2008/06/30

街角と佇まいの美しさ



やはり販売販売だと、アウトプット中心となり、さすがにイメージやご提案する際の形容詞が枯渇してよくない。上の写真はブートニエール用のラペル付近の加工指示(Boutonniere)紳士と花のイメジネーション育成中。

先週金曜日は、築地から銀座まで歩きながら個人的にもここ数年ウェブでチェックし続けている海外有名サイトの“sartorialist”よろしく、街角シューティングしようと心に期して歩いた。

見知らぬ人に撮影させてください、というわけだから結構エネルギーが要る。とはいっても、絶えずすばらしい物、素敵なもの、美しいものアンテナを張っておくことは無意識的に行っている。しかしながら僕の目が節穴だからだろうが、撮影したい、という、佇まいの紳士は一人もいなかった。

街角におられたのは、おおまかに2つに分かれる。全然構っていない方(バンカラ気質もひとつのスタイルでいい)か、髪型、スーツ、シャツカバンから靴まですべてのアイテムが今の流行を採り入れてている方(相当な投資額だ)のどちらも極端な方々だ。

とにかく自然にみえるかどうか、ほど良い加減、そして“イマドキ的”価値観から見てダサかろうが、流行であろうが無かろうがそのひとらしい雰囲気であれば関係ない。流行の要素が強すぎない、という方がなかなかおられない。

その方らしくて味のある佇まいなら、hiphop人だろうが、80年代バブル的ソフトスーツだろうが、ケミカル・ウォッシュジーニストだろうが、喜んで撮影しようと思っていたのだが。雑誌の街角スナップで優秀賞を獲得されるような方は沢山おられた。

撮影欲は、純粋な直観で、20代~70代くらいの幅広さで、佇まいがぐっと来るかどうか、、お願いしてでも撮影したい、という方が当日はおられなかった。

『鏡の法則』や『引き寄せの法則』的に考えると、僕自身が魅力的なスタイルではなかったから、ぐっとくる佇まいと出会えなかったのだ、という風に考えるべきだろう。

アウトプット的には、土曜日に納品した、女性用のスーツJohn Fosterの(90%スーパー100's、10%モヘア)黒に近いグレイ、2つボタン、ピークド・ラペル、パンツは床上3.5cmのクラシックなシルエット。流行に関係ないシルエットだから大事に着用したら30年くらいは着られる。

キーワードは(クラシック&上品&ボディコンシャス)にお仕立てた。単純な採寸地だけではなくて、Vゾーンの開き、角度、ラペルの巾、パンツとの一筆描きのラインに気をつけたので自然に美しいラインだ。



写真は先日のアリストン。これも夏らしいイマジネーションが広がる生地。

日曜日、僕もしばしば寄るセレクトショップ、ナノ・ユニバース勤務のY君、洋服好き、研究熱心が高じて近々ハンドメイドスーツの修行を開始予定。その前にスーツ研究も兼ねて発注してきた。スコフィールド&スミス(SCHOFIELD&SMITH HUDDERSFIELD)のSilk50% Kid Mohair50%のクラシック&ボディコンシャスなジャケット。

お洒落な人間なら見過ごせない生地。緩い集中力では同じに見える異なった生地3種。日本人はDNA的には世界標準とくらべてもボキャブラリー的にも“黒の目利”きだが、この3種類はかなり高度な質感のグラデーションだ。光沢、底艶の光の反射からかろうじて違いがわかる。体調悪い時はわかんないかもしれない。




、、、、、、自然で、流行ど真ん中ではなくて、でもほど良く流行も意識して、クラシックなニュアンスでボディコンシャスでまるで一筆描きのようにシルエットが美しいもの、、、、、、


“サルトリアリスト”サイトのWednesday, June 18, 2008“On the Street....Color Wow, Florence”の写真はオラチオ・ルチアーノ氏、僕はイタリア語は全然わからないが、なんでも氏のブランド名
“LA VERA SARTORIA NAPOLETANA(通称ヴェラ)”
の意味は“ナポリ一美しい仕立て屋”という意味らしい。
己の矜持をカンツォーネのごとく高らかに謳い上げる。

こういう、自然さと迫力と並々ならぬディグニティを持つ紳士達が普通にゴロゴロ歩いているイタリアの街角なら、おそらく街の入口で入場料請求されても支払います。

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