2017/09/13

『婚活』から『倖学(こうがく)』へ     10月15日(日曜日)19:00~21:00金沢での講座について、



金沢という美しい街を、一層の“SensusCity”(大人の情緒ある街)へと進めるために企画された『ずっと金沢で男と女』という金沢市主催のイベントにおいて、お話をさせていただきます。

イベント内容はこちらから、

今の世の中は、一般的な価値の世界において、ひたすら足し算や掛け算をすすめてきます。個人の成熟度や自己成長しかり、“昨年対比”などの経済成長しかり。伸びることを前提とした同調圧力の中で一般人は追い立てられるようにして生きています。


確かにモリモリと成長する姿、がんばる姿は、可愛げがあり見守るべき成長過程として共感を持たれやすいのかもしれません。一般的な価値の尺度ですと、がんばる姿を良しとしますし、学校の入学試験の面接や会社の就職試験も、そういう姿勢が“やる気”ということになって合否の判断基準になっていたりもします。


しかしながら、その頑張りが、そのひとそのものの魅力を削り取ってしまっているとしたらどうでしょうか?ひととしての自然な出会いを妨げているとしたら。

何かを加える頑張りが、ひとの素直な魅力、素朴な魅力にブレーキをかけたり、ブロックをかけたりする、人間の自然な恋愛のようなシーンにおいては、くだらない・ジャマになる社会通念を引き算することで、素朴な自分を取り戻すことをお話ししようと思います。だからこそ上質な額縁、つまり上品に装う必要がある、ともいえるのですが。


ご縁を巡るあらゆるシーンにおいては、自らの人生で日々無意識に積み重ねている、普段の自分、もともと持ってるもので勝負する、愉しむ、それで充分ではないでしょうか。潔さ、がすでに美しさですから、充分最強のアピールになってます。




紳士洋装の引き算のスタイルは最強だ、という信念にもとづく僕の専門の、ごく具体的で小さな小さなカフスボタンのような世界のお話から、それを流用・応用できるアテンド(デート?)における、女性への演出づくり、触媒の作り方を参考までに、お伝えできればと思います。僭越ながら、わかりやすく具体的にインスピレーションをおこすきっかけになる解説ができたらと思っています。


どういう出会い方をするかとか、展開になるかとか、『自分の理想を引き寄せる』ことは、仕事にしても出会いにしても、人生においての醍醐味といえますが、そのためには、社会的・一般的な意味での成功などとは別の、自己に対する根本的な自信が必要となります。

ただ、自信の根拠を持つためには、広く学んだり、旅をしたり、いろんな種類の人間との出会いを経験する必要があのだ、などと言われますが、結局のところはどうなんでしょうか?それは本当でしょうかね?




少なくともあらゆるものは、見立てと想像の力で強みに変換できます。いろんな種類の人物が描かれる映画や小説を通して、読者や鑑賞者はあらゆる人間は、愛される側面を必ず持っているのだ、ということに気づくはずですし。それは、少なくともそれを描いている脚本家や小説家がその人物を創造している以上、その人物をどこかしらの角度から愛しているからでもあります。


個人の持つ個性や価値は良くも悪くも魅力的に表現・演出できます。実力がある人は、包容力や余裕で相手を魅了すれば良いでしょうし、正直なところ実力が無いと自己認識している人は、等身大にその思うところを自然に出せば、もしかしたら一種の心配芸として、相手の魅力的な母性本能を引き出すことになるかもしれません。それも、一層おもしろいじゃないですか。


愛する金沢はもちろんのこと、たとえば自分の気に入った場所を、アテンドする姿は、自我という執着から自由になっているでしょうし、まずは、その風通しの良さが相手をホッとさせるかもしれませんね。結果、ひととして付き合える良き友、もしかすると、良き伴侶へと続く恋人となるかもしれません。




装いの本質的なコツに関しては、2012年に韓国の経営者向け雑誌『CEOマガジン』での1年間東洋全体の紳士実業家に向けて愛の鞭をスパルタンに振るいまくった連載コラム『スタイリング・オブ・アジア』をもとに加筆・修正したテキストを参加者にお贈りしようと思っております。


装いの最終奥義、Art of Dressing がここにコンパクトにまとまっています。これを品質保証・担保として、当日はできるだけその状況・状況において自由な魂で、いっそう本音で、できるだけ正直に語り合うこと、語り交わすことを愉しんでしまうつもりです。可能な限り、良きインパクトをもたらすべく、僕自身が愉しい触媒になれればと思っています。

2017/09/03

パソコンとつきあわざるを得ない以上、、、


 

できることなら、パソコンは『信用できる相棒としての道具』としてつきあっていたいものです。たとえば、楽器のアンプやチューナーなどプロ仕様だったり、業務用の機器ほど、そっけないデザインで、相棒になれそうな顔つきをしています。シンプルで使いやすいボタンとかレバーとかスイッチとか。

しかしそれがいったん“ 家電 ”となった瞬間に、一気にデザインがキャラクター商品のようにちゃらちゃらしたものになります。そして、くるくる一年ごとに仕様やデザインが変更されて、いつまでたっても、習熟できません。無意識で使えてこそなのに、力み上がったデザインに加えてつねに新製品の変わった仕様にふりまわされて気を散らされます。

つねに使用方法を頭で考えながら、本来一番大切である、脳味噌が邪魔されることなく考えに集中できる、ということができません。つねに新しい使い方を覚えさせられる羽目になることに、合理的な人ほど強いストレスがたまっていきます。開発者の『こんなこともできます、あんなこともできます、面白いでしょ?』という新機能につき合わされます。

私のパソコン遍歴は、中古のマックからはじまって、中古マックを3台くらい使った後に、新品G3、B5サイズ東芝ダイナブック、その後アメリカ人の友人から買った中古Dell、それからIBM(Lenovo)を3代つづけてきました。一番相性が良くて、パソコンの生産性が高く、そして純粋にパソコンだけから、そこそこのお金を生み出した時代はダイナブック期でした。

そして、ここ最近4~5年くらいは、パソコン=ストレスの等式になり、、一定時間以上パソコンをいじっていると、イライラが30分ほどでピークに達してしまい、すべて嫌になり近所の紅茶の美味しくて気の合うお姉さんがいるメゾンド・ボウに油を売りに行ったりしなければならなくなる冷却システムでした。自分の脳味噌自体が怒りで熱暴走してしまうという有様です。

しかし、最近転機がきました。今年の5月に紹介された知人が桁外れにパソコンに詳しいかったのでした。こりゃもしかしたら、念願の“道具”というレベルで使えるスタンスを見出だせることができるのではなかろうか、と希望の光を見たのでした。もともとは、道具自体も大好きなのです。ロースペックだろうが、意味の無さすぎる流行を追わない、愛すべきものであれば。。。


むかし優秀なDTPのデザイナーが、優秀なデザイナーほど決して不安定な最新型を使わずに、むしろほどよい旧型を使っていたことを思い出しつつ、ヴィンテージ贔屓の気質に合ったパソコンの使い方がある、ということをお教えいただき、大いなる希望を見出したのでした。オルタナティブ・ラグジュアリー志向です。

以下に、その優秀な、“パソコンを本来の道具として使いたいひと”に味方になってくれるかもしれない白石氏のレポートです。良くも悪くもキーワードは、『改悪(かいあく):新しい仕様のほうが、古い仕様よりも使いにくいことも多い』でした。新しい意識、自分で好きな時代を選ぶということだと思いました。そこの枝から使いやすいように自分にあったものをカスタムさせる、、、これはエドワードのビスポークやコペルのオートクチュールの哲学に近くて大いに共感します。


以下、貼り付け


昨日結論を確固たるものにするために記憶が曖昧だった点を確認しました。
木場さんのニーズを満たしたものは以下の2つですが安くてハイパフォーマンスなCF-SX3を私は自信を持ってお勧めします。

◎Best:CF-SX3(2014年秋冬モデル)でメモリ8GBでコスパ最高即決の価格帯は5万~8万の間で、メモリ増設による追加料金はベースが4GB→増設が2GBあたり2000円が相場で。64bitの製品が多いので8GBがおすすめです。

値段のレンジは稼働時間(私は1年間フルで毎日7時間使用した前提を目安に2000時間=1年寿命が短縮されているという判断を行っています。)と外部の汚れ、保存容量の多さ(320GBで十分です。)に左右されます。ウィンドウズ7なのか10なのか、マイクロソフトオフィスがついているか否かは取り扱っている業者次第ですが、デスクトップの仕様はあとで変えられますからご心配なく。

〇Good:CF-SX4(2015年春モデル) でメモリ8GBが次点。ただ、2年前のモデルのなので高いです。SX3が出回ってなければこちらでも良くて、微妙にスペックが高いだけなのですが、2年前のモデルなので中古相場は7万後半-10万程度です。SX3とSX4のスペック比較の外部のブログです。http://www.sea-blue.net/model/chigai-SX3-SX4.htm
※念のため、ウルトラブックではないのでDVDは見られますがブルーレイは見られません!
 
もしブルーレイをご覧になられたければ言ってくださいませ!

(以下は参考程度に!)。
★レッツノートを中古で購入する場合、3年前の商品が最もコスパが高い中古によるプライスダウンメリットと性能面の掛け合わせで見てベストという年間30台のPCを購入している弊社総務の所感です。私もヤフオクで家電を見るときは3年~4年前のモデルで探すのでそれくらいの感覚ですね。

★A4サイズの目安は画面サイズは12.1~12.5インチで、SXは12.1です。

★2014年冬以降のウルトラブックモデルはキーボードの改悪によりタイピングミスを誘発するモデル。ウルトラブックは耐久性をグレードダウンして処理能力向上とブルーレイが見られるようにしたものです。ちなみに、2016年夏にはもう戻っていたので、最新モデルは心配ないです。ざっくりとした見分け方としてはAもしくはMという文字が品番に入っているかいないか2015年夏モデルのCF-MX4→無骨さとグリップ感のバランスは完璧で私は購入してしまいましたが、キーボードが残念なので辞めたほうがいいです。

おすすめしているSXシリーズは4年使っていましたが、
・キーボードの打感
・トラックパッドの面積・クリックタブの配置
・耐久性
・大きさ、そして無骨なデザイン
・片手で会議に向かう時のグリップ感
すべてが私にとって完璧でした。
MXシリーズに乗り換えなければよかったと後悔していますので自信をもってパナソニックが生んだロングヒット製品SXシリーズの中古をお勧めします!

貼り付け終わり

このレポートを熟読して、アマゾンやヤフオクで、賢い買い物をすべく機会をうかがっておりました。しかし、なかなか見出せずにいました。そうしているうちに、シビレをきらして、秋葉原のソフマップに直接行ったのでした。そこでおススメに近いと思しきモデルを発見しました。そこで、これまた非常に良心的に親切・正確・論理的に猛烈なスピードで明快に説明してくださる、スタッフMさんが対応してくれました。全部お任せで、設定やオフィスインストールで全部で7万円くらいでした。


備忘録も兼ねて、ここにアップしているのですが、僕と同じように、“最新”嫌いでただブログやメールの仕事だけを、いかに使いやすくシンプルに使うかという人々、スペクタクルな表示とか一切要らない、必要最低限でコストパフォーマンス良く、と切望する方々に新製品情報過多の昨今、一助になるかもと思いました。かすかにヴィンテージ感覚で、旧式、旧車を愛でつつ大事に扱う感じでパソコンと付き合っていけるとストレスは無くなる、もしかしたら愛せるかもしれません。大いなる挑戦ですが。。。


追伸
上記のレポートの白石氏は、近日中に旧レッツ・ノートの話題も豊富な、道具サイトを立ち上げる予定とのことです。時々、秋葉原の万世橋横の常陸野ビールのアンテナショップ(バー)にて、オフ会(昭和感)をひらく予定です。写真は、ちょっと希望の光が見えて一杯飲んで、超ご機嫌。指先のポーズは、(旧型)Let's Note倶楽部のLのサイン。

2017/07/30

Tie



エクリュ色をベースに、ピンクがかったグレイ、深みのあるオリーブグリーン、黒っぽいサファイヤ・ブルー、、、2色の大判のレジメン・タイは売っていなかったので、エドワードエクリュで企画製作しました。1~2年後くらいに世界的に流行るだろうと思っていたら、今年のメンズのタイの流行柄ということになっています。でも、世のレジメンは、3色だったり、英国的か米国的な細めの意匠ですが、これらのタイは少々テイストが違うかもしれません。

ちなみにエドワード・エクリュという社名は、エドワードという典型的な英国の男性名と、エクリュ、つまり生成り(絹の原糸の色)というフランス語の合体なのですが、これらのタイは、自社名のテイストそのものです。形は、大剣9センチ、小剣5センチ、ネック部分4センチという太めの、英国ケント公がスタイルとしている太めのアウトラインに加えて、色調2色という少なめの配色とマニエリスム的な色調。

ジャケットと一般的に言っているものが、実はスポーツ・コートという正式名称であるように、このタイはスポーツ・コートという語源からのインスピレーションでもあります。白のレイヤーを愉しむクラシックテニスのスタイル、ルネ・ラコステや、フレッド・ペリー本人のスポーツ・コート・スタイルにこのタイを挿すと、似合うんじゃないかな。ホワイト・フランネルのトラウザーズ、白のカーディガンやセーター、、、

ぼく自身が現在自宅のある長野松本で、テニスを再開して、着こなしも楽しんでいます。ネットで(ヤフーオークションの即決扱いで)販売しようと思っていたものの、2017年に入ってからの若干の忙しさに甘え、アップしようと思ったまま、ボケ~っとしていたら120本ほどの在庫があと10本になってしまいました、2017年7月末。。。ありがたいことです。また、ちょっと違うのを10月完成くらいで製作予定です。

2017/05/05

5月GW、そしてクールな季節





2017年がはじまったと思ったら、もう5月です。半年弱、ほぼ・はんぶん過ぎてるんですよね、ほんと時間経つのはやいですね~。4月は忙しくさせていただきましたが(ありがとうございます)、最近、端正で正統派スタイルの指向が熱いようです、予想外。先日縫製工場の方とここ数年の紳士服業界の3ピース・スーツのブームについてWhy ? と話してました、


『 3年くらい前に、この “ 流行 ” はずっと続きますかね?と私が訊いたんですよ、すると、いやいやこのブームは5年くらいで終わりますよ、ってコバさんは答えてたんですよ 』


とのことでした。微か~に記憶あります。ってことはあと2年くらい?2020年オリンピックの頃?たぶんハズレてます。現時点予想では10%くらいの紳士たちが底堅くベースにいてフツーの顔して3ピースとネクタイで装っているんじゃないですかね。頼もしいことです。美人でちょいと知れた顔の、神楽坂の御姐ニャ~さん、タイドアップしてれば、ちょっかい出してもきっと応えてくれるはずです。




ほれ、ところでいよいよ5月からクール・ビズです。気まぐれアウトプットしているインスタで、ボルサリーノをクールに被っている友人Jへのコメントで、クール・ビズを勝手流に" Japanese unprincipled bad habit " と訳して喜んでいますが、とうとう世の中アンチ・クールビズが増加してます。安心です。ほんと今年の夏はどんな感じなんですかね~ハードさのレベル?


今年は(も)、夏の着こなしのポイントはたった1点。『 ハット 』 です。力まずフツーにかぶる。かぶるとなると、いきり立ってボルサリーノの最高級モデルをいきなり買う、そんな日本人特有の不思議な “ ドヤ感覚 ” をいったん横に置いてですね、フツーでいいから楽に被る。真っ黒頭のてっぺんを太陽の直射日光で炙る(あぶる)理由はありません。街角も体感もクールになりますしね。


※追伸:
5月5日(金)~11(木)は、エドワードエクリュはお休みいただきます。インチキ英文のインスタは気まぐれムラッ気 Keep on アプトプット。

2017/01/23

和歌山のみかん男爵





上の画像は、Harrisons of Edinburgh Holland & Sherry William Halstead の英国の老舗一流生地が“ 上野さんという主役に向かって(合わせて) ”にじり寄っているの図、総動員されているの図です。今月14日土曜日。

これこそが、いわゆる“ブランド”といわれている物とのDestination : 終着駅的な付き合い方です。あくまでも、主役は着る人ご本人。ご本人のテーマにブランドを合わせる。

若いうちは、物の力を借りたり、物に自分を引っ張り上げてもらうような使い方もあります。少年、青年まではそれで充分ですが、大人になったら自分のテーマに物のほうに合わせてもらいましょう。上野さんは、ご自身のライフワーク、つまり確固たる人生のテーマをお持ちだからそうなれています。



和歌山のオレンジ男爵こと、上野さんは、紀伊国屋文左衛門という和歌山を拠点にして、みかんを中心にしたネット・ショップを経営しておられます。普段は和歌山におられ、たまに大阪そして先日は4年ぶりに東京ということだったようです。先日は楽天甲子園の講師として、上京されておられたようです。

もとは、著名な出版プロデューサーの会の二次会で出会いました。僕を誘ってくれた愛知県の実業家の方は、このプロデューサー氏自身の装いをなんとかしたいという友人愛のような願いから、実は裏ミッションありで僕が招集されていたのでした。

しかしながらちょっと世間話を交わした時に、装い分野において(表面的な)自我を手放せないタイプの方だな、潔くふんどし一丁でまな板の上に乗ってきてくれない人だ、とわかったので、僕はあっさりその場でプランB に移行してしまいました。

お酒飲んで、楽しんで、おもろそうな人間を見つけてバカ話でもしよう!と思っていた時になんとなく紹介されたのが上野さんで、そのままのノリで会話が始まりました。

上野さん)   ネットでみかん売ってます。そろそろ、自分の装いをプロの方にお願いしたいと思っているんです。

そうですか、それなら全身オレンジでしょう。

上野さん)   もちろん、そうです。(リアクションコンマ1秒でその線で考えてた感あり)

マジですか?(振ったわりに若干焦るが、そのドライブ感の良さに大物感アリ)

というやりとりだったと記憶しています。生真面目で少し内気な雰囲気でしたが、素朴で癒しを感じさせる笑顔で微笑んでおられました。これがたしか2005年夏のことです。最初は、国産生地の、ヤヤくすんだ蜜柑色(みかん業界用語では、晩生:おくて)でまだ、おしゃれにも振れる余地を残したものからのスタートでした。



顧客カルテの200名分のクリアファイルの中には、一か所左端寄りにひときわ目立つオレンジのファイルがあります。もちろん、オレンジ男爵こと上野さんのカルテです。いつも目の端に上野さんを見ていることになって、基本営業しないエドワード的にもシーズンごとに気になってしまいます。

自分色を使用しているから目立つ、間違いがおきない、という強みを発揮しておられます。この点をエドワードも真似し、好みもあって、エドワードエクリュのコピー用紙などの書類はすべてエクリュ色(オフ・ホワイト)を使用しています。

オレンジ色のファイルを手にとって、カルテを見ると面白いです。国産の中堅どころの生地からイタリアメーカーの彩りの良いジャケット生地の宝庫ロロ・ピアーナ、国産礼服生地“王侯の装い”まで、使用しています。カルテを見渡すたびに、この12年あまりの年月に感慨無量です。


いやおう無く目立つんだけど、愛嬌がある、でも基本を押さえた王道で作っています。神楽坂にてリオン料理のルグドルム・ヴション・リオネのオープンテラスにて、くつろぐの図。



そもそもがその爆発的な目立ち方ですが、一度、学芸大学駅前で前で待ち合わせしていたときに、駅前のとりわけ主張の激しい商店街の看板以上に目立っていて、登場されるシーンが看板の全てを無力化しながら、歩いておられるようで、感動を今でも鮮やかに記憶しています。駅前の看板超えしてる、という事実でした。素朴で、生真面目な印象の上野さんが、装うからこそ、俺が俺がというマインドというよりも、

これだけ、シンプルにしときましたんで、おぼえていただけますやろか?

と、ご贔屓筋への愛嬌ある親切心に思えてきます。間違いなく、エドワードでは振り切り系の元祖、先駆者といえます。(後々この分野では、モンスター・異星(性)人が登場しますが)




昨今では、御自身の純度の高い徹底性のおかげでTVCMで和歌山発の地元キャラクター名物(名士)として登場。綾瀬はるかさんとの共演された時のもの。(※ 現在はこのCMの方向性が、いかにも短期利益モデルが組み立てられそうな、ゆるキャラ登場にかわりつつあるけど、人か?ゆるキャラか?、といったら、意識の先進性はひと・ベースのほうが先に行っていたと思います)を愉しんだり、と地元の企業スポンサーのラジオ番組もレギュラーでやられておられます。

さらに、僕が上野さんの大ファンであり、共感する理由が、ITを駆使しているにも関わらず、その捨て身の全身オレンジスタイルの根っこにある、王道を進もうとする “ あきないの哲学 ” の部分です。このこともあって、表参道にてレディスのオートクチュール、メゾン・コペルの上原さんにも紹介した次第です。

今風の髪の毛ツンツン・ピタピタスーツのファッション業界ちっくな若者たちよりも、和歌山でみかん売ってる上野さんのほうが商いの王道を進みたいメゾン・コペルのインスピレーションの元になれると思ったからです。

氏は、書籍も出されています。僕もアマゾンの感想文を書かせていただいております。

昔からネットの技術に頼りすぎることには疑問をお持ちでおられました。SEO対策で上位表示に批判的だったように感じます。むしろ、時流に寄ってかわるものに、自分の軸を置いてはよくないですよ、というスタンス。

深い部分では、地方にいながら、その土地の豊かな歴史や文化や地場産業、ひいては地元で家族と一緒に平和に暮らすことや、地元の人々を豊かにしながらの、自身の生き方を確立する、という壮大な実験をやっておられるように思います。昨今、地方というコトバが、海外からのインバウンドの分野でも、それ以外の理由からも、無限のポテンシャル・ワードとなっています。




ビジネスの先駆性の部分では、最先端の商い“意識”を、かつての信用ベースで成立した“おまかせ”スタイルや、ご贔屓スタイルなど、古き良き日本の商いのスタイルから掘り起こしているように感じました。たとえば、納期を一日でも遅れたら、全額返金など、現在さかんにいわれる過剰サービス(≒アピール)寄りの無駄に気づき、その逆の発想をされていました。

鮮度を大切にする商品の場合に、納期・期日を厳密に決めてしまうと、店側は、どれだけおいしいものをお客様にお届けするか、というよりも、ペナルティをおそれて日程の帳尻あわせを優先順位第一にしてしまい、過剰な防腐剤や無理でしんどい物流作業を強いられたりします。

それとは逆に、ちょっとでも鮮度の良い美味しいものが届くのだったら、納期はおまかせします、とやっておいたほうが、皆が自然な流れで、美味しいものが届けられて、結果的にどれだけ賢いかということを10年前から言っておられました。販売者側の、がんばり(好き?)過ぎる、過剰労働傾向のある店側と消費者の意識のギャップを早くから理解しておられました。



サービスの工程全般での、落ち度やちょっとしたミスにつけこんでくる人々というのは、ネットショップをしているとごく一定の割合ながら経験するものですが、おそらくここにフォーカスしてしまって対応に過剰な“ディフェンス・コスト”をかけるくらいなら、より良い関係を農家さんとつくることに、情熱を注ぐ、というようなプライオリティ感覚を感じました。

くどいようですが、みかん色の装いの作り方とその心境をおさらいすると、


1.ただ、ちょっとフツウの人たちが無理っ(と勝手に怖気づく)と感じる羞恥心的な部分をいったん、横に置いてみる。

2.あえて、まず自分を石ころを見ているように俯瞰で見てみる。

3.その上で他人目線で自分を装ってみる。。

4.そもそも、自分はみかんを扱っている(商いをしている)

5.だから全身一式みかん色。


だれでも考えられそうだけど、自分を他人目線にもっていくのは、相当難しいです。みな単に、自分の気が済む様に、装ったときの自己満足を満たすためだけに、個人で起業しているひとであっても、なんとなく皆その業界のこなれた感じの装いを選んでいます。居心地よさそうに思えるから。

そしてさらに上の1~5を実際徹底的にやる人は1%くらい(200名の顧客中役2名)。それだけで、みなと違うスタンスを取ってそれでいて目立つ、というのは宣伝効果が期待できるので、結果的に扱うサービスのクオリティが高ければ売上げが上がる、ということになります。

外見が勝手に24時間営業しています。極端な話、社長がそれを着て街をうろうろしているだけで、働いていることになるわけですね。

そして、面白いことにというか皮肉なことに、“みかん色しばり”でいることで、オレンジ色という串で、世界を串刺しにするという展開があることです。将来エルメスが上野さんにコラボレーションを持ちかけてくる可能性もあります。パリ右岸のエルメス、左岸のアルニス。アルニスも真っ青の、エドワードオリジナルのグリーンの手巻きボウタイを作ったこともあります。これは、みかんのヘタの部分です、と言って納品しました。




実は、個人的に先週金曜日(1月20日)あたりから、仕事しながら体調が良くない自覚があって土曜日明らかに風邪の症状があったので松本の自宅にて、半日治療モードで対応しました。

蜂蜜を少し食べて、塩を少し入れた白湯を飲んで熱々のお風呂に浸かり、一気快復を待っていたものの、土曜日になって一気に40度近くまで熱が出て、あれ~いつもの風邪と違うなあ、とのことで、医者に行ったらインフルエンザA型という結果がバッチリ出ていました。どうりでいつもと違うと。ついに25年ぶりに風邪ひきました。これは完敗でした。

そこで、上野さんのところで年末に2箱注文したビタミン豊富な良いみかんを猛烈に体が欲していたので食べました。熱が出ていると汗をたくさんかくので、水分が不足しますから喉はからからです。どこで、唯一欲しくなるのがみかんでした。小粒でプリッと甘いみかん。体調も体温も36.6分まで戻り、大いに感謝した次第です。七福神の中にいてもすんなり同化しそうな笑顔の上野さんでした。



2017/01/09

ドレッサーの新しい心得 ( こころがけ、つつしみ、たしなみ )




数年前の成人式にブラックタイ一式(タキシード)を揃えたYuuki 君、最初にエドワードに来たのはまだ、10代だった、と回想します。あれから密度の濃い数年を過ごしていたようで、もともと気質的に持っていた自由できれいなもの好きの感性を生かす方向へ進んでいて何よりです。ベルンの竹内君と3人で歳末、男子会。エドワードエクリュ・ミシュランで2年連続ナンバー・ワンの、地元民しか行かない新潮社近所、最高の洋食屋 『mario』 にて乾杯する直前の一枚でした。

エドワードで製作しているスーツや小物類は、すべて基本に忠実なアイテムです。クラシックの意匠を大切にして、物自体のデザインはできるだけ目立たせないように、全体を組み合わせた中ではじめて輝くように作られています。物自体はシンプルに上品に(ってことはクラシックな範囲での美意識)クセが無く余計なヒネリもハズしも効かせていません。

この秋冬も、キャメル(素材そのものだったり、色だったり)のコートや、ブラック・ウォッチのスーツ、ダブルトップのカフリンクスをモダンな要素すらひとつも入れずにさらっとつくっています。充分なんです、それで。新しい要素一切いりません、ニュアンスは、勝手に入ってきますから入れようとしなくても。そういう薄味なくらいで、ちょうどいいんです。




それならば、意識して新奇な流行を入れないとレトロなのか?というと、そうでもありません。装いの(どの時代を自分の軸として据えるか含めて)優先順位の塩梅(:あんばい)を『自分の自由意志で絶対感を持って』選ぶという “ 意識の自由さ ”のほうが、むしろ旬だからです。

流行も一種の “ 囚われ ” ですし、物のデザインに過度に “ 拘り” 過ぎるのも、文字のニュアンスからも感じられるように、拘留された囚人のようで自由ではありませんね。

なんてこと無い、ダブル・ブレストのキャメルのアルスター・コート。これをドやっ!とエラそうに見せずに、いかにフツーに爽やかに着るか、のほうが大事です。凄く作り込んだ、伝説の名匠の逸品を手に入れるよりも。ドレッサーのYuuki君が着ている一番上のコートもごくふつうの、昔からエドワードで製作してるアルスターというデザインのコートです。デザインよりも大切な “ ニュアンス ” が充分に出ますし、もちろんデザインは目立ちません。

ただ、エドワード・エクリュのクライアントの感謝すべき特長でもありますが、みなさま自分自身の体をある程度、習慣的に鍛えておられます。必要最低限ではあるにしても、装い以上に、フィジカルのケアに気づかっておられる方が多いです。ちょっとした運動やファスティング含めて。ドロップ寸6から10(胸囲と胴回りの差寸が12センチ~20センチ)の楔型(くさびがた)が多いです。




2001年創業時から、『 アタマの先から爪先まで全身一式・企画製作 』 と謳ってきましたので、アタマの先から爪先までポイント・ポイントで必要最低限“ざっくり”気を配ることをオススメしてきました。でもだからといって、度を越して神経質になり過ぎることのないよう、全体バランスを意識しています。そして無理せず愉しみながら習慣的に精進することをオススメしています。

最近は、新しくオススメのガイドラインに採り入れたものとして、最低限の 『 爪ケア 』 があります。以前は、爪を女性のようにぴっかぴかに磨き上げていたり、マニキュアをつけていたりというスタイルは生理的に拒絶していたものですが、必要最低限レベルでの爪ケアは(特に接客的なひとびとにも)必要と感じました。




印象美というテーマを掲げ金沢発信の、Benediction : 正式名称:ベネディクション・エフ・月:祝福(発売元:WORDROBE ⇒ コトバをテーマにしているところから敢えてwordと表現)というネイルケア商品をオススメしています。 http://wordrobe.biz/store/( こちらで 購入できるそうです)

おもしろいですよ、もともとは、女性用に企画されたものとのことですが、野生種オーガニックの香りが全て硬質で凛々しい(男前っていったらいけないのかな?昨今)ものばかり、椿オイル、シトラス、シダーウッド、フランキンセンス、サンダルウッド、ダマスク・ローズ。金沢の漆作家や書家を動員した、限定品もギフトとして素敵かもしれません。

WORDROBE代表の小西さんには、金沢らしい水引でできたカフリンクスもプロデュースしていただだいています。これは、香道やお茶の際に、茶器を傷つける可能性のある金属類が付けられないことからの要請で、お願いしました。僕と生年月日がぴったり同じ(ということは、ペガサス☆)金沢の水引き作家の方に作っていただいているそうです。




上質な靴を手に入れると、靴が勝手に魅力的な場所へつれていってくれるように、きれいに整えた手もとは、必ず美しいものを手にするのではないかと思います。

確かにファッションにおけるデザインも技術も少なからず刺激がありますが、そもそも日本には古来からスタイルを語る上でうつくしい言葉がたくさん用意されています。自戒も込めつつ、そう思います。

装いをかたちづくるものの一つ一つが、やさしい心がけや、つつしみや、心づかいでできあがっているとしたら、そこから立ち上がってくる装いは、迎える方に手渡される花束のような存在になるのではないかと思います。



2017/01/01

2017年(酉年)新年あけましておめでとうございます!





激動の2016年からの2017年、皆様におかれましても、昨今の変化に富んだ世界を、賢く美味しく愉しめる一年であられますよう、エールをお送りいたします。今後とも、気兼ねなく気の合った仲間が少しづつでも増えていけば、と存じております。良き先輩・後輩的な雰囲気があったり、ボウタイの結び方や、まともな小物の選び方など、センスの交流ができるクラブ的な場になれば最高です。

2016年9月に50歳を迎え、少々自由なスタンスにトランスフォームさせていただきました。実際の営業場所は、1.表参道、2.田園調布、3.神楽坂という3拠点になります。会社の登記上は江戸川区小岩の東京の自宅においております。表参道はメゾン・コペルというアトリエ内で接客し、田園調布は、ラウンジとして、英:アンダーソン&シェパードをレスペクトしつつの紳士空間にしています。

現在、神楽坂は、弟子の竹内君が自分自身のお店 『Berun : ベルン』 として、営業しております。彼自身、基本クラシックスタイルの生真面目な信頼できるテーラーです。僕も、どうしても神楽坂がいい、というクライアントの場合は、ベルンの場所を借りて接客などやることもあります。ベルンの竹内くんも、結構旅ばっかりしていてね、誰かと一緒であんまり店にいないようなのでね。。(笑)




私事ながら、一昨年に僕自身含め、家族で長野県松本市に自宅を移しています。ですから昨年の都庁選挙も選挙権ありませんでした。今は長野県民です。一番上の写真は昨年11月11日に代官山のギャラリーで催されたイラストレーター・松尾たいこさんの展示会のものです。そのまま、一羽だけが特別に見えてしまったので購入して、松本の自宅の玄関先で飼うことにしました。見上げると、ワタシ元気よ、ちゅんちゅん、と挨拶してきます。

マーケティングやテクニックからではなく、精神の奥底の部分の衝動から生まれだしたような素朴で繊細な佇まいが気に入って衝動買いしました。買った瞬間、即ここで飼おう、と決めていました。気に入っています。こどもたちが大人になった時、遠い記憶の中に家族を思い出し、玄関先の小鳥も思い出すんじゃないかな。

2017年、スーツ・スタイルを中心として引き続き、頭の先から爪先(※って15年間言ってたら、ほんとうに爪先のアイテムが引き寄せられてきました。次の記事にて)までの全身一式製作を行なってまいります。フェイス・ブックやインスタやこのブログのそれぞれの個性がちょっとだけ新人なりに理解できたので、2017年はネット上でおしゃべりになりそうです。





2016年はクライアントはもちろん、職人の方々や、そして、社内的に強力なアドヴァイザーとなっていただいたアカデミック世界の人々、学びをもたらしてくださる方々との出会いが多くありました。ほんと、最高レベルでありがとうございます!特に9月から10月、11月、12月と激動と学びと閃き(ひらめき)に溢れすぎて、脳や精神がついていけていたかどうか、自信がありませんでした。

9月のパーティー前後の打ち合わせによって、多くの学びとインスピレーションをいただいた仏文学者のまい先生を筆頭に、まい先生からのご縁で、今後ファミリー的な存在になる穏やかなお兄様的存在の紳士、世界のプロトコルに通じておられ、眩暈がするほど切れ味最高のカスタム・ヴィンテージのコレクターでもあるタックさん:(Tak)さんなど、スタイルについて鳥瞰的に語れる体制が整いました。

弊社の名前を冠した、乗馬馬である、エドワードエクリュ号とバロン氏こと前田氏の精進もものすごく、Sクラス ⇒ インターメディエイト ⇒ セント・ジョージ ⇒ グランプリ とたった6年で駆け上がっている努力はモンスター級だと感じています。先日、ハンガリーの乗馬クラブで、際立って美しい・優秀なライディングをしていた同世代がいましたが、訊くと26年のトレーニングとのこと、バロンが6年と聞くと信じられないと驚愕していました。天才的な伸び率に賭けつつ、応援団もひそかに増えてきています。




上写真が、アーチスト(イラストレーター)であられる、松尾たいこさんです。ファン・サービス慣れしておられるようで、フレンドリーに肩口にとまってくれている感じのポーズで、作品とご本人が似ておられます。御自身の精神に対しても愉しみながら静かに探求されておられるご様子で、大いに共感しました。一年間服を買わなかった経験を雑誌CREAに書いておられるようです。ショッピング全盛の時代からの次のステージ、服に対する新しい姿勢がシンクロニシティとなって各方面で生まれはじめているように感じています。


2016/12/03

Sence of sports スポーツから抽出できるはずの黄金




服飾研究で先週渡欧していました。“ スポーツ ” というテーマがありました。もともとは、息抜き、気晴らし、楽しみというようなフランス語に由来する単語の変形らしいですね。日本では、油断すると少年野球や学校の部活に代表されるように、あるひとつの価値観で洗脳教育に近いスタイルで、単調につっぱしりがちに思えます。


実は、スポーツから克己心や根性ではなく、他のもっと貴重な栄養分を抽出しているっぽいぞ、と日本でも気づき始めたように思います。たとえば、クラブ文化。1.お姐さまたちがいるクラブ、2.DJのいるクラブ、3.スポーツの後ジャケットを着てくつろぐクラブ。この3番目です。クッキーを欲しがった冒頭写真の紳士は例外的にドレスコード“裸”なのですが。。




ところで、シャカシャカ系(石油系のワークウェア、スポーツ・ウェア)個人的には、ほぼパタゴニアとモンベル(高価なモンクレールでばなく)です。シャカシャカは必要最低限でありたい、そしてできるだけツイードとかフランネルなど、ウール使用でのスポーツ・ウェアでありたいものだと心しています。英国スタイルがお好きな方はみなそういう指向に行かないとおかしい、と思うのですが、、、

しかし、早いもので12月です。。2016年は激動の年でした、世界も変わり始めていますし、個人的にビジネスの考え方も大いに変わった年でした。大きなツリーの中心から、風変わりな和風オーナメントとなって、早めのメリー・クリスマスを叫びたいところです。




上は、乗馬を巡る、馬場や厩舎や事務方の交渉ごと、ホース・ショーでのエドワード・エクリュの装い。3ピースでのハリス・ツイードにペイズリーのタイ。ウール・タイがふつうかもしれませんが、ちょっと交渉寄りの時はタイを挿したほうが、みなきもちよいと感じます。

ウィーンの街中のトラッド・ショップには、ごくごくフツウのまっとうな(昔からある柄という意味で)プリント・ペイズリーのアイテムが揃っていて、滞在時間約5分の中で、いっしょにいた2人の紳士のために速攻大人買いしました。有名な紳士スタイル本、ベルンハルト・ルッツェル氏のインスタでも紹介されていました。とはいっても、現在エドワードエクリュのオリジナル・タイを製作中。2017年初旬に完成予定です。




素朴なヨーロッパが残る南ドイツは、イタリア、フランス、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、東欧諸国と機動力が高くポテンシャルを感じます。ハンガリーを拠点にして、ヨーロッパ各地の都市部へアクセスする感覚は、都内の東に慎ましく住んで西に出かける感覚に近く、親近感を覚えます。新鮮な食材があって、空気がきれいで、サービスも素朴で暖かい、となるともはやそれ以上をイメージできません。






昨月はケイイチロウ氏がバロン氏にブリーフ・ケースを納品しました。形も色も端正で大いに気に入っていた模様。天気がよかったので、表参道のアニヴェルセルにて。ケイイチロウ氏が着ているセーターは彼のお母様の手編みのもの。職人の方がたに新しい生き方のインスピレーションを与えることができる青年だと、毎回会うたびに感じます。速攻、バロン氏はつめ先で表面に傷つけてしまいましたが、それを気にしないところも、けっこう大事なセンスだと思いました。。



2016/10/25

『 木を見て森を見ず 』 は、装いにおいてはオススメできません、要注意!





靴とか生地とか、それ単体でのめり込み過ぎる人が増えると、自分とのかかわり関係なく、物単体を崇めるコレクター的な傾向になるので、ショッピングを好きな人が増えてきて、経済効果は上がります。ただ、それによって各人の装いの全体観が損なわれます。

物自体のみを語る、つまり靴単体や生地単体の薀蓄を歴史から、組成から語ることに喜びを見出す(服飾史家や学者のような)方々の存在は、見識が豊かになるので、貴重な方々ですし、重要な方々です。

しかしながら、一般的な人々にとっては、優先順位的に、装いの全体観のほうが大切なので、自分と切り離して、物だけ見て語る服飾史家になる必要もないし、むしろマイナスに作用することも多く見られます。

トリビア好きは、優先順位が壊れておられる方も多いので、木を見て森を見ずで、本人の実際の着こなしが残念な人が多い、というのは同業者の一致する意見です。(おそらくどの業種でも)




たとえば、素人(しろうと)の目線は、靴だけを凝視するので、目線をたとえていうと上から2番目のような写真になります。この写真が素人の目線です。

靴だけを見ます。パンツが後ろに引っ釣れてるのに。。そして、滑稽なシルエットである一部流行のトラウザーズ(パンツ)のシルエットも手伝って、この2番目や3番目のような目線で見るのですが、それは残念な目線の例といえます。

一見、このように写真で写すと、ロングノーズで素人ウケする、シャープで尖ったシルエットに見えるので一般男子はカッコいいと思ってしまいます。世界中の instagram などで、90%近くの靴マニアがこのようなアングルの写真を撮っています。

しかしながらこれは、画面がパンして、もし引きで全体を映し出したときに、その着用者が “どんだけ ピノッキオやねん ” または “ どんだけルパンⅢ世なんかい ” といった有様であることが白日の下に晒されます。これを 『 木を見て森を見ずの(素人)目線 』 といいます。




どんなに、手の込んだ、こだわった、職人的な技法であっても、裸に靴だけを合わせるわけではないので(そういえば、その装いを街で見かけることはあまりありませんね)、必ずトラウザーズとの連なり、組み合わせの目線が必要になります。

ですので、1番上の写真の目線だけがプロの目線です。商品選びのすべてに言えることですが、一品、一品はどんなに素晴らしいものであっても、それは装いの一部である、と正確に認識すること、つまり “ パーツの認識・わきまえの認識 ” によって、美しく納得できる自分らしい全体観が獲得できます。そもそも、完成されたひとりの紳士の着こなしですら、景観のつらなりの一部でしかありませんから。。

ちなみに、1番上のモデルは神楽坂『Berun:ベルン』の竹内君。靴はJohn Lobb トラウザーズ(スーツ)は、裾幅22センチ、でハーフクッション(ゆるやかに靴にかぶさるくらいのユトリ)ちなみに、“生地”はハリソンズ・オブ・エジンバラのFine classic の淡いブラウンのシャークスキンです。

短めのパンツ丈の裾が輪っかになって、ぐるぐるフラフープのように自由自在に動いて、そこにきてロングノーズ気味の靴がドヤっ!と存在を主張しているのは、もともと短い脚の日本人が一層短足に見える、という残念な結果になってしまいますので、要注意です。

1番上の写真のように、ちゃんと、このようにナチュラルに靴に軽く被さって収まっているほうが、大人の落ち着きがあって美しいと考えますし、自分たちはアジア人の骨格を持った日本人であるという変数も加味した良識ある(わきまえた)全体観とバランス感覚だと思います。


2016/09/12

開発やアドヴァイス、小さく深く進行中。




これは、3年前パリに渡ったマダムMさん用に企画製作したものです。馬術・乗馬服や狩猟や野外用のトラウザーズ(パンツ)など、タフな素材で、極めて英国的な生地、Bedford cords(ベドフォード・コード) を使っています。それをコーレスポンデント靴仕様にして、グレイッシュな黒で合わせています。靴先の洗練を強調させるべくチゼルにしたりロング・ノーズにしたり、尖らせたりするよりも、ちょっと英国風の素朴なシェイプである部分が大切な微差(びさ)だと思っています。見せたいところはアクセント1つだけ、あとは、その通常からしたらイレギュラーな仕様に沿うようにできるだけ自然に、やらかさずに通す、ということです。

素朴さは、風通しのよい余白のようなものなので、できるだけ、デザインの判断において、トンガリかふんわりか選ぶ局面があれば、エドワードエクリュ的には常に迷わず、“ふんわりして素朴”のほうを選びます。このあたりは、尖がって鋭いものが大好きな男子感性と違うところかもしれません。英国×仏国×男性×女性その4つの要素の組合わせがテイストづくりの鍵かもしれません。

これを、無地ワントーン・コーディネートのグレイッシュな挿しアイテムとして使うと、とてもステキだと思います。小脇にフィガロ誌でも挟んで、カフェでお茶している姿が似合いそうです。このコードという生地は実に風合があって、大好きです。これが組織が薄くなると、最近なかなか手に入れにくい、ピケ素材(×コードレーン ⇒ 〇ピケ:Pique)になります。

この秋冬は厚手コットンの白のトラウザーズを作ろうと思っていますが、素材探しがたいへんだろいうなあ、と思います。個人的な2016年の春夏はイタリア・カルネ社のエクリュ色のコットントラウザーズ3本がとても重宝しました。カーキほどワークではなく、白ほどカジュアルではなく、淡い白、練乳色の白、極めて淡いまくりのベージュ、というようなエクリュ色のやや厚手のコットンは、端正で上品なので、どんなジャケットやポロシャツにもよく似合いました。




こちらは、ネクタイ用に描き起こしたペイズリー柄です。上の明るい黄金色で実際にタイを作りました。人気だったので、自分の分までクライアントに販売してしまい、サンプルタイもなくなりました。なんなんだろう?ペイズリーって、と思います。あまりにも、売っていないので、スコットランド・ペイズリーまで行きました。結果、博物館しか存在なくて、そこもチロチロ資料しかなくて、大したものが売っていませんでした。というわけで、作りました。おそらく、人間が目を閉じたときの瞳の裏の光の残像のようなものだと思います。

人間の(いや、犬もネコもかもしれないが、、)意識が混濁した時に、古今東西を問わず、意識・無意識の中に出現する模様、というか。。曼荼羅やマンデルブロー曲線のようなものですね。昔から存在する、土の色、煉瓦の色、エンジ色、緑色、辛子色、といった地味でオーガニックな色だけを使った、何の変哲も無い、トラッド調のものがほしいのですが、なかなかいまだに見つかりません。スコットランド・エジンバラに行った際には必ず寄る(インスタでもフォローしている笑)、老舗トラッドショップのスチュワート・クリスティにはボウタイも含め売っていましたが。。

人生の記憶に残っている、クラシックなペイズリーといえば、数年前日本橋三越の一階で見た、企画物のネクタイのカスタム・オーダーで、タイ・ユア・タイのコーナーにあった、生地サンプルに最高のペイズリーたちがありました。それ以来、一度も製品としてクオリティの高いペイズリーを見たことがありません。時々、写真でいつもぼんやり眠そうな表情のルチアーノ・バルベラ氏が、さらっと普通の挿しているのを見るくらいです。



なにしろ、今年の4月からフェイスブックをはじめ、ライン、インスタグラムと愉しんでいますからね。数年前の自分はどこへ行ったというくらいの、2016年の心境の変化っぷりです。そして、先月は、ポール・スミス展にも行ってみたという、以前の自分では絶対にやらない選択肢でした。って、ことで、わりと、ファッションに対しても自由な感覚にここ15年ぶりになっているのですが、上のヴィヴィアンも実はヴィンテージ資料として数年前に買っていました。アーマー、ツイードでどんな仕組みになってるのかな?と。連結部分はいったいぜんたい、と。でもこれは、やはり、凄い発想だと思うんですよ。買ったとき、正直、猛烈にトキメク自分がいました。

70's 80's いずれもやりたいことの宝庫。特にヒネって、オリジナル風に加工する必要も感じないくらいに、そのまんまパクりたいこともたくさんあります。さすがにアーマーはやらないでしょうが。。この秋冬はあくまでも普通のジャケット、普通のヴェスト、普通のトラウザーズ、というアイテムをメインでやりたいと思います。そのふつうって何?ということですが、たとえばトラウザーズならば、股上26~28センチ前後あり、わたり幅、ゆとり寸もしっかりあって、裾幅も最低20センチ前後あって、そして今年の一番重要なリトマス試験紙ポイント・チェックポイント、その着手のスタイルに対するスタンスが一番良く分かる部分でもあるパンツ丈。それも、ハーフ・クッションくらいしっかりあって、といった至極真っ当なかんじで行こうと思います。最近業界的に多い着こなしである、8分丈、9分丈のスーツスタイルでのパンツ丈が極めて滑稽なものだ、と認識される(カジュアルならアリですが)のには1年とかからないだろう、とエドワードエクリュのクライアントたちは見ています。

追伸:
今月9月22日は、表参道にて中規模パーティーを催しますが、今回は基本レディズ発表会とちょっとした記念バースデイなので、そのどちらの要素もいずれも関係ありそうな方にだけ、お声お掛けしました。午後6時ジャストにショーが始まりますので、くれぐれも遅くとも午後5:00時までには、受付を済まされて、地下のボールルームまで降りられて、ご歓談していてくださいませ。5時50分ごろから、入り口入っても、下り階段が使えなくなりますので、ショーが終わる19時からの再入場になってしまいます。くれぐれもご了承お願いします。


2016/08/01

徒然なるままに、生地についてあれこれ。



以前一度、急遽翌日までにブラック・タイ仕様の小物一式を揃えないといけないことになり、黒のボウ・タイ(蝶ネクタイ)を老舗トラッド系のブランドショップに買い求めに行ったことがあります。結果的に、タキシード用の黒のボウタイと白の麻のポケット・チーフが同時に在庫してあったお店は、ひとつもありませんでした。考えてみたらたった1年前の話ですね。これだけ、トラッド・ブームといわれ、こまかいディティールがどうこう、とか盛り上がり語られまくる昨今、タキシード用のまともな黒のボウタイが東京の有名店に無い、との事実。優先順位ロス(優先順位を考えずに、物自体、ディティール自体に集中してしまい、全体観と優先順位の思考がゼロ、ロスしていること、僕の造語)している状況でした。

エドワードエクリュ的に、こまかいディテールは興味ない、むしろ全部要らない、基本のアイテムと、必要最低限のルールめいたものだけをしっかり知っていれば良いと、この時ほど怒りながら心に期したことはありません。結局、ヴァルカナイズ・ロンドンのターンブル&アッサーでコシのあるシルクの(しかしもちろん既製なので、アジャスターとフック仕様でした)ボウタイと、銀座和光で、ふつうの麻のポケットチーフを購入しました。全ヵ所タクシーで移動したので、在庫探しの都内小旅行につき、移動代が普通ではありませんでした。バーニーズ、ブルックス・ブラザーズ、ラルフ・ローレン、ポール・スチュワート・ダンヒル、在庫無しでした。




一番上の画像については、ホーランド&シェリー、老舗生地ブランドの生地バンチです。印象としては、生地全体が価格がやや高い印象があります。しかしながら、冒頭の話に戻ると、生地の品揃えが、紳士服飾文化の教科書のように、世の中がどのような流行になろうが、売れようが売れまいが、これとこれは絶対に在庫している、という一本の強靭な柱をしっかり持っています。そこに、おそらく10%~20%想像よりも原価コストが高価であっても、よい気分で、まさにあっぱれ!という、一票投じる心意気で、購入するのです。

トラディショナル風のテイストで展示し、商品を飾るのも良いでしょうが、オーセンティックなお店を名乗るのであれば、何時寄っても大事なものは変わらず在る、という絶対の信頼こそ、まっとうであるように感じます。色にしても、女性のモードの世界とも違いますから、あまりクルクル替えられると、2年3年越しで、お目当ての色を楽しみにしていた顧客がさびしい思いをすることになり、申し訳ないことになってしまいます。

上は、馬場馬術(Dressage)で数々の表彰を獲得し続けているスタリオン(牡馬:オスうま)である、“ エドワードエクリュ号 ” と前田氏です。エドワード号の毛並みの美しさと、ホーランド&シェリー社のミッドナイト・ブルーやブラックのギャバジン生地は最高の相性です。5年前から礼服全般の定番の生地としており、タキシードもギャバジンで作ります。質実合憲、失礼、剛健、優雅なドレープ。前田氏を始め、ジュニアの歴代チャンピオンもエドワードエクリュのスワロウ・テール・コートでドレサージュの最高峰を演じます。




とまあ、やかましい序章もほどほどにして、昨今ジャケットに限らず、スーツの色も徐々に選択肢が広がって来ましたよ。もちろん、スーツ世界にエントリーしたばかりの新人君たちは、ネイビーとグレイの2本柱で、春夏5着・秋冬5着は、必要最低限を揃えた後での話なのですが。。。どうしても、着数増やさず次に進みたい方は、エドワードで何度も提唱しているように、体型の似ている後輩ちゃんを見つけて、贈って全体着数を調整してくださいませ。

一番いいですよ。お古(ふる)教育ですよ。若いうちから、じゃんじゃんお金を使って、高価なブランドの洋服を購入する、というスタイルはあまり好ましくありません、例外はありますが。ふつうはセンス(テイスト)が身につかないように感じます。経済的な成功にフォーカスして生きる方々が、ハングリーだった期間をとても大切にしているように、センスにもそのような、ハングリー期がすごく大事です。すごく欲しいけど、買えない、というのは、自己センス育成黄金期です。非常に貴重ですよ。

ちなみに、上のイー・トーマスは、色彩のセレクトにおいて、アタマひとつ抜けています。コスト・パフォーマンス的な見方が好きな方も、お気に入りとなるでしょう。ただ、ついでで言うと、コスト・パフォーマンス、という考え方は絶対ではありません。それを嫌がる層もいることを知っていること、頭の片隅においておくことも必要です。ちょっと、照れくさそうに、コストパフォーマンスもいいですね、、、と言う感じが塩梅良いワキマエかもしれません。コスパを高度のプリンシプルのように認識して振り回すのは誤りです。世界が狭い。意識的には、日本においても、上の価値観レイヤーが3層以上はあります。




チャコール・グレイのシャークスキン生地。全身一式完全製作において、多用します。もしかしたら、2001年創業以来、一番使っている生地はチャコール・グレイのシャークスキンかもしれません。エドワードで多用する、フランス風の色彩、ペイル・トーンと非常に奇麗に合いますし、どのような色にもシックに決まります。鮫肌の刷毛目の風合が、マットでべったりしたグレイと違って、まるで大島紬(つむぎ)のような立体感です。なんといいますか、印刷などで、モノクロなんだけど多くの色、C/M/Y/K 特色を使うような感じです。

白も、ブルーもピンクもラベンダーもどのようなペイル・トーンも、グレイのシャークスキン生地のスーツは、すべて美しく控えめで頼りがいのある額縁として、寄り添ってくれます。これは、イタリアらしい、カルロ・バルベラの柔らか質感の生地です。カルロ氏の息子のルチアーノ氏は業界的に知らぬ方がいない、有名な世界的なドレッサーです。セーターの上に腕時計をするスタイルはどうしても好きになれませんし、絶対に真似しませんが、それ以外、特にイマドキでない、ジャケットやパンツのゆとり幅などは、完全に共感します。ルチアーノ氏の身に着けるアイテムのゆとり幅は、流行関係無く、目立つところの無い、ごくふつうの・まっとうなゆとり幅ですから。その考え方が良き英国風ともいえます。



上は、ポーラーという多孔性(多くの孔:あなが開いている)の生地です。よくフレスコといいますが、これは英国の硬派で優秀なマーチンソンという老舗生地会社の商標登録名なので、よりニュートラルにはポーラーというほうが良いようです。と言いながら、ふと感じたのですが、あまり用語にコダワリ過ぎなくていいんですよ。フレスコでイイです。間違えても良いくらいです。あれだけ、文法的な間違いを恐れすぎるあまり、みょうちきりんでナードな完成度で英会話をぎこちなくしてしまう、日本人のメンタリティを鑑みるに、洋服用語を完璧に使わないといかん、という強迫観念からスタートしてしまうと、臆病で神経質な感覚に拍車がかかり、長期的な時間軸で見るた時に、服飾文化の進化にマイナスです。良く学ぶ・研究することがゴールではなく、われわれは、現役の価値(今を生きている価値)つまり良く装うことがゴールですから。学ぶことが教養というよりも、知っていることを含めて “ 装える ” ことが教養です。

自由にどんどん、スタイルについて語る中で、正確な用語使いについての生き生きした、好奇心を持ち続ければよいと思います。絶対的なルールであるとしても、それをやわらかく前向きに捉えて “ 歴史を愉しむ好奇心 ” 程度の優先順位で弛まずコツコツ精進するくらいが、結果的に文化全体をわがものとするように思います。あとは、トラッド・ショップの親切なスタッフに教えてもらえば良いだけのように感じます。って横道に逸れましたが、このポーラー生地、いやフレスコ生地は、生地バンチ(生地を選ぶ際にめくる生地見本ブロック)において、クラスにいる、めちゃくちゃ美人で魅力的なんだけど牛乳瓶底眼鏡(ぎゅうにゅうビン底めがね:この表現自体が昭和すぎる)を掛けている、教室の隅で目立たない女子のような感じです。そして罪なほど地味すぎる佇まいをしていることに要注意です。

これも、スタッフがお教えするしかありません。この生地が、シワになりにくく、(あっても、太くてゆったり流れる良いシワ)ハリ・コシがあって、全体のシルエットをゆったり形作りやすく、落ち着いた生地であることは非常に気づきにくいです。発色も深く落ち着いていて、いい空気感を作ります。強捻の3プライ、4プライとありますが、少々重い感じなのですが、涼しさも確保されていて、優秀な生地といえます。たいがい、皆、最初の印象のギャップから完成品に驚き、そして気に入ります。このことで何が言いたいかと言うと、いつも顧客の好みにばかりに寄り添って、叶えまくり100%の存在でいると、顧客が装いの豊かさや美意識が育つ機会を損失することになるという、わかりやすいパターンだということを言いたいです。

たびたび、言っているように、オーダーメイド(カスタム)服一年生の脳みその中は、一般的には、セレクトショップの商品の知識と、ファッション雑誌の移り行く情報で出来上がっています。つまり、在庫を売るミッションのある、セールス・トークと、クライアントのCM・プロモーションをしないといけない立場からのポジション・トークを、“アドヴァイス”だと勘違いしている脳みその状態にあります。トラディショナルな服飾業界人であるならば、一旦ここをリセットしてさしあげてから、最低限の基礎知識、ルールを教えるという商売から離れた義務からクライアントとの関係性をスタートさせる必要があります。

世界的な傾向として、サラリーマン社長が、クォータリー(四半期)で、おのれのために短期的な利益を取り逃げする、短期的利益を確定しようとする。そして投資家がそれを期待し応援し促進させ自分が乗っかる。そんな行き過ぎたグローバル・ビジネスの悪しき側面(Greed is good principle )が、長期的な視野で育てるべき、あたかも美しい森林のように涵養すべきものである装いの文化を食い尽くします。刈り取りのみ一点に病的に精を出す(ためのマーケティングの終わりなき追及)、その状況が今です。ヘッドハントされてきた経営陣は、以後10年間の会社の運営に定量的に責任を持つ仕組みが必要なのかもしれません。

そんな立場主義、自分(=エゴ)という立場では最大に利益を上げ、全体では損失をしている、部分最適・全体損失が会社人の裏メニュー的な本音の価値感になりつつある昨今です。

さらに、昨今、日本の政治家のスーツ・スタイルが、あまりに酷いので、もはや、どんどん発信しないと間違ったお手本を日本中に振りまき、このままいっちゃいそうな、そんな暴走っぷりです。



