今月初頭に納品した、ゼニア生地の中でもそのまた最高峰の生地、クインディチ・ミルミル・クインディチ(15milmil15,Zegna)のブラック・スーツ。
シルエットは凛々しく、印象はやわらかく、仕立てもやわらかく、丸みを持たせて。肩はマニカ・カミーチャ(※1)仕立て、バルカポケット。作りをできるだけ軽く。静謐な夜のニュアンスで。
特に黒は、
『濃さ(黒の深さ)』、
『底艶(そこつや)』、
『ひたひたと、冴えわたり』
冴えは、圧倒的な抜けの良さにつながり、見ていて嫌みがない、気持ち良い、爽やか、涼しげ、すがすがしい印象を与えます。
そして、裏地は一転してダンスフォード黄金色のダイナミックな裏地。まさに、冴えわたる漆黒と、強烈なゴールドのコントラスト。この黄金色はおススメです。内側に向かって輝く黄金が着用者に強烈な力を与えます。魂が武者震いするような高揚感。当然、フラワーホルダーを留めるストラップもつきます。黒と黄金と花と。それぞれが人生における重要なエレメンツ。
圧倒的に静謐な美しさを持っているセクシーで魅力的な背広といえるでしょう。
運搬はすべてタクシーで、ロッカーに一時置きする場合は高さが折り畳みなしで、保持できる場所で、と細心の注意を払います。自分のスーツだと、ガーメントケースに入れている場合、畳んで床に直置きする場合もありますし、まあ大丈夫なのですが。
(※1)マニカカミーチャについてですが、その形状から 雨降り袖、差込み袖と呼ばれることもあります。まず型紙上の違いですが、マニカカミーチャは袖山の盛り上がりがないので通常よりも袖山が低くなります。縫製では袖山の縫い代の処理が主な違いです。袖山の縫い代の処理は袖側に片倒し、もしくは割りが通常ですが、マニカカミーチャは縫い代を全て身頃側に片倒しにします。これによって袖山を支えるものが無くなり雨が降るようにシワになり落ちます。袖を身頃に差し込んだだけのようなので差込み袖と言われるようです。
附属の違いはタレ綿、肩パットなどです。タレ綿は袖山の盛り上がりが不要なので薄くて張りのない綿ドミットなどを使用します。肩パットはマニカカミーチャの柔らかいイメージに合わせて薄いものにするのが一般的です。だからといって、マニカカミーチャは通常の袖よりも機能が特に優れているわけではありません。マニカカミーチャのもつ柔らかいリラックスした雰囲気を生かす為、附属や裏仕様などを軽くするのが一般的です。それが、着用者への軽みのある着心地に繋がります。
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