性としてはタキシード1着で充分なのではないでしょうか。
最上級の正礼装に関してついでに言うと、日本人の場合、洋装を扱う僕が言うのもなんですが、やはり和装『黒紋付袴』です。日本紳士の矜持にコスプレは必要ありません。
われわれ日本人の場合、タキシードは突き詰めると結局は“楽しみ”であって本気フォーマルではありません。その微妙なニュアンスの理解が、ある種の謙虚さ、自由さ、ゆったりした振舞いに向かわせ、結果的に洋装フォーマルの理想的なメンタリティに至るのではないでしょうか。
その結果、タキシードの理想的な佇まいが完成するのではないかと思います。
2008/04/02
EDWARD Suit 4 Tuxedo with Swallow-Tail coat tone
先日、タキシード(Tuxedo)をアクセサリー一式含めて自分用に揃えました。まずは、すべてがベイシックで必要十分なクオリティであること。そして第一印象がキチンとして、ゆったりと落ち着きを感じる組み合わせ。クラシックを基調としたもの、という方針です。そしてもちろん『良いものを安く』です。
基本は夜のフォーマル(正礼装)であるタキシードのスタイルです。これに同じく夜のフォーマルであるスワローテイル・コート(Swallow-Tail coat:燕尾服)の着こなしの要素をフィックスさせました。確信犯的なルール破りですが、堂々としていましょう。文句のある奴はいつでも物申しやがれ、という気位でいましょう。
(カッコ)内は一般的なものです。
1.ボウタイの色と素材 (タキシードは黒) ⇒ (スワローテイルは白コットン・ピケ素材)
2.スタッズボタンとカフリンクスの色と素材(タキシードは黒蝶貝、黒オニキス) ⇒ (スワローテイルは白蝶貝)
3.カマバンドの色と素材(タキシードは黒のカマバンド) ⇒ (スワローテイルは白のコットンピケ素材のウエスト・コート)
理由:
タキシードの伝統的ルールを完璧になぞると、なにしろブラック・タイ着用の機会が少ない日本という環境では、スタッフに間違えられる可能性が大きい、スタッフを間違えられて、ホテル内で道を尋ねられたりする。
見た目の印象では、シャツのスタンドカラーが白・蝶タイが黒、シャツのボディが白・スタッズボタンが黒、シャツのカフ部分が白・カフリンクスが黒、シャツのボディ部分が白・カマバンドが黒、、、というコントラストが繰り返し続くのがタキシードの普通の着こなしだ。
不遜を承知で言うと、このコントラストは退屈でクドく感じられる。その理由は、小柄で、体の表面積が小さい人間(日本人)の場合、アクセント密度が高すぎてクドく見えるのだ。
それならいっそのこと全部黒という(挑戦的な)着こなしも面白いだろうし、エレガントに感じる。シャツが黒、蝶タイが黒、シャツのボディ(本体)が黒、スタッズボタンが黒、シャツのカフ部分が黒、カフリンクスが黒、シャツのボディ部分が黒、カマバンドが黒、、、というスタイル。
黒は黒でも、それぞれ、シルク、麻、コットンピケ、黒蝶貝、オニキス、、素材を変えていける。しかしこれはパーティ向きで、新郎向きではないかもしれない。
たとえば、婚礼業界などは、一世一代のイベントという浮かれた気分、舞い上がったところに、少ない選択肢の中からクオリティに疑問を持ったまま、高額な商品やサービスを売る、というウェディング業者もいます。
プロである僕自身が実際に各アイテムを早い段階からコツコツ用意していました。厳選して、仕立て、着用して、確認して出した結論です。次回は各アイテムの購入金額をメモ代わりに書きます。
画像は、ある映画のワン・シーン、せりふ、ちょっと言いすぎだけど。
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