2016/07/11

2016年の夏は、ハットとホワイト・レザー・シューズでドレス戦を制圧





1930'sのお気に入りの優雅な佇まいです。エドワードエクリュでは、ドレス文化やスーツにおける重要な用語である、Drape : ドレープ という言葉に関して、従来のように、“ 襞・皺 (ひだ・しわ) ” とは訳さずに、“ ゆらめき ” と訳しています。そのようにクライアントにも話しているんですよ。


だって、そっちのほうが、全体観あるし、なによりステキでしょ?皺(しわ)って、べつに僕はアンチ・エイジング信奉者でもありませんが、いやむしろ、エイジング派なのですが、ゆとり幅があって、風にふわふわ揺らめいて、人の動きに寄り添うようにゆらめく、というほうが、装う人中心の表現だし、装い軸の表現としては自然だし正確だと思うからです。


スーツを消耗品としないためにも、最低5年~10年(エドワードでは常に10年目標・ただし週一回のローテンション前提、ツイードは50年~100年)は長持ちさせ、経年変化を味わうために、ある程度のゆとり幅でテンションを散らして、生地をいためずに持たせるためにもそのドレープは必要です。ゆらゆらしてることが大事なんですね。


ここ5年くらいの流行のスパイダーマンのような、モジモジ君のようなピタピタではそれは到底かないませんよ。理想は10年着たら、後輩ちゃんに譲るというのが最上級の理想系です。体型の似た後輩ちゃんのチューターになってあげて、1~2万円くらいで、下取りしてもらっても良いと思いますよ、きちんとパーフェクトにナチュラル・クリーンでクリーニングしてお直しして。。。




ところで、今年2016年の装いの栄えあるチェッカー^フラッグは、以下のたった2点の注意ポイントで制圧できると考えてるんですよ。まずは、世の中のちょっとバカバカしいけど(つきあってあげるか、って程度の)対応すべき、Cool_Biz 、やばい。。。数年アンチ・クールビズと言っていると、だんだん、クール・ビズという言葉がなんだかヴィンテージ感出てきて、80年代のダサかっこいい歌謡曲みたいに思えてきて、きらいじゃあなくなってきた(笑)。。

。。という話はとりあえず、置いといて、、、日差しも強いし暑いんでしょうから、ハットを被りましょう、ということです。フツウのパナマで充分です。太陽燦燦で、日本人の漆黒のヘッド部分を直射日光に当てて、熱して、沸騰させておきたい理由は何かありますか?ほかと違っていると嫌だ、という臆病な横並び精神に過ぎませんね。必ずしも、ボルサリーノである必要ありません。若者はノーブランドで結構です。むしろそれくらいストイックなほうがイイ。。

さて、もう一点は、靴です。今年のコードレーンやシアサッカー的な白系のスーツにはどうしても、明るい色の靴を挿したいところ。ここで、きちんとグッドイヤー・ウェルトの自分用のサイズの合ったホワイト・レザー・シューズを持っているか、いないか?二つに一つですね、これ。ハッキリしています。スニーカーでハズシといって、ニューバランスあたりで、ヒネリでお茶を濁すか、どうか。一応持っていることが大事です。この2点になります。

上は、エドワードは10年くらいずっと定番のホワイト・レザー・ツインバックル、バックル部分は金、というモデルです。これは通常のレザーとヌバックがあります。白とこの生成りの革生地の色がよく合うんですよ、それとこの金のバックルが最高に粋な組み合わせです。これをここ数年でしきりと採り上げたのは、女性誌のFUDGE というお洒落な雑誌でした。往年のマガジンハウス社の女性誌“オリーブ”になれるか、ってなもんでした。上は、アーチストのitu' ( イトゥ- ) が、アート・クトゥールする前のもの。エドワードエクリュで何足つくったかわからない、夏の定番です。




番外編:

これは2010年6月ごろですが、このころはitu' はあらゆるクラシック・ドレッシングやヨーロッパのリュクスな色やスタイルを体験し尽くすべくエドワードが挑戦的に提案していた時期でした。すでに6年前ですが、現在世の中で流行っている、8分丈を、シャイニーな、サテン生地で作っていました。この生地は、英国・ハリソンズ・オブ・エジンバラの元の会社、ダンスフォード社のライニングを使用していました。彼はドレススタイルのほぼ全てを体験している、と僕は認識しています。

それをさらに裏使いしたりして。。。靴は、絶対に素足でよろしく、ということで、レペットのジジを10足くらい所有していたはずです。今見ても、切れ味良い美しい(お互いがお互いを際立たせ合う・pale:ペイルは蒼みがかった寒色の蒼だから、ピンク表面の蒼を拾って、ボトムの青へとつづく)配色です。このころ、彼はライム・グリーンのランボルギーニ購入前のアルファロメオでした。ジャケットはキメの限りなく細かいヴェルヴェット、Pale Macaroon Pink (ペイル・マカロン・ピンク)で、上がふわふわヴェルヴェット、ボトムはスリーンなロイヤル・ブルーという世界中のゲイ・ピープルが大喜びしそうなすばらしい配色です。

