2013/07/30

Se balader sur un arc en ciel          虹の上を歩く

 
 
 昨年からお客様であられるI氏。氏は少々足にハンディ(一般的・理解の最大公約数な表現にて失礼いたします)をお持ちで、可動域などにも特別な注意が必要となります。

しかしながら、オーダー一着目は、敢えてそれらの要素をそれほど加味せず一気にパンチのあるゴージャスなキャメル地の3ピース・スーツをお納めいたしました。
もちろんタイ・シャツまでオリジナルで合わせて、DRESSSIR®としてミッションを果たすべく着付いたしました。最初の1着は決して普通のスーツにはすまい、と決めていました。

1着目に未知の高揚感を感じられておられたご様子でしたが、2着目3着目、この時点では固めに、エグゼクティブな風格を感じさせるビジネス用スーツをおつくりいたしました。氏の仕事においては必要十分のアイテムです。

そしてこの春夏はココでいったん一区切りかと思いましたが、私は夏用白系(盛夏用の白っぽい3ピース)のスーツを作ることを強くレコメンドしました。夏の紳士にふさわしい白地に淡いグレーの麻素材のコードレーンの3ピースです。

確かに2着目3着目のビジネス・スーツは、ビジネスにおいては必要十分の役割を果たしておりましたが、彼のポテンシャルに満ちた “人生全体において” はたしてそれは必要十分条件であるか?という問いとともに、絶対的に不足している何かを感じました。

ご了承いただき、夏白系のスーツの納品の日に神楽坂の帽子店にて購入したパナマハットを合わせて徐々に、優雅なプレゼンスが出来上がってきました。

しかし、まだ何か足りない、、、、

あれこれ思いあぐねつつ、ジグゾーパズルの決定的な最後の1ピースに気づきました。。。クールなステッキだ。

ステッキという答えにたどり着いた瞬間には、そのステッキのデザインや材質がはっきり映像として浮かびました。数年前、僕自身がビスポークした英国FOX社の銀無垢のアニマルヘッド(馬)の傘での体験が生きました。持ち手を握るタイプのシンプルな銀製の黒い支柱のステッキ。

ステッキ購入においても、サプライズながら、イイ出会いがありました。赤坂見附ニューオータニ内、“ ブティック・ロイ ”  こちらのオーナーが、これまた素敵なセンスとマインドのマダムでいらっしゃいました。人生は常に想定外のQuestです、つくづく物語は良くできています。

ステッキの高さ調整カスタマイズのための待ち時間、こちらのオーナーママOさん。意気に感じて僕ら2人をホテル内のレストランにつれていってくださりました。パフェ(笑、役回り的に息子たちとお母様?失礼、お姉さま。)をごちそうしてくださいました。

I氏のプレゼンスがステッキの画竜点睛によって完成したことなどを話すと、大いに感動され、共感してくださりました。まるで、必然的に僕からOさんにバトンが渡ったようでした。。

さっそく彼女は、慣れないI氏のステッキでのウォーキングレッスンを買って出られました。驚くほど美しい脚(朝起きてやるべき脚の運動理論など明快で、説得力あるものでした)の超美魔女(ミーハーな表現を勘弁願います)であられました。もちろん、紳士のステッキ使いもよくご存じでいらっしゃいます。


ここで僕は次アポがあったため、その時間まるごとのお付き合いをすることはできませんでしたが、あとで聞くとオータニのメイン・ロビー廊下を、通行人や他店舗のスタッフたちの不審げな目線を一切気にすることなく1時間に渡って、決然たる様子で、感動的なスパルタ・レッスンが続いたそうです。まことにありがたいことです。感謝いたします。

僕自身トレーニングを数分間見ていたのですが、ここで大いなる発見がありました。そもそもI氏は、まわりに気づかって、ひじょうに急いで歩いておられたようです。そして、あえて杖も持っておられませんでした。自分(が他人に気づかう)目線と他人(がある程度客観的に見る)目線の違いがここにあります。

そのせいで、動きが非常に大仰になったおられた。上下運動・回転運動が激しくなってしまっていたようです。まず、周りの安全を確認することは前提としても、意識を少々変えて、世界は自分のためにある、といったん考えて見られてはいかがでしょう、、、と。無理のない範囲で、動きがとてもスムーズで平行移動、優雅になられたように感じられます。


真夏の昼間、ゆっくりと、ステッキを使って歩く、、、、絵になる風景です。ご婦人とすれ違う際に、悠然と立ち止まり、帽子をちょこっと持ち上げて、ご挨拶。白昼夢的かもしれませんが、それもまたラブリーな光景ではないでしょうか。

自分の世界を大事にしながら愉しむようにゆっくりと歩く特権的スタイル。うつくしいステッキを持った紳士がゆっくりと歩く姿は、まるで虹の上を歩いているよう。ふつうの人間には虹を歩くことはできません。虹は壊れやすいもの。不思議な力で虹の上の小道を、エレガントにゆっくり歩く、、

