2017/03/18

おしゃべりしながら、スタイルを考える場所





オートクチュール・メゾン・コペル。
その雰囲気を上原さん(以下コペル)と星さんに伺いつつ書きました。

最初は “ おまかせ ” からスタートするのが一番賢いですね。おしゃべりしながら、ヒアリングしながら、作り手側がクライアントのお話を傾聴しながら、徹底的に考えて作ります。クライアントは、作り手にゆだねて、それに一度は乗っかっていただけるとありがたいです。

自分が似合わないと思い込んでいた色や素材、そのあたりも、一度プロに任せてみると新鮮なイメージのフローが起こります。キマリ事のない世界で色や素材を選んで、キマリ事のあるスタイルの世界でそれを出現させてみる。。。スリルがあって、とってもロマンティックな自分への冒険です。

とくに自信を失くして傷ついているケースが多いのですが、標準体型から外れている自分自身の体型について前向きに認識するというコツです。自分の特長を最大限ひっぱり出す、ふくらませる、育ててみる。既製服では、標準体型からはみ出した個性を全部封印しています、もったいない。いたわってあげてくださいませ。

たとえば、上のNさんの場合は、肩から上は昔の舞妓さんのように、小さくて丸い顔、細くて長い首、なで肩、と和風のつくりなのですが、長い腕だけは、アングロサクソン風だったりと標準値から外れている部分があります。そこを黄金率の変数として捉える、ということも大事です。彼女の場合は、ボレロというアイテムになりました。軽快に動く腕を個性にする方法。




マヌカンとしてコペルのショーでもたびたび登場する、Fさんの場合も着物が似合いそうな全身のシルエットですが、ビューティーの研究家ということもあって、体型管理にストイックです。彼女の顔、首、肩はお着物似合いそうな傾向なのですが、全身では健康的なメリハリのある体型をされています。それをコペルのほうでホルダー・ネックとしてアウトプットしたりしています。歩き方や表情や主に着用している場所で、どういうアイテムを企画するかを考え始めます。起点がモノではなくて、着用者自身というところが大事です。




コペルのミューズでもある、Harunaさん。年間を通じて、季節の装いをコペルは提案しています。シックな黒から色彩を愉しむシリーズまで。黒柳徹子さんばりのコペルのお喋りにも、たびたび付き合ってくださっている模様。細身の華やかな佇まいの彼女に似合うドレスということで、過去のメゾンのアーカイブをさんざん研究している様子です。アマゾン時代の昨今にも関わらず、NYからたくさんのアーカイヴ書籍を買い込み、ああでもない、こうでもないと皆で装いの研究に余念がありません。




オーガンジーのブラウス。クラシックなブラウスはとても贅沢なアイテムです。仏エルメスでオーダーすると価格的にも大変贅沢なことになります。英ジョン・ロブのビスポーク分くらいではないでしょうか。これも日本で、アトリエで作るとなると現実的な価格になります。手づくり、オーダーメイドのブラウス、素材によって多少価格が変わりますが、シンプルなブラウスは、それだけで上質のニュアンスがあります。素材は上質に、デザインはミニマルに、ニュアンスをふんわりとゆたかに、というイメージです。妥協なくチューニング中です。




Aさん、映画 『セクレタリアト 奇跡のサラブレッド』 からのオマージュで製作したドレス。31馬身伝説名馬のオーナーのドレスを参考にしました。シルク・スクリーンで本体生地を作り、オートクチュールドレスで再現しました。必ずと言って良いほど、大きな成功の一歩手前に大きな試練やピンチがあるという王道ストーリーの映画。31馬身もチギッてくれる馬主もそれまでの苦労を一撃で消し飛んでしまうのではないでしょうか。大井競馬場にて。




神楽坂ベルンにて。金沢からの客人小西さんを神楽坂ツアーに。必ず立ち寄らないとなりません。時々、ベルンでエドワードのお客様の採寸などもしています。僕がいたころは淡いベージュの床でした。最近亡くなられた、内田繁氏の内装はそのまま生かしています。ご実家がテーラーであられた彼女の興味は竹内君がロンドンで買ってきたカフ・リンクスに注がれていました。

自分のために買っているのか、お客様のために買っているのか、もはやその境界線も、とうの昔にわからなくなっている、あいまいな水平線を持つ竹内君。そのあたりが最高に信用できる人物。まず自分が欲しい、欲しくない、って明解な感性が一番信用できます。在庫ですらコレクションの喜びになるわけですからね、売れるのが悲しみになるのは困ったもんですが(笑)そんな力のある商品が並んでいるのは幸せですね。




春夏始まりますね。ヴィンテージのコットン・プリントのドレスもいろんなバージョンあります。しかし、基本デザインはどこかの映画で観た事あるような仕様にしておくのも素敵です。目新しい刺激となる目新しいデザインもいいのですが、主役になるのは服ではなくて、御自身ですから。最近のデザイナーの動向よりオートクチュール・ドレスの話題になると着用者自身の感性のはなし、選択の理由、自然に持っているセンス、魅力的なファッション、それに対する歴史観 (そこまでいくとかなりレベル高い)、そして判断についてのちょっとしたプリンシプルや哲学、といったように、御自身本人にスポットが当たって、影響力が増した、柔らかなフローが起こる時間になりますよ。