2016/07/10

デザインは無口なほうがイイ





車や航空機のボディのデザインは空気力学や全体の機能・役割を考えた上でのシンプルな意匠になることが多いですね。あたりまえの機能という最低限の要素を満たすためのデザイン。だからこそ、デザイン過多になることがなく、潔くて無駄がない。最短距離で、立体を形作る3次元の美しい曲面になるのでしょうね。ひとつひとつのパーツがおしゃべりし過ぎると、全体の調和が乱されます。全体観が失われます。

ひとつひとつのパーツ(パート)が、おのおの自分の役割を粛粛と果たし、それらが全体として組み上がった時、それはつるんとしたシームレス、切れ目の無い美しいシェイプになります。まるで野生の動物のように。洋服のコーディネートも同じだと考えます。ひとつひとつが、おしゃべりだと、全体が演奏のヘタクソなイケてないチンドン屋のようになります。

今の世の中、そっけないくらいクールなふつうのビジネス鞄ひとつ買うのでも、すごく苦労します。デザイナーもバイヤーも、店頭でほかと比べて目立つ、売り場で一番輝く商品を企画するのでしょう。そっけないくらいの普通のデザインで、クオリティ高いものとなると、これまた僕が半ばブチ切れながら、作り始めることになります。顔も見えない、世の中の鞄デザイナーたちに向かって 、なんで正攻法でクラシックなテイストで作ってくれないんだ!とぼやきながら企画・製作し始めることになってしまいます。




と思っていたところで、偶然神宮前のユニオン・ワークスさんにて発見しました。さっそく顧客に伝え、というか無理やり連れて行き、購入をすすめました。こんなふつうの真鍮の金具は、昨今皆目見かけることがなくなりました。有楽町でも新宿でも、いざバッグを探すとなってもたいがい、鏡面仕上げとマット仕上げを混合させた、一工夫入れた、より手間を入れた、モノづくりアピールしている、クドイ、デザインばかりになります。

この真鍮の金具の素朴でそっけない感じ、これが最高です。これで、この手は僕が開発する必要がなくなりました。蓋の縦の長さと、鞄全体の天地の長さとの比率がイカしています。これが、蓋の天地が、ちょっと短いところが粋ですね。軽快さが感じられます。そのニュアンスだけで充分デザインです。金具にひと工夫いらないし、本体の意外なところの切り替えしなどの一切必要ないです。

持ち主は、全身一式エドワードエクリュの、ドレッサーでもある、Kanji君でした。エドワード的には、今後のスーツの生地に関して、春夏は、淡いハイ・トーンのグレイ ⇒ 淡いサンド・ベージュ ⇒ 淡いラベンダーという風に、春夏のスーツもヴァラエティが増えていくと思います。すくなくとも、夏場は淡い色、明るい色、白系の色へと、おそらく定番は変化していきますので、こちらを読んでいただいている顧客の皆様、あたまの片隅に入れていてくださいませ。



2016/07/02

東京の粋なB面、神楽坂を絡めながら、おしゃべりあれこれ、




2016年になってからですかね、仕事でもプライベートでも、すこし心境の変化がありました。世の中的にも、2016年と2017年は大きな変化の年、それも、いままでの既存価値観レイヤーが壊れるような変化・変革がおこるように思います。

ちらほら、世界でその兆候も現れ、身近な友人・知人たちもシンクロニシティを起こし始め、今までと違う生き方のレイヤーに移る人々が現れはじめました。おもしろいですね。

やりたいことを今、もうやっちゃう、というような。年取ってから、と言っていた、白い麻のスーツにパナマハット被るスタイルを今やっちゃう、みたいな。ぼくらDresssir@:ドレッサーにとってはそれはふつうではあるんですが。

しかし、これは、いったいどういうことなんでしょう?

いよいよ地球も後半戦に入ったということを人類が無意識に察知しているのでしょうか?そろそろヤキがまわり切るよ、と。人間のGreed is good哲学の問題で、と。やりたいこと、後半にもってくると条件が今より厳しくなりそうだよ、という暗黙の予想なんじゃないでしょうか。

後生大事に取っとかずに、この世に生まれてきて、一番やりたかったことを早いとこやっとこう、早めに取り掛かろう、そういう戦略に変えてきたんじゃないかと仮説を立てています。自分のテーマで、人生をすぐ生き始めるというような。あとに取っておく意味がほとほと見出せなくなったのかもしれません。

我慢くらべのように、狂気ともいえる暴走列車・競争列車に(なにかがおかしいと感じながら)しがみついていることを止めて、ようやく本来の正気の自分に戻って時間を忘れて自分の道を進む。

そうですね、競争というよりも、シンプルに『 正気(しょうき) 』 に戻る、という方向性だと感じます。小さなスキマを見つけて徹底した差別化で命を削るように頑張るのではなく、ノボセ上がっている人間のほっぺたをパンパンと叩いて、ふつうに戻る、というか、本来にもどる、基本にもどる、というような。永遠に満足することなく優れたモノやサービスや儲けの仕組みを優位に作り出す、という行き過ぎた思想が世の中を行きにくく、不便にしているように感じます。

たとえば服飾業界にしても、ほとんどの人にとって、もとはお金儲けではなく、好きで入った洋服の世界のはず。せいぜい服飾業界くらいは、まともに戻ってフツウに良いものを、適量作って、だれも苦しめない適正価格で販売して、過度にコストや競争戦略で、人間じゃないくらい頑張りすぎて、おかしなことになるのをやめようよ、と思います。

今まで、エドワードは2001年創業以来、大百貨店やセレクトショップ、ファッション雑誌を仮想敵国に想定して多分に反逆するモーチベーションを力に変えていた部分がありました。しかし昨年2015年末、老舗百貨店の関係者に一定の評価をいただき、これまた直接話してみると、非常に謙虚で友好的で、尊敬すべき紳士であったこともあり、仮想的国が崩れてしまったのでした。

いま、必要なことは、過当競争に勝つことではなく、ある意味、その競争フィールドを去って、業界全体が正気に戻る、というようなことじゃないかな、と感じたのでした。そして、次世代は競争力優位であっても、競争というフィールドにいること自体が、新しい自由な価値観によって時代遅れにされていく、という未来が来るのかもしれないと。他の業界と競争すればよいのではないかと。より、正気にまともに、ふつうに余裕をもってまっとうなビジネスをしている業界になることの一助となるような。

ゆったり、気持ちに余裕をもって生きられる世界。たとえば、2016年現在の日本(のマスコミが作り出す全体人格)を “ ひとりの人間 ” にたとえるとしたら、どんなマインドの人間になるだろうか?倫理的な人格評価が大好きな、アゲアシ取りの、他人にはものずごく厳しい、あら捜しが大好きなタイプの人間といったキャラクターなのかな?  いやはや~ できることなら、距離をもってつきあいたい、というかできることなら付き合いたくない。。。って、ことは今の日本とつきあいたくない?ってこと?う~ん、むずかしいな~




現在は、長野の松本の田舎で育てているエド・ジュニア、コードネーム:Scottくんと竹内君です。徐々に慣れてきてついには膝にのっかるほど調子に乗って慣れてきました。​國枝くんや竹内君に、オレ(オにアクセント有)とかけっこするか?とパパの知らないところで、男子力を発揮している模様。ひたすら走らせているので、かけっこだけは自信があるらしいです。8分丈だの、ケミカルな発色の洋服だの、わからんドメスティックブランド服だのパパは全然こだわらずに、親類のお古が流れてきたままに、素直に使わせてもらって、雑草のように育てております。時々パパがヨーロッパからポツリポツリとおしゃれなブルゾンを買ってきたりしますが、失くしたりしています。それくらいでちょうど良いと思っています(笑)




下の子、は12月24日生まれなので、マリアとつけました。だって、世界中で一秒で覚えてもらえますよ。おいしいです。僕は神道なんですが、神道は宗教ではありませんので、日本人の融通効く感じで、そういうふうにつけました。Berun前の、いまや神楽坂で大人気のイタリアン。スタジオーネ・フルッティフィカーレです。こちらは、成田くんというエドワード杯・手結びボウタイチャンピオン選手権大会で第7位と獲ったナイス若紳士が店長をつとめております。どんなムリ目の無茶振りギャグにも、切り返す反射神経の持ち主です。ちびっ子ギャング2名の来襲を受け、まるで、ハロウィーンの風習のように、ジュースを外テラスでいただき、収めようと試みていた模様でした。




さて、ここからは子供は入れません。大人の紳士の世界です。神楽坂ファミリーの夜ジェントルマン部門を一手に引き受けてくれる、吉田氏です。かれこれ、神楽坂の夜で、夜のマダム・パピヨンたちとともに良きお酒でも飲みながら語り合いたい時には間違いなく蝶グループということになります。
2013年にアジア向けのCEO雑誌に僕が1年弱、挑発するようなスタイルで、紳士のクラシック・ドレッシングの方法論と神楽坂の紳士の遊び方を執筆した際も、こちらでのエレガントな遊び方・作法を書きました。こちらも、ニュースレターにして、近々クライアントに配ろうと思います。

昨今のジェームズ・ボンドが置き忘れてしまった、古き良き殿方の粋な遊びエッセンスを込めたつもりです。さて、このピアノ・バー、全部で6店舗あるキレキレの蝶グループにおいて、毘沙門天そばのフランス(では実はフツーのパン屋)のPaul のビルの地下にあります。そこでは、端正に白の麻のポケットチーフをTV フォールドにした、凛々しい吉田氏(コードネーム:リンちゃん)が頼もしく出迎えてくれるはずです。


エドワードエクリュのタグをチラッと見せて、今日はこのモードで!と符牒を言うと、ある男気キャッチボールのフォーメーションに入ります。御興味あるクライアントにはお教えいたします。ある意味、危険でもありますので、事前解説も必要になりますが、資本主義を超えた、ビジネスを超えた価値を追求するエドワードエクリュでは、共感するサーヴィスではないかと思って、特殊なアライアンスを結んでいます。いつでも、お尋ねください。