そんなシンプルなフレーズが浮かんだので、マダム・ミヤビに仏訳してもらいました。すてきなフレーズならすぐ覚えますよ。

Se balader sur un arc en ciel
スゥ バラデ スゥール アン ナルク エン シェル

2013/07/24

Jet氏の休日

 
 
やることすべてが、粒立ちの良いネタになりすぎて、むしろ書くのに困る最近のJet氏やフィリップ氏ですが、先週日曜日に会う機会がありました。普段のウィークデイとちがって、たいへん寛いだ雰囲気で、スタイリッシュにキメています。
 
場所は銀座4丁目(交差点、一階がドトール)、三愛ビルの8階にてテラウチマサト氏の富士山をモチーフにした展示会を観に行きました。世界目線、世界感性で日本を鳥瞰しているポップ富士、チャーミングなヌケ感があり最高ですね。
 
最近のJet氏は休日はサイコロを振ることなく(※ここ半年くらいスタイリングはサイコロの意志(導き)により決定している)意図的に愉しみつつスタイリングしているので、安心できるスタイリッシュな雰囲気があります。
 
青山のヴァルカナイズ・ロンドンで、ふと立ち寄った際に見つけた、草木やお花や虫などの柄のリバティー・プリントを使って、エドワードⅧ(ウィンザー公)シルエットのニッカ・ボッカー。そして同じ柄のボウ・タイ(BatWingBow)で首元をあしらっています。淡い乳白色エメラルド色の地。


息子のスコット君はいっしょにベトナムで遊んでもらったりと、記憶があるのか不思議と早々に打ち解けている模様。
やはり見た目にインパクトあると子どもにも覚えてもらえるのかな~。直近号の週刊SPA!で彼のコラムのページで僕個人について書いてくれています。おもしろがっておりますが、ありゃ~少々大げさやろ、、と言うと、まわりはいやいやそのままだ、といいます。

書いてくれた勢いなのかJet氏の担当するニコニコ動画(週刊SPA!編第7回ジャイアンの倒し方)にもゲストで出ています。自分の映像はスタッフトレーニングの際にムーヴィーを使っているのでテレはありませんが、日々の反省になるので、とニコニコ動画を観ようとしていたのですが、諦めました。

有料登録などの手続きを2回、何とかかんとか済ませて、さて見ようとしたら、今度はアドビの動画フラッシュソフトのアップグレード無しに見れないとのことで、数回アッグレードしたものの、その都度、アドビのアップグレード・ページがら先に進むことができません。スタッフに訊いてもわかりません。

その時点で、根気が0%、即解約手続きを開始すると、月極め課金中につき解約できませんとのこと。つくづく、向いていないことがわかりました。こうやってさらに自身のキャラクターが一層宇宙人化するのでしょう(笑)。神がおまえは他のことに時間を使えい!と言っているのでしょう。

いずれにしろ、本当は自分が日常どんな表情をして、会話表現をしているかチェックするのは役に立つことなんですが残念です。神楽坂では26日(金)、27日(土)が神楽坂が阿波踊りがあります。普段ご贔屓いただいている皆様には、休憩サロンとして解放いたしますので、シャンパンで一息入れてください。そして詳しい方がおられましたら閲覧方法をお教えてください。

時間が経つのは早いもので、伊藤氏のためにひと肌脱いだ “ エド紳匠郎 ” から2、3年経ちます。方向性のみ指示を受け、全員脚本無しのノリ一発でたいへん楽しかったです。


2013/07/22

BARBER Talk 床屋談義

 
 
 
髪の毛を切るに際して、理容(りよう)と美容(びよう)2つの世界があります。結論的に、エドワードエクリュにおいては、2001年創業時より変わりなく、“ 理容寄り ”の感覚 をおススメしております。
 
頭を大きく見せてしまうエアリーヘアの髪型や、さらにアウトラインを細く作り込み過ぎた眉毛はクラシックなスーツ・スタイルには向きません。
 
しばしば、お客様で、残念なヘアサロンを利用されたせいで、“ごく直近の”石川遼選手(最近拝見して目を疑いました)のようになってしまわれることがあります。
 
トラウザーズに合わせる白いソックスがマイケルジャクソンにしか許されないように、そもそも作り込み過ぎた眉毛は、夏の甲子園球児の専売特許と決まっております。
 
眉毛はあくまでも、やや素朴に見えるくらいに最低限に整える、という“イイカゲン(良い加減)”がバランスよろしいかと思います。
 
ごく最低限に整える > 何も整えない > 形を作りすぎている 
 
という順番かと思います。舞台俳優、ひいては芸能人はあくまでも演じることを本業としている人間なので、そのルックは、舞台化粧のひとつであって、彼らのスタイルを丸ごと真似するのは現実的ではありません。
 
ここ数年海外においては大手メゾンのファッションショーにおいてもそうですが、ハリウッドスターも(デヴィッド・ベッカムあたりも)、メンズは一斉にヘアサロン的ニュアンスからバーバー(床屋)的ニュアンスに移行しています。やっている人はヘアスタイリストでしょうが、モードのショーでさえ、ニュアンスはクラシックなバーバーヘア、特にスリーク・スタイルです。
 
とりあえずなのですが、東京にはクールなバーバーが悲しいくらいに少ない(過去数十年で、全ヘアサロン化した)ように感じます。美容・理容専門学校を卒業した若者たちの感性が、これまた極端に同質化しすぎている、と感じます。
 
むしろ今後は独自のバーバー・スタイルを打ち立てるチャンスだと思うのですが、若手の方々に健闘していただきたいものです。ぜひ神楽坂にも、いくつかできて欲しいと常々思っております。
 
※)上写真は、ネットで拾ったブラッド・ピット氏。Bat Wing Bow(蝙蝠:コウモリの翼の形をしたボウタイ)、つまり、上辺の弧が直線に近く、下辺にボリュームがあり、垂れ下がるようなシルエットをしているボウタイ。最近のエドワードエクリュのフォーマル時のオリジナルボウタイはこのスタイルです。
 
 
 




2013/07/10

まさに礼装。いやいや冷装。あるいは涼装。





タイムリーの炎天下なので、涼しい装い、涼しげな装いについて考えました。七夕過ぎあたりから、ちょっとした異常気象の様相を帯びてまいりました。梅雨明けも普段よりずいぶんと早く、いくつかの点でふつうと違っています。あらゆる業界のマーケット的には、夏は暑くて冬は寒いほうが、景気は良くなるそうですが。。

しかしながら、いよいよ、クールビズ勢力が追い風に乗って、完膚無きまでにアンチ・クールビズへ猛攻撃している状況です。2ピース族も、ついにクールビズの軍門に下る、という有様ではないでしょうか。

エドワードエクリュでは、酔狂なネタづくりとはいえ一昨年は3ピースで、真夏の鳥取砂丘を縦断完歩していますし、つい今月の一日には、京都の伏見稲荷の頂上へも登って降りてきましたから(そのまま、先斗町の床 ⇒ 祇園お茶屋遊びしたくらいなので)、40度だろうと、どうってことありません。

感覚的な話なのですが、熱めのお風呂に裸で入るのと、スーツで入るのとどう違いますか、というような世界じゃないでしょうか。そもそも気温が35度を超え、40度近くまでになると、もはや極端な話、裸でいようが服きていようが体感的にはそれほど違いないように思います。

薄着の体感・快適度は、20度~30度前後のレンジでの違いの問題ではないでしょうか。そんなことより、むしろ帽子をかぶることをお薦めします、本気で涼を求めているならば。かんかん照りの炎天下で、帽子無しで長時間いるほうが、個人的には耐えられません。5度以上は体感温度が下がります。太陽放射を直接頭部に浴び続けて、脳味噌が沸騰してめまいしますよ。

クールビズという現象が、涼しさ・省エネを指向するという合理性から施行されいるのではなくて、漠然とした群集心理、あるいは帰属意識(人と違うことはコワい)から来ていることが、この、ギラギラの炎天下で帽子をかぶっているビジネスマンがほぼ一人もいない、という状況から感じられます。

ところで、最近、法人向けのクールビズ対応のドレス・コードを考えるオーダーがあり、シンプルに結論を出しました。頭のイイ、発注元の経営者の超合理的な考え方のお陰でもあります。

タイドアップの3ピースで、ジャケット無し、というスタイルです。従来、秋冬の時期の3ピースは納得できますが、春夏時期の3ピースは(暑すぎて)ちょっと無理があるのではなかろうか?という違和感もこれで解消できました。

春夏だから、クールビズだから、ということで、妙ちきりんの頓珍漢アイテムを新たに買い足す、という経済的無駄遣いをすることなく。むしろクラシック軸に沿っていて、アンチ・クールビズからの理想的な回答ではなかろうかと思います。

そして、再度くどいようですが、目立つことを怖がらずに外出時に帽子をかぶることをお薦めします。ヘアスタイルを気にする人は、ご自身の信念に沿って構いませんけども。少なくとも、熱中症予防には効果絶大です。いいじゃないですか、ボルサリーノでやりすぎ感出過ぎの中年が続出しようが。アリですよ。

帽子を選ぶ時のコツは、スーツに合わせる場合、スーツのラペル幅とある程度合せることです。それから、リボン部分があまり主張していないものがおススメです。日本人は、アングロサクソン人種とちがって、頭蓋骨の鉢(はち:額のほぼ横幅)が大きいので、自分の鉢のサイズ、スーツのテイスト、ラペル幅と総合してから帽子を決定したほうがよろしいです。

さらに帽子をかぶるとなると、ますますもってエアリーなヘアスタイルではなく、スリーク・スタイル(頭を小さく見せるバーバー・カット)になります。バーバーネタは、ありすぎて、語りだすとキリが無くなるので、語りません。しかしながら、これらの、作りこんで行く数々の特徴は、クラシックな佇まいづくりとしては全体的に一層理想的な方向性といえます。

40度、SoWhat? です。