あの映画の、あのドレスを

というテーマであっても、何ともロマンティックな~、ということになりますね。それ以上に、そのロマンティックを実現させる力が着用者からその相手に伝わるはずです。自分発信でプレゼンスを作り出している自信のようなものが頼もしく、(小さなことではありますが)想いを達成させたひととして伝わるのではないでしょうか。




メンズのオーダーは、表参道コペルで採寸をやっていることが多いです。基本、紳士ビスポークは、エドワードエクリュの独特のスタイルなのですが、全まかせ、という大胆なスタイルが多いです。全身一式完全製作です。作り手には一番プレッシャーがかかるスタイルですが、一番やりがいがあります。『この予算でスタイルを全開でパワーアップしたい』といってエドワードの口座に突然振り込んで来られる場合は、丁寧に内訳を作って必要なアイテムを企画することになりますが、全体を考えて半期や年間計画を立てるので、一見乱暴のように見えて、結局は、単発買いよりも堅実なオーセンティックなワードローブを組み立てられます。採寸は早めに済ませちゃって、一杯飲みながら服以外のお喋りや、バカ話や世間話したほうが、きっといい物ができますよ。




3つ年上の姉のまさ子さんに経理の仕事をお願いします。自宅に出勤してきてくれるのですが、僕の蔵書も良い本たくさんあるね~といいながら、借りていっておられるようですが、時々自分の本も持ってきています。上の本もそうでした。彼女も僕と同じアナログ人間で、パソコン苦手なので、パソコン使用最低限でアナログ目に経理仕事と、事務所(自宅)の書類の整理や部屋のカタズケまで(コーチング)してもらっています。

非常に優秀なお片づけコーチで助かります。絶対にこのエリア片付かない、という数年来の積み上がりコーナーを解決してくれたり感謝しています。亡くなった父が3月3日生まれだったので、毎月3の日に父を偲ぶという供養も兼ねて、家族会で軽いランチ会を始めたのですが、これがもう丁度2年次回で24回目となります。家族同士の近況アップデートは深い部分のパワーづくりです。




シニア世代、凄いですね。アラハン(100歳)とかですからね。アラサーとかフォーとかフィフというレベルよりもう数段、いってみれば5段上ですからね。もはや、哲学的にならざるを得ません。こりゃスタイル論も深まりますわ。在り方、堂々とされている。シワもまた魅力という世代。カッコいいコメントが多いです。経年進化されておられる。身近な家族もそうですが、知恵を求めるに、遠くに隠された複雑な宝物を求めるのもいいのかもしれませんが、身近な、文字通り近しい友人や、さらに言うと、もっとも近しい家族にシンプルでまっとうな知恵を求めます。生まれた時から50年来の友であるわけですしね。何かと喧騒の世ですから、外に目が行きがちですけどね。姉と母。深い部分のエドワードにパワーを与えているアドヴァイザーです。母83歳。




表参道のアトリエでは、ちょっと前にインスピレーション溢れるシーンが展開しました。15年前、記念すべき一番最初のレディスのクライアントでもあります。友人であるあけみ嬢(左端)。海のものとも山のものとも分からないぼく自身のテーラー業開始時代からの15年来の友人です。彼女とお義母さま(中)のメイミーさん、そしてコペル(右端)です。譲れぬ高い、フランス寄りの美意識でもって、お互い頑固者通しということもあって、喧嘩に近いやりをしたこともありますし、何かのオトシマエ(予約してた生地が手に入らなかったとか)で僕が坊主にアタマを丸めたりと、かなりのドラマがあります。

そのあけみ嬢が仮縫いしている間、お義母様が、コペルのサンプルドレスやコートをどんどん試しフィッティングしだしたのでした。サイズがちょうど頃合いがいいのもあり、さらに世界中のいろんなドレスを着こなしてきた経験からか、着こなす力が溢れておられ、あらゆるサンプルを自由自在に着こなします。どれもトコトン、よく似合っている。。。皆が納得するお似合いぶり。ヴィンテージのマッキントッシュのパターンを参考にした超タイトなコートの仮縫いで、身動き取れないせいもあってその様子をうらめしそうに見ているアケミ嬢。




その状況を見ていて、この絵が理想的だ!と直観したのでした。シニア世代、あるいはやや上の世代、もしくは3、40代の世代にあっても、スタイルづくりに際して、(精神的にも)大人なほど・成熟しているほど似合う、というドレスが理想的だ、と。経年進化して、いくらかお顔にはシワが刻まれておられるかもしれませんし、腰もそろそろ曲がっておられるかもしれない、しかしその堂々した在り方を映えさせるようなドレス。多くのおしゃべりの中でそれがコペルも星さんも皆共通の認識でした。

かなわんな~と感じながら、20代30代は年上に憧れるという姿。ほんとうは、メンズもそうなのですが、シニア世代が今風の若者の格好をしてしまい、ますます若者が調子に乗っちゃう、ナメられている、とか、お母様世代が10代の娘の格好をして、美魔女の私は10代の格好でもイケる、と満足している痛(痛し)い状況にならなくて済みます。大人は大人らしく、若者世代に、そこそこ、どこかしら憧れられるような存在でありたいものです。落ち着いた、上の世代にも優しい社会、それがほんとうは自然なことだと思います。下はあけみ嬢を受け継ぐ第3世代。2010年代生まれ!行く川の流れは絶えずして、、、、、




No comments: