2009/04/10

Cashmere for SUMMER CLASSIC or MIDNIGHT SEA.


○○のお客様が、○○のスタイルで、○○の素材で装うと、キレイに決まるだろうな~とワクワクしながら、いい気分でカンツォーネでも聴きながら、生地バンチをめくりつつ、本棚の資料や最新の海外誌など行ったり来たりしてあちこち見つつ、妄想していると、あっという間に時間が経過します。とうとう時間ぎりぎりになってしまい、心臓ばくばくで駅まで走って行くことになります。

さらにその途中あとちょっとで駅というところで、駅前のミスタードーナッツ前で、近所、名物中華のおかみさんと偶然バッタリ会って、ここでまた最近のおいしい野菜のネタがどのスーパーで売られているか、という重要情報で立ち話、ということになると、これまたあっという間に時間が経ち、『たいへんすいません、20分遅刻してしまいます、、、、』と詫び電話を入れる、ということになりかねません。ああ、それは昨日の僕でした。すいませんです。

カシミア素材が夏にも好まれます。ハリソンズ・オブ・エジンバラ(Harrisons of Edinburgh) 『HAVANA (240gms SUPER120's wool99%,cashmere1%)』の淡いサンド・ベージュ。平織で縦横双糸。涼しげでありながら、しっとりした柔らかな、上質の素材です。恰幅のよい70代の紳士。仮縫い時点ですでに、パンツ丈以外問題なくきれいな仕上がりでした。淡い色彩ながら、クラシックかつ上品に仕上げます。

氏は、25歳のころから靴も近江界隈にてフルハンドメイドのビスポーク靴を愛用されておられます。20年使用という、一連の愛用靴を見せていただき、さらに貴重なお話をうかがいました。ありがとうございます。バルモラル式の“どっしり”としながら優雅なすばらしい靴でした。靴は人を表すといいますが、まさにご本人の人格と歴史と風格を表しておられるようでした。愛用のリーガルも味とコクが出ていました。

夕方、以前モナコ在住であられ、偶然中学の先輩であることが判明したY氏、William Halstead 『TROPICAL (230gms SUPER120's wool95%,cashmere5%)』の無地ソリッドでミッドナイトブルーを選ばれて、これまた、まさに、次はこういうスタイルに進んでいただきたい!と思っていたスタイルだったので、とてもうれしいでした。さらに、カジュアルのスタイリングのご提案も御採用いただき、今から出来上がりが非常に楽しみです。

ミッドナイトブルーは、黒よりもさらに黒に見えるといわれる深い青ですが、それはコトバのあやでもレトリックでもなく、感覚としてはっきりわかります。より鮮明に黒に見えるというか、『冴えた黒』と表現できます。これを究めるのも、ひとつのスタイルでしょうね。普通の黒が無生物の黒だとすると、“生きている黒”といえるかもしれません。一番ぴったりくるイメージとしては、静かで美しい、波のおだやかな夜の海、かもしれません。

No comments: