2009/03/17

優雅で軽やかな 『マンダリン・カラー』


Mao collor(マオカラー)
マオカラーとは、中国人が着ている人民服にヒントを得て作られたスタンド・カラーの一種。マオカラーはステンカラーと同様の、立ち衿が外側に折りかえった形のものを指し、ファッション用語の分類では「チャイニーズ・カラー(マンダリン・カラー)」と同じ意味とされる。

上着に限らずブラウスなどにも用いられ、第一ボタンまで留めて着ると清楚な印象の胸元が演出できる。マオとは、中国の元主席・毛沢東の名前(マオツォートン)から由来している。

同じような衿を指した言葉に、「ネール・カラー」というものもあるが、こちらの呼び名はインドの元首相・ネール(Panditjawaharlal Nehru)にちなんでおり、インド政府の高官たちが着ている上着の衿を模したものを指す。(※All Aboutのファッション用語集より)

カッコイイ、マオカラーとしては、ベルトルッチ監督の『ラスト・エンペラー』での溥儀役のジョン・ローンのイメージがあります。僕自身、大学生時代にサークルの先輩からもらった、イン・アンド・ヤンというブランドの“インセンス・プラクティス・オブ・サイレンス”(われながら良く覚えているのは、ブランド名が素敵だったから)の、ジャガードのマオ・カラーを一張羅にしていました。しかし昨今、マオカラーに関しては、実は正直ちょっとどうかな~?という印象がありました。

数年前にAPCがマオカラーモデルを出して、着こなし次第で、スッキリしたアイテムなんだな、という印象を持って数年経っていました。何も、日本の料理研究家や、建築家、陶芸家だけの専売特許じゃないんだ、という感じを持っていました。

今年、60代前半の横浜在住のダンディなD氏(おしゃれなA嬢のこれまたおしゃれな義父)から、MartinSons&Co.マーチンソンのENGLISH FLANNEL Woollen Spun 18/1,Wool 100%,400gmsのミディアムグレイ生地で、マオカラーのお仕立てを承りました、さすがですね。ご本人もすでにおしゃれ上級者であられ、服飾関係に進む可能性もあった、という青春時代を過ごされており、こちらのほうで、学ぶことがいくつもありました。

アイリッシュ・ツイード、ドニゴール・ツイード、、、しょっぱなから飛び出す話も本気モードで、自宅に帰り、あわてて服飾辞典で確認ということが何度かありました。そして、出来上がった柔らかい雰囲気、しかしながら、ジャストサイズのマオカラー。とても上品で、クールな装い。

エドワードでは、この秋冬に、スポルベリーノ仕様でマーチンソンをいくつもお仕立てしましたが、コートというよりも、軽いジャケットのように着て、さらに、スポルベリーノを着たままレストランで食事できる、というスイーツ男爵K氏の言葉がずっと頭にあったので、いろんな場面でそれを検討していました。

フラノの場合、基本的にアウト・ドア、野良着なのですが、きれいに&軽く仕立てられて、爽やかな印象のあるフラノのスポルベリーノの場合、レストランで着たまま食事もアリ、ではないかと考えます。

もちろん、通常の艶系のソリッドな生地のほうが、ロングジャケットっぽく、レストアランのスタッフは迷うことなく、コート預かりではなくそのまま席につかれる客様を見ておられるのでしょうが、フラノの場合は、もしかすると、スタッフによっては違和感を持つ(あれ?このお客様はコートのままでお食事されるのか?)ということも50-50で考えられます。

そのあたりは、挑戦の要素もありながら、進取の気鋭でドレスコードを拡大させていけると楽しいですね。

写真上)素敵な英国風のインテリアに囲まれた横浜の自宅にて。昨年末は最高にセンス良い、暖かいクリスマスパーティーを体験させていただきました、ありがとうございます。

下)ボタン選び、野外の太陽光での確認も熱心に。この雰囲気、一朝一夕では醸し出せません。若造はとうてい敵いません。


2 comments:

  1. 一時期マオカラーをユニフォームにしようと考えたのですが、恰幅がいい人間が着ると某栄養学校の方に見えてしまいまして(苦笑)、やっぱりスリムな方じゃないと綺麗に着こなせないのかなって思ったりして。
    これを綺麗に着こなすのは至難の技ではないでしょうか?

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  2. おもしろいですよね、マオカラーは、気楽な感じに見える方と、皇帝のような威厳のある感じに見える方とおられます。素材と全体の作りの問題で、肩やカラーをやわらかく作ると前者に見えて、構築的にカッチリ作ると、後者に見えます。ちなみに、この写真のD氏は、肩線を上品に見せるちょうど良い感じのパットを入れ、襟は柔らかく仕上げています。その方の佇まいと、それに沿った全体のバランスが大切ですよね。

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