昨今、このような美しいブルーもちょっとしたブームになりつつありますね。1トーンで秋冬はハイエンド・モデルを作っています。秋冬は、以前おもしろがって挑戦してみた動画もありますが、最高級カシミアでのビスポークのタートル・セーターもあります。タートル部分、袖丈、着丈などたて寸を中心にカスタムできます。昨年は実はシルバー・フォックス・ファーも企画製作しました。あといくつか企画したいものが湧き上がってきました。やはり、スニーカーもどうも、納得できないので、いずれ、コットンかレザーの白スニーカーを作らねばならないと感じています。さいきん、いいT-shirts などを作っているメーカーが出した2色使いのスニーカーを見てつくづくそう決心しました。やっぱり、つくらないといかんと。。近々、運営が簡単なヤフー・オークションでカフリンクスやボウタイの販売を始めます。7月の予定が、やはり8月になってしまいました。そこそこの忙しさの中で、最近フェイスブックで世界各地のあちこちをサーフしており、世界へと好奇心が拡大し、しょっちゅうチェックしているために、極端な電話嫌い・メール嫌い(よくそれで接客業が成立していると呆れられるものの)連絡もずいぶん進歩していると思います。もう一息の努力で社会人適応レベルまで行けそうな予感です☆





2016/07/11

2016年の夏は、ハットとホワイト・レザー・シューズでドレス戦を制圧





1930'sのお気に入りの優雅な佇まいです。エドワードエクリュでは、ドレス文化やスーツにおける重要な用語である、Drape : ドレープ という言葉に関して、従来のように、“ 襞・皺 (ひだ・しわ) ” とは訳さずに、“ ゆらめき ” と訳しています。そのようにクライアントにも話しているんですよ。


だって、そっちのほうが、全体観あるし、なによりステキでしょ?皺(しわ)って、べつに僕はアンチ・エイジング信奉者でもありませんが、いやむしろ、エイジング派なのですが、ゆとり幅があって、風にふわふわ揺らめいて、人の動きに寄り添うようにゆらめく、というほうが、装う人中心の表現だし、装い軸の表現としては自然だし正確だと思うからです。


スーツを消耗品としないためにも、最低5年~10年(エドワードでは常に10年目標・ただし週一回のローテンション前提、ツイードは50年~100年)は長持ちさせ、経年変化を味わうために、ある程度のゆとり幅でテンションを散らして、生地をいためずに持たせるためにもそのドレープは必要です。ゆらゆらしてることが大事なんですね。


ここ5年くらいの流行のスパイダーマンのような、モジモジ君のようなピタピタではそれは到底かないませんよ。理想は10年着たら、後輩ちゃんに譲るというのが最上級の理想系です。体型の似た後輩ちゃんのチューターになってあげて、1~2万円くらいで、下取りしてもらっても良いと思いますよ、きちんとパーフェクトにナチュラル・クリーンでクリーニングしてお直しして。。。




ところで、今年2016年の装いの栄えあるチェッカー^フラッグは、以下のたった2点の注意ポイントで制圧できると考えてるんですよ。まずは、世の中のちょっとバカバカしいけど(つきあってあげるか、って程度の)対応すべき、Cool_Biz 、やばい。。。数年アンチ・クールビズと言っていると、だんだん、クール・ビズという言葉がなんだかヴィンテージ感出てきて、80年代のダサかっこいい歌謡曲みたいに思えてきて、きらいじゃあなくなってきた(笑)。。

。。という話はとりあえず、置いといて、、、日差しも強いし暑いんでしょうから、ハットを被りましょう、ということです。フツウのパナマで充分です。太陽燦燦で、日本人の漆黒のヘッド部分を直射日光に当てて、熱して、沸騰させておきたい理由は何かありますか?ほかと違っていると嫌だ、という臆病な横並び精神に過ぎませんね。必ずしも、ボルサリーノである必要ありません。若者はノーブランドで結構です。むしろそれくらいストイックなほうがイイ。。

さて、もう一点は、靴です。今年のコードレーンやシアサッカー的な白系のスーツにはどうしても、明るい色の靴を挿したいところ。ここで、きちんとグッドイヤー・ウェルトの自分用のサイズの合ったホワイト・レザー・シューズを持っているか、いないか?二つに一つですね、これ。ハッキリしています。スニーカーでハズシといって、ニューバランスあたりで、ヒネリでお茶を濁すか、どうか。一応持っていることが大事です。この2点になります。

上は、エドワードは10年くらいずっと定番のホワイト・レザー・ツインバックル、バックル部分は金、というモデルです。これは通常のレザーとヌバックがあります。白とこの生成りの革生地の色がよく合うんですよ、それとこの金のバックルが最高に粋な組み合わせです。これをここ数年でしきりと採り上げたのは、女性誌のFUDGE というお洒落な雑誌でした。往年のマガジンハウス社の女性誌“オリーブ”になれるか、ってなもんでした。上は、アーチストのitu' ( イトゥ- ) が、アート・クトゥールする前のもの。エドワードエクリュで何足つくったかわからない、夏の定番です。




番外編:

これは2010年6月ごろですが、このころはitu' はあらゆるクラシック・ドレッシングやヨーロッパのリュクスな色やスタイルを体験し尽くすべくエドワードが挑戦的に提案していた時期でした。すでに6年前ですが、現在世の中で流行っている、8分丈を、シャイニーな、サテン生地で作っていました。この生地は、英国・ハリソンズ・オブ・エジンバラの元の会社、ダンスフォード社のライニングを使用していました。彼はドレススタイルのほぼ全てを体験している、と僕は認識しています。

それをさらに裏使いしたりして。。。靴は、絶対に素足でよろしく、ということで、レペットのジジを10足くらい所有していたはずです。今見ても、切れ味良い美しい(お互いがお互いを際立たせ合う・pale:ペイルは蒼みがかった寒色の蒼だから、ピンク表面の蒼を拾って、ボトムの青へとつづく)配色です。このころ、彼はライム・グリーンのランボルギーニ購入前のアルファロメオでした。ジャケットはキメの限りなく細かいヴェルヴェット、Pale Macaroon Pink (ペイル・マカロン・ピンク)で、上がふわふわヴェルヴェット、ボトムはスリーンなロイヤル・ブルーという世界中のゲイ・ピープルが大喜びしそうなすばらしい配色です。

2016/07/10

デザインは無口なほうがイイ





車や航空機のボディのデザインは空気力学や全体の機能・役割を考えた上でのシンプルな意匠になることが多いですね。あたりまえの機能という最低限の要素を満たすためのデザイン。だからこそ、デザイン過多になることがなく、潔くて無駄がない。最短距離で、立体を形作る3次元の美しい曲面になるのでしょうね。ひとつひとつのパーツがおしゃべりし過ぎると、全体の調和が乱されます。全体観が失われます。

ひとつひとつのパーツ(パート)が、おのおの自分の役割を粛粛と果たし、それらが全体として組み上がった時、それはつるんとしたシームレス、切れ目の無い美しいシェイプになります。まるで野生の動物のように。洋服のコーディネートも同じだと考えます。ひとつひとつが、おしゃべりだと、全体が演奏のヘタクソなイケてないチンドン屋のようになります。

今の世の中、そっけないくらいクールなふつうのビジネス鞄ひとつ買うのでも、すごく苦労します。デザイナーもバイヤーも、店頭でほかと比べて目立つ、売り場で一番輝く商品を企画するのでしょう。そっけないくらいの普通のデザインで、クオリティ高いものとなると、これまた僕が半ばブチ切れながら、作り始めることになります。顔も見えない、世の中の鞄デザイナーたちに向かって 、なんで正攻法でクラシックなテイストで作ってくれないんだ!とぼやきながら企画・製作し始めることになってしまいます。




と思っていたところで、偶然神宮前のユニオン・ワークスさんにて発見しました。さっそく顧客に伝え、というか無理やり連れて行き、購入をすすめました。こんなふつうの真鍮の金具は、昨今皆目見かけることがなくなりました。有楽町でも新宿でも、いざバッグを探すとなってもたいがい、鏡面仕上げとマット仕上げを混合させた、一工夫入れた、より手間を入れた、モノづくりアピールしている、クドイ、デザインばかりになります。

この真鍮の金具の素朴でそっけない感じ、これが最高です。これで、この手は僕が開発する必要がなくなりました。蓋の縦の長さと、鞄全体の天地の長さとの比率がイカしています。これが、蓋の天地が、ちょっと短いところが粋ですね。軽快さが感じられます。そのニュアンスだけで充分デザインです。金具にひと工夫いらないし、本体の意外なところの切り替えしなどの一切必要ないです。

持ち主は、全身一式エドワードエクリュの、ドレッサーでもある、Kanji君でした。エドワード的には、今後のスーツの生地に関して、春夏は、淡いハイ・トーンのグレイ ⇒ 淡いサンド・ベージュ ⇒ 淡いラベンダーという風に、春夏のスーツもヴァラエティが増えていくと思います。すくなくとも、夏場は淡い色、明るい色、白系の色へと、おそらく定番は変化していきますので、こちらを読んでいただいている顧客の皆様、あたまの片隅に入れていてくださいませ。